シリーズインデックス:チャレンジ環境経営

【特別版】木と人をいかした「箱根山テラス」~新たなエネルギーと経済の地域内循環へ (株)長谷川建設 代表取締役 長谷川 順一氏(岩手)(2015.11.18)

  (株)長谷川建設 代表取締役 長谷川 順一氏(岩手)

第8回中小企業地球環境問題交流会&第3回東日本大震災復興シンポジウム合同企画(2015年3月26日)での事例報告から

私は陸前高田市でおもな森林資源から木質バイオマスの持続可能な社会づくりへの挑戦を目指しております。結論からいうと陸前高田市の木質バイオマス利用と熱エネルギーで自立の街を目指すということです。木質バイオマスは震災後、2012年の4月から普及活動を続けています。

震災からのこれまで

私は陸前高田市で祖父の代から建設会社の4代目の社長と、昨年の7月から箱根山テラスの代表をしています。同友会の中では気仙支部に所属しており支部長、幹事長を中心に活動をしております。

震災で弊社も全壊しており、今現在は山手の方に土地を借り再建をしております。震災以降復興特需があり、社員数は震災前より倍、売上も2~3倍の売り上げで推移しております。震災から4年経った陸前高田市の状況ですが(写真参照)瓦礫の処理も完全に終わり、今はかさ上げ工事のためのベルトコンベヤーが有名になり、代表的な「一本松」より写真に撮る方も多く、なかなか地元住民としては複雑な状況でもあります。

持続可能な社会づくりの挑戦

  震災から1年経過した2012年4月から会社でエネルギー事業部を立ち上げました。木質ペレットというメインの事業で近隣市町などのイベントや催事などに基本的に参加し、販売ではなく知ってもらう活動を私一人で始めておりました。まだまだ始まって3年目なので、物を売るのではなく、こういった暮らしが必要ではないかという考え方から進めています。成長率や普及率はまだまだですが、私が現場で感じることでは着々と理解をしていただき、昨年では若い人中心のイベントに80名近くの方が参加していただきました。本当に続けてやるということはこういった意味があるのかと感じています。

実はこれを進める上で、岩手大学の農学部の先生と岩手県全体のペレット普及の可能性の調査を一緒にするということで、盛岡市の産学官連携研究センターの2階に事務所を設け共同研究をしております。またセンターの1Fに岩手同友会の事務局もありますので、より一層情報交換も密にとれるようになりました。

エネルギーシフトでは、「エネシフ気仙」を立ち上げました。メンバーは陸前高田市、住田町の若い人たちや、地元青年団体、林業、製材業、建設業、岩手県職員、森林組合の若い人たちなどで構成されています。その中で定期的に情報交換やイベントに参画し、研究するだけではなく皆で普及や、導入の可能性をさぐる若いメンバー中心の取り組みです。

箱根山テラスは宿泊施設なのですが、決して宿泊施設が足りないという理由で建設したのではありません。ここは人と人を生かす宿泊滞在施設ということで昨年の7月に震災から3年と6カ月がすぎた時にグランドオープンしました。この施設を建設するにあたり全国の同友会の会員の皆様には本当に多くのご協力をいただきました。本当にこの場を借りましてお礼を申し上げます。工事が進む中で少々体制を切り替える時期があり、その時期に私が代表に就任させていただきました。センター棟と宿泊棟という2つの建物に構成され、センター棟はワークショップ、カフェ、夜はお酒も飲めるようになっています。宿泊は14部屋で45~54人位が受け入れ可能で割と小規模な宿泊施設になっています。センター棟に関しての暖房はペレットストーブのみ。去年の9月11日にオープンして今現在もこのストーブだけで乗り切りました。暖房はちょっと暑いなと思う程で、ペレットストーブとプラス、サーキュレーターで十分暖房が賄えることが実践でわかりました。宿泊棟の14部屋は、今後バイオマスボイラーに切り替えていきたいと思います。箱根山テラスは熱エネルギーの全てが木質。その木質の原料は地元の山で賄い、いうならばエネルギーの地産地消。この両エネルギーでいくと目指した施設です。

箱根山テラスのミッションは何かというと、将来人々が健やかに生きていける状況を木質バイオマスを軸にしたエネルギーシフトと、地域内外の人々が繰り返して循環維持していくことを通じて陸前高田に実在する。木質バイオマスで化石燃料に頼りきった状況から、森林大国であるからこそできる、古くて新しいライフスタイルを今後検討して広めていこうということです。箱根山テラスの場所は宮城県側の唐桑半島も見えるくらい、標高600メートルの山の中腹に建っておりますので非常にちょうどいい場所です。

100%熱エネルギー自立の街をめざす

長谷川建設としては熱エネルギー自立の街を作り社会をつくることが一番の目的です。日本は世界有数の森林大国で、国土の67%が森林で、岩手は77%。意外と東京も36%森林です。ただ皆さんも考えていただきたいことですが、日本の一部の山を除いては本当に荒れている状況です。これは歴史的にも飛鳥時代の木造建築から始まり、江戸時代になり木造需要が多くなり山がだんだん切り開かれ、そして植林をされるというサイクルになっています。太平洋戦争の時戦復興があり木材が非常に重要になり山が丸裸になりました。その中で日本は昭和の拡大造林ということで、スギ、ヒノキを植えました。しかしその後まさかの輸入丸太が増え、外国産の木材を輸入自由化のため、日本の山の人工の方がどんどん減ってしまいました。ペレットを普及させるということは山の経済循環や自然の循環を成熟化させていきます。イメージからいうとペレットや、木質バイオマスや普及すれば普及するほど山がきれいになっていくというイメージです。山がきれいになっていくということは、山林がきれいになる。そしてそこに水が流れ、農業、水産業と一次産業の連携もとれます。そもそも山に木を植える事でこんなに良くなるということを実証させたいという思いでこの活動をやっています。木質バイオマスも雇用効果があります。地元の木材を使ってそれをペレット、薪、チップに加工する、それを運搬し使いメンテナンスすれば、そこに雇用が必要になります。私は木質バイオマスの普及にかかわることで実は、仕事がないと言われている農村、漁村地域が豊かになるのではないかと思います。今まではどちらかというとヨーロッパも含めて一極集中型が多かったのですが、岩手大学の研究で小規模分散型の普及が危機管理面でいいのではないかと思います。これをぜひ立証させようと来年度は盛岡、再来年は一関と岩手県内で立証させていきたいと思います。陸前高田は今年度から着手する意向です。

民間と行政が両輪となってつくる街

  終わりに、震災から4年が経ち、実際この震災でこの国は何が変わったのかずっと考えて4年間過ごしてきました。防災に対する意識が変わりました。原発の再稼働、これは一機に止める事はできないでしょう。でも徐々に進歩していくことは可能です。テレビでも新聞で話はでますが、実際やるとなったら、気づきあっても果たして行動に移しているのだろうかと思います。この活動は、民間と行政の両輪が一番理想だと思います。だから先陣を切るのが民間人の方が、行政もフォローしやすいのではないかと思います。実際陸前高田でも我々民間事業者が動き、その後ろに行政がとてもいい形でサポートしてくれます。この形がこれからの陸前高田市、そして岩手県がエネルギーで自立できる街に一歩でも近づくようになればいいと思います。私は震災以降、「つくる、まわす、貫く」というこの三要素を常に考えながら活動しています。震災で失ってしまった自分の故郷を今後どういう形で事を進めていくか、未来に向かって非常に責任を感じます。ぜひ今後も未来に向けていく活動を着実に進めていきたいと考えています。

会社概要

創業:1959年
資本金:3,100万円
年商:15億円
従業員数:77名
事業内容:総合建設業、不動産、リサイクル、一般土木、河川造成、トンネル特殊工事
所在地:陸前高田市竹駒町字仲ノ沢17-1
TEL:0192-55-2211
URL:http://www.khasegawa.co.jp/

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