シリーズインデックス:わが社の事業承継

【第35回】理念を引き継ぎ、夢を語れる経営者をめざす 野水鋼業(株) 代表取締役 野水 俊明氏(千葉)(2017.01.18)

野水俊明社長 【第35回】理念を引き継ぎ、夢を語れる経営者をめざす 野水鋼業(株) 代表取締役 野水 俊明氏(千葉)(2017.01.18)

第45回中小企業問題全国研究集会第11分科会(2015年3月)報告より加筆修正

~開かれた経営で、未来を切りひらく!~

 野水鋼業(株)(野水俊明代表取締役社長、千葉同友会会員)は、1956年、祖父が千代田区の自宅でステンレス丸棒の販売を目的に設立しました。1969年、墨田区に倉庫を増築して移転し、1992年白井工業団地内に倉庫を併設した白井営業所を開設し、今に至ります。当社は、多品種少量生産のニーズにあわせてステンレス棒鋼(丸棒、六角、四角など)だけでも約2,000種類の豊富な在庫を用意し、4割は同業、残りはメーカーに切断販売をしています。ステンレスの生産が大量生産されていない時期に創業しました。業界の生産高は右肩下がりとなっているのですが、現在では野水鋼業(株)の売上は順調に伸びています。

 2015年3月に、2代目の父(野水俊夫取締役会長、千葉同友会会員)から引き継ぎ、代表取締役に就任しました。

思いがけない事業承継の話を受けて

 子どものころは、会社と家庭が完全に切り離されていたので、サラリーマン家庭と同じような環境で過ごしました。また、帰宅した父が「仕事は辛い、疲れた」など愚痴をこぼすことは一切無かったので、子どもながらに仕事っていいものだろうなと思っていました。ITブームまっただ中、理系の大学だったため周りはほとんどSEをめざしていました。SEの道ならば食べていけるだろうと思い就職先を決めて父に報告すると、よかったねと言ってくれました。キーボード、スキャナーなど自社商品をたくさん買うくらい、商品が好きで会社が好きでした。

 2005年夏、「同じ苦労をするならば自分で会社経営をして苦労したらどうだい?」と話をされました。これまで、自分の選んだ道を進みなさいと言っていた父からの思いがけない言葉に、驚くとともに内心うれしかったのを覚えています。

 SE時代は、残業や休日勤務は当たり前で、まるで歯車の一つのように働かされていました。野水鋼業(株)に入社すると、昔のイメージとは全く違い、想像以上に会社らしい会社になっていました。子どものころから見ていて、父のようにはできないなと大きな不安を感じていました。周りの社員からはよく「『野水鋼業(株)の野水』といえば営業しやすいよね」とか言われることもありました。非常に悔しかったため、実績を分かりやすい形で残したいという思いが強く、新規開拓を積極的にしたり他の社員よりも多く働いたりすることで、徐々に認められるようになりました。

経営指針セミナーを受講

 入社した2007年に父の勧めで、千葉同友会の経営指針成文化セミナーを受講しました。独自性がないなど言われることもありましたが、同じ後継者仲間が支えになってくれたり、同業の方には相談できないことも相談できたりして感謝しています。

 1年後には商品センター長に就任し、朝から晩まで現場に張り付いていました。任せられている仕事は自分にしかできないと思い込み、社員を巻き込むことなくすべてを一人で抱え込んでいました。しかし、引き継ぎの日に社員に伝えるとすぐにできてしまい、これまで自分は何をしてきたんだと思うと同時に、社員の成長の機会を奪っていたのだと気づきました。

 2009年には父とは別に同友会に入会しました。「野水さんの息子」と言われるので、社長の影響力が少ない場所で活動したいという思いから、父とは別の支部に入りました。

 2010年には福島センターを開設しました。できあがっていたことは何もなく、ほとんどゼロからの立ち上げです。パートさんの採用なども初めて行いました。東日本大震災で施設が壊れたり、窓が割れたりしましたが、休日に一人で修理したことが思い出されます。2012年からは管理部長になり、総務や給与、採用関係にも携わりました。

未来を見据えた経営で社員に夢を語る

2013年、専務取締役営業部長に就任しました。「夢を語れる経営者になれるか」という父の問題提起に対して、これから役員になる予定の二人と若手3人で中期経営計画にチャレンジするものの数値づくりに苦労し、正式発表は見送りとなりました。翌年、若手3人にアドバイザー1名を加えてリベンジし、なんとか5カ年計画を作成しました。経営ビジョンは、2019年に50億をめざす「19-50ニューフロンティアプラン」です。柱として4点を挙げました。1.ステンレス・アルミ棒鋼の専業流通として確固たる地位を築く、2.商社的機能を強化した新たな売上を確保する、3.社員満足度の向上、4.千葉県で売上高ベスト500位突破をめざす、ということです。

 9年間を振り返ってみると、福島センターを任せてもらえたことが貴重な経験となりました。すべてを一人で仕切らなければならない責任に加えて、震災という重荷が加わり、経営者としての覚悟が少しついた気がします。今後は、社長の思い・経営理念をしっかりと引き継いでいく決意をしています。

 野水鋼業(株)は、会社は公器であることを体現したような会社です。引き続き「開かれた経営を行う会社」にしたいと思っています。常に維持発展し、社員の成長の機会や夢を与えられる会社にすることをめざし、われわれは未来を見据えてこれからの20年間社員と共に夢を持って考えていきたいと思います。しっかり利益を上げて、会社と社員に還元していき、社員の成長のために新しいポジションを作り続けることにも注力していきます。先代との関わり方については、まだまだ支えてもらいたいと甘えている部分もありますが、アドバイザーのような存在でいてくれたらと思います。

外部環境が変わって会社の軸は変わらない

 何をこれから引き継ぐのかを改めて考えたところ、やはり経営理念や想いなのだと感じています。自社の商品は、時代が求めるニーズの変化によって変わり、それに伴いお客様も変わってきています。しかし、外部環境が変わっても先代からの理念はしっかりと引き継ぎ、会社の軸は変わらないものとして経営していきます。

会社概要

設 立:1956年
資本金:7,800万円
年 商:35億円
事業内容:ステンレス鋼材販売、特殊鋼及び非鉄金属各種鋼材販売
従業員数:57名(内パート・アルバイト13名)
所在地:千葉県白井市平塚2668-28 (白井工業団地内)
TEL: 047-492-2781
URL: http://www.39nomizu.co.jp/

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