シリーズインデックス:わが社の事業承継

【第9回】社員の人生を守る!経営者の覚悟が会社の危機を乗り越える原動力 (株)コージン 会長 小柴 順子氏・代表取締役社長 小柴 雅信氏(富山)(2016.06.08)

小柴順子会長と小柴雅信社長 (株)コージン 会長 小柴 順子氏・代表取締役社長 小柴 雅信氏(富山)

 (株)コージン(小柴順子会長・小柴雅信社長、富山同友会会員)は、剱岳をシンボルとする富山県上市町で、1974年にプラスチック製品製造の宏仁樹脂工業(株)としてスタートしました。

 現会長で3代目社長の小柴順子氏の義父が創業者、2代目はご主人、4代目の現社長は長男の雅信氏です。4代にわたる事業承継は、外部環境の変化による経営危機をどう乗り切りきったのか?その原動力や支えたものはなんだったのか?という歴史でもありました。

第1の危機~倒産の危機がコージンのスタート(2代目社長)

会社の様子  創業当時は、社員数名の孫下請けの小さな工場で、順子氏は、育児のかたわら仕事を手伝っていました。二度のオイルショックを乗り越え、大手の下請け移行で、社員85名・売上4億円に成長したころ、主力大手の撤退で企業存続の危機に直面、やむなく社員を解雇することに。

 この時学んだ(1)人の心の温かさ、(2)どんな状況でも絶対にあきらめない、(3)すべて前向きにとらえることが、後に社長を引き継ぐ決意につながっています。

 1984年、夫が2代目代表取締役に就任して、社員12名で継続させますが、月商のほとんどが返済という状況でした。その後自動車や電機などに進出し、社名を変更。本社工場や分工場の新築増築で、売上・社員とも大幅増となりました。

 2代目社長は、ワンマン社長でしたが、社員と正面から向き合い、仕事は厳しいが普段は優しく、社員から父親のように慕われている人でした。順子氏は、経理総務を担当し、社長と社員をつなぐ役割も果たしていました。

第2の危機~突然の社長交代を全社一丸で乗り切る(3代目社長)

 ちょうど、経営会議の変革を始めたやさき、ITバブルが弾け、売上が3割減に。さらに2003年6月、社長が出張先で急逝。順子氏の脳裏に、19年前の危機がよみがえり「社員の働く場を守りたい、それは社員の生活の場を守ることにつながる。自社の存在価値から考えて、会社を支えてくれる方々の信用信頼を失いたくない。会社は絶対潰さない。社員とともに会社を継続しよう!」と強い決意をします。

 当時、入社2年目の雅信氏は、まだ社長になる気構えや覚悟は不十分で、覚悟が決まり社員に認めてもらえるまで、「私が社長になる」と決意します。幹部も「順子さんが社長になってくれるなら、自分たちも精一杯支えていく」と言ってくれました。

 2003年6月、小柴順子氏が3代目代表取締役に就任し取り組んだのは、(1)権限と責任を明確にした組織づくり、(2)幹部が活発に意見交換するよう経営会議の活性化、(3)インドネシア工場設立。インドネシア工場は先代の夢で、工事も始まっていましたが、先代の急逝で中止の声もありました。しかし「先代との約束を果たし、帰国した実習生たちと一緒に経営したい」との責任者の決意に継続し、2004年1月稼働しました。

 取り組みを進めるほど、「頼りになる社員」と「外部からの信用」という前社長が残してくれた財産の大きさを痛感しました。

 富山同友会との出合いは2004年2月。二人三脚で経営に携わってきたとはいえナンバー1とナンバー2は大違いで、社長として今後どうすればいいのか学びたいと考えていたとき、同友会の三つの目的が「私の思いとぴったり!」と即入会しました。入会後すぐに、赤石義博・中同協会長(当時)の社長研修会に参加し、自社の課題に真剣に向き合う参加者の姿に、自分だけでなくみんな社員とともに頑張っていると勇気づけられました。その後もできるだけ参加し、社員の成長こそ会社の成長であることを確信し、「社員を大切にする」ことを基本にした、自社のこれまでの考え方や取り組みの正しさを実感しました。

第3の危機~リーマン・ショックで売り上げ8割ダウン(4代目社長)

社員の皆さん  社長就任から3年、会社は成長しましたが、時代変化への対応や次世代幹部育成のために組織見直しの必要性を痛感します。雅信氏も後継者として意識と覚悟が固まり言動も大きく変わりました。現役員に社長として育成してほしいと社長交代を決意します。

 2006年11月、小柴雅信氏が代表取締役社長に、小柴順子氏取締役会長に就任しました。

 古参幹部とぶつかる社長に順子氏は、「人生と仕事の先輩の意見はよく聞いて判断しなさい。決めるのも責任を取るのも社長」とアドバイスし、ツートップの弊害を考えて一歩引くことに徹しました。

 その後も、インドネシア工場増床、過去最高売上、社員数200名を超え、工場一体化のため新工場建設も進んでいた10月、リーマン・ショックが発生します。

 12月の新工場竣工式直後から、キャンセルが相次ぎ売上は激減、最終的に8割減に。「この状態がいつまでも続くはずない、必ず戻る。その時はうちに真っ先に来るはず」と思うものの注文は戻りません。

 社員とともに会社存続のためできることはすべてやろうと、ワークシェアリング、各種助成金の申請、5S、人としての成長をポイントにした社員教育、展示会出展、部別交流会、同友会の経営指針づくりに参加。さまざまな取り組みは、新しい取引先を増やし社員の意識を変えていきました。

 その間社員の解雇や退社は一人もなく、2009年中旬から売上は徐々に戻り、2011年にはピーク時を超えるまでになりました。

 現社長にとって初めての危機を乗り越えたことは、社員とともに向き合う大切さや経営者の責任という、歴代トップが大切に受け継いできたものを、身をもって体験することとなりました。

 事業承継とは、経営者と社員がともに経営理念を共有し成長すること。今、コージンは新分野への挑戦や地域とのかかわりなど、新たな挑戦を進めています。

会社概要

設 立:1974年2月
資本金:8,350万円
売上高:36億円(2015年)
事業内容:電気・機械器具部品製造業
従業員数:153名(内パート・アルバイト・実習生43名)
本社所在地:富山県上市町森尻5
TEL:076-473-3251 
FAX:076-473-2692
URL:http://www.kojin.co.jp/index.html

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