シリーズインデックス:わが社の事業承継

【第30回】想いを受け継ぎ、さらなる高みをめざして (有)本郷鶏肉 代表取締役社長 山? 肇氏・専務取締役 平野 拓也氏(長野)(2016.11.30)

平野専務(左)と山?社長(右) (有)本郷鶏肉 代表取締役社長 山? 肇氏・専務取締役 平野 拓也氏(長野)

 長野県松本市で食品惣菜製造業を展開する(有)本郷鶏肉(山?肇代表取締役社長・平野拓也専務、長野同友会会員)。鶏肉をメインに豚・牛など肉に野菜やタレをセットにして、長野県内・隣接県のスーパーマーケット、サービスエリア、ホテルなどに納品しています。手作りに強いこだわりを持ち、添加物を極力抑え、安全、安心を追究しています。

 看板商品は、中信地域(松本市・安曇野市・塩尻市等)に半世紀以上根づいている郷土食『山賊焼』。創業当時から作り続けている山賊焼は、大ぶりな鶏一枚肉をにんにくベースの醤油だれに漬け込みをして、片栗粉をまぶして豪快に揚げたものです。

迷いと覚悟

社屋  山?氏には4人の実子がいて、長男がいったん入社しましたが、現在は別の道を歩んでいます。母親が創業した会社を1996年に引き継いだ山?氏は、長野同友会で、「会社は経営者の私物ではなく、公器なもの」ということを深く学び、「企業経営で最も大切なことは永続させること」「売上をつくれる人間がトップに立つべき」との思いがありました。

 営業実績に加え、社員からの信頼もあつい平野氏を自身の後継者として8年前に打診をしました。事業承継の打診を受けた当時部長だった平野氏は、「山?社長と血縁関係がないこと」「経営の全責任を負うことに対して自信が持てないこと」などの理由でいったんは固辞しました。

 しかし、5年前に再度自身の後継者として打診された際、社長に強く必要とされていることを実感。入社後、壁にぶち当たり迷ったりすることが何度もありましたが、そのたびに納得するまで話を聴いてくれた山崎社長への恩返しの意味でも後継者を引き受ける覚悟を決めました。

 「『専務』という役職は自らが志願して就任した」と語る平野氏。後継の意思が固まってから、経営者としての準備・資質を磨くために長野同友会に入会し、社外の研修に積極的に参加してきました。

社長の思いを引き継ぎながら

 山?氏が成文化し、社内に根づいていた経営理念は「変えるつもりはなかった」という平野氏。しかし、「経営指針をつくる会」のオリエンテーションに参加して、先輩経営者の方に「『引きずる』と『引き継ぐ』は違うよ。社長になるなら自分自身の言葉で語れなくては」という一言が胸にグサッと刺さり、経営理念を再構築することを決断します。

 それまでは、「だんらん創生」「共に生き、共に育ち、共に創ろう」「めざそうオンリーワン」の三本柱が経営理念でした。山?氏が築き上げてきた思いを継承しつつ、5年先、10年先の自社のあるべき姿・事業領域を真剣に考え、より具体的で分かりやすい経営理念に変更しました。

 「経営者の独りよがりにならないように、経営指針発表会前は、きちんと時間をとってパート社員を含めた全社員と個人面談を実施し、一人ひとりの思いを丁寧に聴き取ることを大切にしています」と平野氏。そして、年度初めの4月に全社員・取引先の方の前で経営指針発表会を開催しました。

 自らの思いを込めた経営理念を構築したことで、「経営者としての決意が固まり、軸がぶれなくなった」「自分自身の言葉で説明できるようになった」「経営指針をつくる会に参加して視野が広がった」など多くのメリットがありました。結果として、経営理念は以前に増して社内で浸透してきているとの確信につながっています。

円滑な事業承継への道すじ

 山?氏は、20年にわたり毎年新卒採用を継続させてきました。厳しい情勢下でも根気強く続けてきた成果として、「経営者と社員、そして社員同士の『共育』が進み、若手も育っている」と平野氏も自信をのぞかせます。
山?氏がきちんと土台をつくり、その上に平野氏のカラーを加えた絶妙なバランスで事業承継がスムーズに進みつつあります。山?氏は、「バトンタッチしてから5年間は、会社を見守っていく」と語り、平野氏にとっていつでも相談できる人が身近にいることも円滑な事業承継に大切な要素です。

新たな魅力・価値の創造をめざして

 今後の課題として、「商品の旬のサイクルが10年単位なので、常に新たな価値を生むチャレンジを続けること。また、クセのある部位が苦手な人でも食べられるような商品開発を行い、鶏の命(いのち)を無駄にすることのないように、社内の意識づけを図りたい」と平野氏は力強く語っています。

 来年には60周年を迎えますが、平野新社長のもと新たな本郷鶏肉の歴史がスタートします。

経営理念

わたしたちは「おいしさの科学を追究する」ことにより、健康と笑顔あふれる地域社会を創造します。

会社概要

創 業:1952年(本郷農協鶏肉牛乳直販店として開業、1958年(有)本郷鶏肉に改組)
資本金:3,600万円
事業内容:県内・隣接する県を中心にスーパーマーケットの惣菜売場へ惣菜キットの卸・販売業
従業員数:57名(社員21名 パート従業員36名)
所在地:長野県松本市市場4-4
TEL:0263-24-2941
URL:http://www.hongo-keiniku.co.jp/

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