シリーズインデックス:チャレンジ環境経営

【第21回】環境負荷とコスト低減の両立をめざす (株)ジョーニシ 中野 裕介氏(滋賀)(2015.10.07)

中野氏 (株)ジョーニシ 中野 裕介氏(滋賀)

農業と共にあゆむ企業へ

社屋外観  (株)ジョーニシ(中野裕介氏、滋賀同友会会員)は、滋賀県内唯一の農用作業機の製造メーカーで、トラクター、田植え機、耕運機などに取り付ける農用作業機の製造販売を手掛け、農地や生産物にあった商品を提供しています。

 1936年に、上西農具製作所として創業し、「日本の復興はまず食料、農業機械生産に全力を」と、農機具のメンテナンスやスキ、クワの生産を開始しました。以降、農用作業機の開発、製造、販売、ホームセンター向け什器、建設機械用製缶部品、機械式駐車場用部品の製造等多方面に事業を展開しています。

 経営理念は、創業当時より、『共存共栄』。地域の生活、特に戦後は「農家と共に」という思いで、労働集約型農業からの脱却をめざし、農業機械、作業機の導入などを提案し、食料の増産、生産の効率化を担ってきました。戦後は、農業の近代化が進み、農家にトラクターやコンバインなどの動力付き農業機械が普及していきますが、そのような流れの中農家の負担を減らすにはどうすれば良いか、現場の声に耳を傾けながら製品を開発していきます。そこで生まれたのが、後付けでトラクターに取り付けられるオプションの作業機でした。

地域清掃  環境に対する取り組みは、地域清掃や3S、5Sなどに取り組んできましたが、農業分野以外に取り扱い商材が増え、お客様の環境やコスト意識の向上から、マネジメントシステムの導入を決意。地域や企業特性を生かせる仕組みとして、KES環境マネジメントシステム*を導入しました。2008年に環境宣言を発表し、翌2009年5月に認証取得しました。メーカーとして生き残るため、付加価値の高い商品開発、資材の高騰などに対抗するため、経営の合理化・コスト削減等の課題解決のための導入でした。

KES環境マネジメントシステム  年度ごとの環境改善計画書を作成し、現在では本社工場、甲賀工場、そして関東、九州の営業所でそれぞれ取り組んでいます。最初は、省エネルギー化や地域貢献活動など、新たな目標設定や業務時間中の作業が増えるなど、社員の負担は増えましたが、KESでは、合理化、業績向上などと連動しているため、結果が見えるにつれて活動は本格化していきます。

*Kyoto(京都)、Environmental Management System(環境マネジメントシステム)、Standard(スタンダード)の略号であり,京都議定書の発祥地,京都から発信された「環境マネジメントシステム」の規格。

環境型製品開発に着手

GPSつき散布機器  日本の農業の担い手は年々減少し、大規模農地の生産者でさえ労働力の確保が難しい状況です。大手農業機械メーカーの高額なトラクターや田植え機には最新型のGPS機能が搭載されており、大規模農地において運行効率を最大限に高め、種まき、農薬、肥料まきなど精度の高い農業機械を販売しています。しかし、農家の大半は小規模であり、設備投資が頻繁にできない現状があります。そこで、同社では、農業の近代化はもちろん、環境に配慮かつ生産効率の向上を両立した製品であり、現行の農業機械に取り付けられる製品を開発しています。GPS測定で速度管理を行い、肥料や薬品の散布量を調節できる作業機を神戸大学の教授とともに開発し、商品化しました。

 高価なものを除き、トラクターや耕運機はタイヤの回転と連動して散布量を調整する方式をとっていますが、タイヤのスリップや傾斜地での横滑りなどで正確な散布制御ができないという欠点があります。GPSは移動距離を計測しながらモータ―を制御し、最適な量を散布することができます。肥料や農薬は、散布量にムラができると、収穫量の増減が激しく、野菜などの規格サイズは決まっているため、散布量が多くなると、規格外製品が多くできることになり、商品価値が大きく下がることになります。また、生産面がクローズアップされますが、「日本の限られた農地を守っていくためには、散布する農薬や肥料が適正でないと、土壌に必要以上に残留肥料、農薬が蓄積され、土壌汚染にもなりかねない」と中野氏。

 現在では、大手メーカーから設計図の提供を受けて新商品や商品改良を行い、販売代理店とはユーザーのニーズ収集や、商品のデモや使用方法の指導をするなど、一体としてユーザーに必要な商品開発や販売に注力し、売上を伸ばしています。

日本の農業の未来

 農業人口の減少はよく知られていますが、総人口に対する農家人口の割合は、1985年の16パーセントから2013年には4パーセントへと大きく減少しており、危機的状況にあります。また、大規模農業が推奨されていますが、条件の整った農地は国内では少なく、民間企業の参入が活発になっても、中山間地の農業問題は解決されていません。それに合わせて農業機械の国内販売は減少し、販売単価は上昇傾向にあります。

 農家の負担はますます厳しくなってきており、環境対応型商品の開発・販売だけでは、農業を守れないといわれています。農地は、耕作放棄が進むと土壌の流出に伴う治水の悪化や、地域の景観が大きく損なわれるなど、美しい日本の風景が次々に失われていくことになります。

 同社では、生産コスト削減のために、2007年に中国工場を設立するなどその対応を始めています。

 「一社で対応できることは限界があり、業界だけでなく農業の未来を真剣に議論する時期です。今後も農業や地域との『共存共栄』をめざして活動していきたい」と、中野氏は語ります。

会社概要

創 業:1936年
資本金:5,000万円
事業内容:農用作業機の設計・製造・販売、ホームセンター向け什器の設計・製造・販売、建設機械用製缶部品、機械式駐車場用部品の製造
従業員数:97名
所在地:滋賀県甲賀市水口町本綾野4番1
TEL:0748-62-4110
URL:http://www.jonishi.co.jp/

このページの先頭にもどる

携帯用QRコード
携帯対応について

更新情報RSS