シリーズインデックス:わが社の事業承継

【第37回】悩みに共感し社員に寄り添うリーダーへ (株)フジタ建設コンサルタント 専務取締役 藤田 達也氏(徳島)(2017.02.01)

 藤田達也専務 (株)フジタ建設コンサルタント 専務取締役 藤田 達也氏(徳島)

 社会資本の計画・設計に特化した地域密着の建設コンサルタントとして、専門的な技術サービスを提供している(株)フジタ建設コンサルタント(藤田達也専務、徳島同友会会員)は、2016年に創業50周年を迎えました。

 現在、父が代表取締役を務める(株)フジタ建設コンサルタントの3代目として奮闘する藤田氏は、1976年生まれの41歳。事業承継が明確になっていないことで、会社の将来に不安を持っていた時期に「ここには会社を変える何かがある。ここで学ぶことが一番の近道」だと感じ、徳島同友会に入会しました。

企業変革支援プログラムでの気づき

社屋  2012年1月に徳島同友会に入会し、翌年第8期経営指針実践塾を受講。実践塾で自分と真剣に向き合ったことで、自身の思いや考え方の基本となる部分に改めて気づき、ここが自己変革のターニングポイントとなりました。

 受講後はサポーターとしてかかわる中で、自分に足りないのは「思いを実現するための方針や計画が弱いところ」だと気づきます。そこで、まずは企業変革支援プログラムステップ1と2を使った自社診断から取り組みました。自社の現状や強み・弱みを整理できたので、社内でも共有したいと発表しましたが、社員から「目の前の業務をすることが大切。売上を達成するのが私たちの仕事ではないのですか?」と言われて落ち込みました。

 この経験から、まずは社員との信頼関係の構築が優先だと考え、公平な評価制度の制定に取り組みました。自分なりの評価制度のひな型を持って同友会の先輩に相談すると、「評価で人は変わらない。人が変わるのは企業文化にふれた時で、それをつくれるのは経営者だけ」という言葉が返ってきました。思いの共有を大切にしてきたつもりだった藤田氏は、目に見えるところで成果を出そうとしていた自分の行動にがくぜんとします。今、変えなければいけないのは企業文化で、すなわち経営者や経営者に近い自分が変わることだと改めて気がつきました。

事業承継に向けて

 ここ数年、父である社長が引退を口にするようになり、いよいよ承継の時期が近づいてきたことを実感するようになりました。まずは後継者である自分が、会社の歴史や創業者の思い、そして社長の考えを知らずして承継することはできません。そこで、社長から素直に話を聞き、その話を自分の言葉で社員に伝えることを、次の自己変革のステップに決めました。

 社長から聞いた話は、これまで同友会で学んだことと同じような内容で、素直に共感しました。ある会員から「承継する側より、承継させる側の抱える不安の方が大きい。だから息子の行動が中途半端に見えるんじゃないか」と言われました。この言葉を聞いて、自分が後継者として一番にしなければいけないことは、社長が持つ不安を解するために対話を続け、今以上に思いや考え方を聞くことだと感じました。

未来へのチャレンジ

 話し合いの中で社長から、「経営者は自分の考えを絶対に押し付けてはいけない」という言葉を聞きました。この言葉には、自分より年上の社員を持つことになる藤田氏に対して「年下の社員にはどんどん自分の言葉で思いを伝えて、年上の社員とはじっくり時間をかけて、相手の言葉を聞きながら話し合っていきなさい」という真意がありました。この言葉から、藤田氏は自分の強みを生かした社員との関わり方、そして新しいリーダーシップの在り方が見えてきました。

 「社長である父はすべてのことに能力が高く、幹部にとってカリスマ的な存在。逆に私は、社員から見れば明らかに社長より頼りない存在だと思う」と語る藤田氏の強みは、大学卒業と同時に入社してすべての部署を経験し、各部署の社員と密に接してきたことです。自分の強みを生かすことで、「社長がカリスマなら、私は社員の悩みに共感し、社員に寄り添うリーダーとしてやっていきたい」という事業承継に向けての覚悟ができました。

 創業50周年記念誌の発行にあたっては、社内で責任者となって誌面の完成をめざしました。以前から、社長から受け継いでいるものと、これから受け継ぐものをしっかり自分の言葉で伝えていくのが自分の役目と考えていた藤田氏にとって、承継を控えたこの時期に会社の歴史をさかのぼる資料をつくる役目を与えられたことについて、非常に感慨深く感じました。

 「課題はありながらも、社長と向き合って承継を進めていくと覚悟したことで、やっと事業承継のスタートラインに立てた」と言う藤田氏。事業承継を通して、改めて労使見解の「社員を最も信頼できるパートナーとして考える」という意味とその重さを感じました。「自分にしかできないことを見極めて、社長や社員と共に歩んでいきたい。それを追求するために、今後も学びを継続していきたい」と藤田氏は3代目としての決意を語りました。
社員さんと

会社概要

設 立:1966年 
資本金:4,000万円
年 商:12億5,000万円
事業内容:
社会資本(道路・橋など)における調査設計などの技術サービス
従業員数:88名(パート・アルバイト含む)
所在地:徳島県板野郡北島町鯛浜字原87‐1
TEL:088-698-2155
FAX:088-698-2134
URL:http://www.fujitacc.co.jp

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