シリーズインデックス:わが社の事業承継

【第22回】創業者の理念と想いを発展させ次代につないでいく!! (株)アドルーム 会長 冨永 寿彦氏・代表取締役 小野 健次氏(熊本)(2016.09.28)

冨永寿彦氏会長と小野健次社長 (株)アドルーム 会長 冨永 寿彦氏・代表取締役 小野 健次氏(熊本)

社屋  1975年に冨永寿彦現会長が、広告代理店としてアドルームを創業。1982年に法人化後、広告代理店から総合イベント業に転換し、現在に至ります。

 冨永会長が、親族ではない小野健次社長に事業承継をしようと思った理由とは?また、小野社長が経営理念に“安心”という言葉を加えた理由とは何か?そこには、冨永会長への感謝の心と入社以来の会社に対する熱い思いがありました。

 小野社長は、1999年、38歳で(株)アドルームに入社しました。一つひとつの仕事に始まりと終わりがあり、自分の誇れる仕事をしたいと以前から思っていました。その全てを満たしてくれたのが(株)アドルームでした。

事業承継を覚悟した小野社長

 冨永会長は、60歳を目前に社長交代を意識し始め、5年間の社長交代の準備期間を設けました。次期社長は社員からと考えており、「真面目で仕事熱心で、部下からの信望も厚い小野ならこの会社を発展させてくれる」「毎日の会話の中で会社が大切にしている基本的な考え方(経営理念、よい会社づくりへの思い等)を共有している」と確信を持ち、小野氏に「社長になってみないか?」と打診しました。

 当時の小野社長は入社9年目、突然の打診に驚きます。「現場に専念したい」「お客様とかかわっていたい」という思いが強く、いったんは固辞しました。その後、多くの社長と話す中で『社長』について考えるようになりました。2年後、再び打診がありました。小野社長は、会長に選んでもらったことや雇ってもらったことに対する恩を返したいという思いがありました。また、尊敬している2人の社長にも相談し、「社長はだれにでもなれるものではない、社長は楽しいぞ」と言われ、楽しいかどうかを知るためにも実際に社長を経験したいと思うようになりました。そして、もう1人の社長からは、「アドルームには組織(仲間)がある」と言われ、社長業は孤独ではないと気づき、経営者として歩む覚悟を決めました。

三つのものさし

 2012年、小野氏は50歳で社長に就任しました。まず、大変だったことは決断することでした。当初は、先輩社員も多く、反対意見が気になり決断をするのに時間がかかりました。また、1つの決断を間違えたら会社は倒産してしまう。そんな責任ある決断をすることは簡単ではありませんでした。そこで間違った決断をしないためにも、“三つのものさし”を持つことにしました。

 一つ目は、冨永会長だったらどうするか。二つ目は、経営理念に照らしてあてはまるか。三つ目は、優先順位を付ける。優先順位とは、(1)社員のためになるか、(2)お客様のためになるか、(3)地域社会のためになるかの順番で、全てにあてはまるかということです。この“三つのものさし”で決断をすることにより迷いが少なくなりました。

 2016年の4月に熊本地震が発生しました。その時、明確な方針をすぐに決断できたのも、社長になり“三つのものさし”をしっかりと磨いてきたからだと確信にいたりました。 

経営理念に“安心”を加えた理由

経営指針の発表会  小野社長は2015年の秋に一大決心をしました。それは、冨永会長がつくった経営理念に“安心”という言葉を加えることでした。 

 社長に就任した時から、お客様が安心してイベントに来ていただけることが大切だと思っていました。そして、感動という経営理念に掲げている言葉と安心は同じくらい大切だととらえ、その二つを提供したいという思いから“安心”という言葉を加えました。

 そこには、1992年に発生したアドバルーンの事故*を教訓にし、風化させないという思いも込められていました。

 冨永会長は、小野社長の提案に対して、「会社が大切にしている基本的な考え方を継承してくれれば経営理念は変えてもいい」と前向きな考えを示しました。そして、小野社長の成長とともに、経営理念がしっかりと継承できたことを実感しました。

*1992年に発生したアドバルーンの事故
1992年4月、同社のアドバルーン撤去作業中に爆発事故が発生し、子どもを含む複数の負傷者が出ました。当時のアドバルーンは比較的安価である水素を充填していたために静電気などで着火し、爆発につながったのです。社長冨永氏はこの事故を重く受け止め、安全への整備にさらに取り組むとともに、アドバルーンに充填する気体を危険な水素でなく不燃性のヘリウムに転換し、業界全体の変革へとつなげています。

事業承継をするうえで二人が大切にしたこと

 冨永会長は、企業経営で最も重要なのは維持発展し続けることだと同友会で学び、そのためには事業承継は避けて通れない道だと考えていました。社長を交代してから1年間は、社員の目が小野社長に行くように、意識的に指示をしませんでした。また、熊本同友会の社員共育大学をともに受講し、小野社長との対話を通して、会社が大切にしている基本的な考え方を共有できたからこそ、スムーズに事業承継ができたと振り返ります。

 小野社長は、守るべきものと変えるべきものの見極めを課題としています。守るべきものとは、経営理念に込められた「想い」。変えるべきものとは、事業領域の範囲で選択と集中をしていき挑戦することです。そして、「誇れる企業」「人が輝ける企業」へ向かって尽力し、次の世代へとバトン(想い)をつないでいきます。
社員の皆さんと

経営理念

一、私達は最高の商品と最大の演出を追求し、お客様に安心と感動を提供します
一、私達は和を重んじ仕事を通して積極的に社会に貢献するプラス思考人間を目指します
一、私達は全社員で夢の持てる企業つくり、人間形成の図れる職場を目指します

会社概要

設 立:1982年
資本金:1,000万円
売上高:5億6,377万円(34期:2015年04~2016年03)
事業内容:総合イベント業
従業員数:34名
本社所在地:熊本県熊本市東区錦ヶ丘7-24
TEL:096-369-8494
FAX:096-367-3439
URL:http://www.adroom.co.jp/

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