シリーズインデックス:わが社の事業承継

【第10回】歴史や生きざま、想いを引き継ぐ マエダ精工(株) 取締役会長 前田 順市氏(石川)(2016.06.22)

前田会長 マエダ精工(株) 取締役会長 前田 順市氏(石川)

 マエダ精工(株)取締役会長の前田順市氏(石川同友会会員)は、2014年9月に社長を交代し、現在は現場や経営にかかわることも少なくなってきました。

 きっかけは、師と仰ぐ取引先の社長が65歳で承継した話を聞き、当社もと思ったことからでした。しかし長男は当時33歳で、年齢的にも経験的にも名前だけのものになってしまう。そこで、創業50周年、自身が70歳の節目になる5年後に「(事業を)継ぐ」と息子に話をしました。それまでに後継者として、専門技術力と人間力と経営力を身につけるため、ISO9000の取得責任者に任命して、外部講師から品質管理・生産管理・技術指導を学び、社内勉強会などを行い、社長になる準備をしました。

「企業の使命は継続なり」

社内の様子  子は親の背中を見て育つもの、手とり足とり教えることはしません。前田氏は「背中や歴史を見て正しい、判断をしてほしい」と思い、承継する直前の創業50周年のときに、会社の沿革や先代と自身の生きざまや引き継いでほしい想い(「戦わずして勝つ」「逃げるが勝ち」「ケンカをする時は必ず相手の逃げ道を作っておけ」「社員が一番、協力会社が二番、取引先は三番、地域・株主は四番の心構え」「社員の解雇は原則しない」など)を書いたものをつくり、「企業の使命は継続なり」と題して息子に引き継ぎました。

新社長になって

 息子の代になって、赤字になる仕事は断るようになりました。以前は取引先とはお互い困ったときに助け合うことで、信用を得て大きい仕事ももらっていました。原価やコストを算出して、できる方法を全力で考えても赤字になる場合は、取引先に説明して断ることができるような姿勢になりました。前田氏とやり方とは違う部分もありますが、生産性は良くなりました。稼働率に余裕ができたことで新規開拓もでき、利益の出る仕事ができるようになりました。また労働分配率も予想以上に上がり、新社長の頑張りを社員も認めてくれるまでになりました。

承継への想い

 「承継した率直な感想は寂しいですし、気持ちは一生現役でいたいと思っています。しかし100年企業をめざすためには、マエダ精工(株)が継続して安心安全なモノづくり企業(自立型パーツメーカー)として時代についていかなければなりませんし、新しい考え方を取り入れる若い経営者に任す事業承継は避けては通れない道だと思っています」と前田氏。

 引き継ぐ想いを記した「企業の使命は継続なり」には、前田氏の誠実さと思いやりに溢れる内容が多数書かれています。その最後には「後継者にバトンを渡すプレゼンテーション…人間だから心が一番」と書かれており、何よりも事業承継とは心の承継でもあることを教えられます。

企業概要

創 業:1963年
設 立:1991年
資本金:3,000万円   
事業内容:各種工作機械および部品の製造、油圧機器の製造・販売
従業員数:21名
所在地:石川県金沢市示野町西101
TEL:076-267-2941
FAX:076-267-6233

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