シリーズインデックス:わが社の事業承継

【16.11.02】【第27回】息子に渡す! (株)フカサワ 代表取締役 深澤 雄一氏・取締役副社長 深澤 友志(ともゆき)氏(栃木)(2016.11.02)

深澤雄一社長と友志氏副社長 (株)フカサワ 代表取締役 深澤 雄一氏・取締役副社長 深澤 友志(ともゆき)氏(栃木)

先代の社長や同級生に説得されて入社

社屋  深澤雄一氏((株)フカサワ 社長、栃木同友会会員)の父、当時社長の俊雄氏から朝一番「今から会社か。頑張れよ(ガチャ!)」。夕方会社の寮に戻ると「仕事はどうだった。そうか(ガチャ!)」と電話が鳴る。さらに、その父親に雄一氏より先に入社させられた同級生の一人からも「おーい、嘘つくなよ。2年たったら戻ると言ったじゃないか」。そんな電話が一週間続きました。これで戻る決心をしたのはいうまでもありません。それは雄一氏25歳の春でした。2年ほど家具会社に工業デザイナーとして勤めていましたが、「会社のデザインは経営なり」と考えての事でした。

PPバンドなど (株)フカサワは宇都宮市と近隣の都県11カ所の営業所で、包装資材や梱包機械などの卸売業の企業です。その起源は、1878年(明治11年)の醤油製造にあります。3代目の社長のとき1929年(昭和4年)の世界大恐慌が起こり、会社を継続させることができませんでした。それを雄一氏の父が、1946年(昭和21年)練炭をしばるためのわら紐を製造する会社で再興を果たします。

 その後時代がPP(ポリプロピレン)バンドやPP紐に替わっていくのを感じ、わら紐製造会社から、包装梱包資材の販売する会社に転換していきました。

 雄一氏は、子どものころ倒産の苦しさや辛さを経験した先代から、「会社をつぶすことは、罪悪だ」と、ことあるごとに聞かされていました。雄一氏は4代目の父をその時代の流れからかんがみて、「中興の祖」と考えています。高度成長期という時代が良かったかもしれませんが、いったんつぶれた会社を再興し、さらに業態までも製造業から販売業に転換して連綿とつなげていったことは並大抵のものではなかったことと尊敬しています。

同じ手法で息子入社させる

 雄一氏は「電話攻勢」という同じ手を使い、3年の歳月を要して28歳の息子友志氏を入社させました。

 現在副社長の友志氏は、雄一氏の「社員の心、気持ちの把握が大切」の考えにより、雄一氏と同じように配送・営業見習い・営業担当・営業主任・係長・支店長そして取締役と、順次一般の社員同様に仕事を経験させてもらいながら、次の経営者の準備をしてきました。

 前述した雄一氏の同級生は、先代に何人も会社に引き入れられ、近々まで専務・常務・部長・監査役などで会社を切り盛りしていました。先代のように、友志氏の同級生まで入社させることはなかったようですが、雄一氏は、次の代の補佐役をイメージし、採用・教育してきました。社長というトップだけでなく、次の社長と一緒に働いてくれる社員も同様に絶えず継承してゆくことが重要であるという考えからでした。

 歴史好きの雄一氏は、先代は幼少期に辛酸をなめてきた徳川家康、自分は秀忠、そして友志氏は、家光と例えます。

先代から続く経営指針とめざす会社像

 同社が、「労使見解」(中小企業における労使関係の見解、中同協発行『人を生かす経営』所収)にあるように、企業の全機能をフルに発揮させて維持発展できたのは、経営指針たるべき経営計画書の40年を超える作成と実践にあります。

 先代の俊雄氏は1972年(昭和47年)(有)深澤商会から(株)フカサワに改組し、その2年後に経営計画書に基づき実践を始めました。その後それを雄一社長は引継ぎました。

 経営指針作成を始めたころ、一般の中小企業では経営指針の「ケ」の字もないころで、完全なるトップダウンの計画書でした。営業拠点が2~3店舗のうちは良かったのですが、指示待ち的なところが随所に出てしまい変更しました。ボトムアップ型の計画書です。しかし今度は勝手に暴走しすぎるところが出てしまいました。その後トップダウン&ボトムアップのキャッチボールを2~3回行い実践につなげていくスタイルでやってきました。

 10年前に(株)シンデンの八木社長(現栃木同友会代表理事)の社内年齢構成表を見て、すぐ自社に当てはめてつくりました。そのとき役員の年齢が自分と同じであることを改めて実感し、計画的に継承を考えなければと思い実行してきました。

 また、中同協の鋤柄会長からは「個人保証というのはおかしい」と教わり、その後何度も銀行と掛けあい、それができる体制を整備していき、数年前シンジケートローンという形で経営者の個人保証を外し、副社長への事業継承を進めてきました。

 いま雄一氏は、友志氏に三つの棚卸を徹底するように指導しています。

(1)商品の棚卸、(2)仕事の棚卸、(3)計画の棚卸、特に、三番目の「計画の棚卸」は経営に対する姿勢を確立させる意味があります。

 雄一氏が先代の俊雄氏から引き継いで25年、当初は上場公開をめざしていました。しかし、今では「大いなる大家族主義で行こう!」と考えています。友志氏もこれに賛同し、その方針で進んでいます。

*資金調達ニーズに対し複数の金融機関が協調してシンジケート団を組成し、一つの融資契約書に基づき同一条件で融資を行う資金調達手法のこと。

経営哲学の共有

 雄一氏には、次のような経営哲学あり、友志氏に託そうしています。

「国家の究極の目的とは何か。それは国民を幸福にする事だといわれている。されば会社も全社員の幸福を求めてゆくべきで単に利益を出せば良い事ではない。その、より近道は『全社員の成長にあり』となる。会社は、そのような社員の幸せになるための手助けをする道具となるべきだ」。

 来年(株)フカサワ70周年を期して、雄一氏から友志氏に社長交代をしてさらなる100周年に向けてスタートします。 社員の皆さんとともに

経営理念

「共栄の商道」

会社概要

創 業:1946年
業 種:梱包機械類包装資材卸売業
資本金:3億2000万円
事業内容:
1.梱包、包装資材の販売及びこれに関する製造及び請負業
2.物流システム化の機械類の販売及び賃貸業
3.上記に付帯する一切の事業
従業員数:107名
所在地:栃木県宇都宮市元今泉4-6-9
営業拠点 関東を中心に11店舗
TEL:028-651-0005
URL:http://www.fk-net.co.jp/

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