シリーズインデックス:キラリと光る小さな企業

【第3回】蔵王町とともに生きる (有)アトリエデリス 代表取締役 佐々木 文彦氏(宮城)(2017.04.20)

佐々木文彦社長 (有)アトリエデリス 代表取締役 佐々木 文彦氏(宮城)

店舗  (有)アトリエデリス(佐々木文彦社長、宮城同友会会員)は宮城県南部の蔵王連峰の裾野に位置する宮城県蔵王町で地元の食材にこだわった菓子製造、惣菜製造、ケータリング事業を営んでいます。

料理人としてフランスで修業、独立

 佐々木氏は料理人を志し、27歳の時にフランスに渡ります。約2年間の修業を経て日本に戻り、宮城県蔵王町のホテルに約5年間の勤務後、独立に至ります。当時、独立の準備として出張料理をしていた際に名刺代わりに食べてもらっていたチョコレートケーキ(ショコ・ラ・ヴィ)が評判となり、蔵王町と仙台市内大手百貨店の2店舗を出店しました。

苦渋の決断、事業縮小

 周りからの高い評価を背景にスタッフ10名でスタートを切りますが、うまくはいきませんでした。佐々木氏は当時を振り返り「市場ニーズを全く把握していなかった。ホンモノの味を届けたいと思い必死に取り組んでいたが、それだけでは経営は成り立たなかった。お客様が求めるものとのギャップがあったと思う」と語ります。料理人として美味しいものだけをつくり、提供するだけではお客様には支持されず経営も成り立たない事を痛感します。その後、苦渋の決断となりましたが、事業縮小を決断し、仙台市内大手百貨店は撤退、佐々木氏一人のみで蔵王町の店舗から再スタートを切ることになります。

料理人と経営者の違い 「お客様はだれか?」が見えればすべてが変わる

名物のプリン  事業縮小と再スタート決断の背景には宮城同友会との出合いと経営指針の成文化がありました。「お客様はだれか?」「料理人と経営者は何が違うのか?」を自問自答し続け、佐々木氏が経営者として生きる道、(有)アトリエデリスの方向性を見出しました。「当時はお客様がだれかが見えておらず、だれでもお客様。経営を維持するために蔵王町でつくったものを仙台で売るということしか考えていなかった。思い返せば蔵王町を拠点に選んだのは豊富な食材とそれをつくる農家さんたちとの出会いや関係性があり、自分の料理の技術で蔵王町の魅力を発信したいと思ったからだった。それが見えなくなっていた」と佐々木氏は当時を総括します。

おいしい惣菜やお菓子  再スタート後、経営指針の実践は新たな事業の柱を見出しました。個人、法人、行政、教育機関などを対象にしたケータリング事業です。「料理人として自分の美味しいと思う料理を提供するのではなく、お客様のシチュエーションに合わせて蔵王町の食材をフルに生かした料理を提供する」がコンセプトです。現在では結婚式や法事、町主催の賀詞交歓会、小・中学校のPTA主催の謝恩会などさまざまな場に呼ばれるようになり、現在では年商の3分の1の事業に成長しました。「その場がどのような場なのか?」「参加する方々の年齢構成、性別は?」「好きなモノ、嫌いなモノは?」などのヒアリングを徹底し、蔵王町の食材の良さを自分の料理技術を添えて、お客様に合わせた場づくりから取り組んでいます。

 また、現在は蔵王町内の全小学校(4校)で5年生を対象とした料理教室を開催するようにもなりました。小学生を前に佐々木氏が必ず伝えていることは「皆さんが暮らす蔵王町を景色全体で見ないこと。地域を構成している農家さんや豊富な食材などを“一つひとつ”として見ること。関心を持つこと。その“一つひとつ”が集まって蔵王町という地域が成り立っていること」。自分の経験も踏まえて、未来をつくる子どもたちにとって(有)アトリエデリスが単なる景色にならないように、未来の仲間づくり、お客様づくりとして取り組んでいます。

蔵王町とともに生きる

 原点に返り、蔵王町に根差した会社づくりの実践により、蔵王町を中心にお客様の環(わ)は広がってきました。地域の観光やさまざまな場面で蔵王町、宮城県において「シェフ佐々木、アトリエデリス」は知られるようになりました。「次は蔵王町に来てもらって地域の食材や魅力を知ってもらうためにも飲食店をオープンさせ、若いスタッフを育てて今度こそ20名体制の会社をつくりたい」と佐々木氏は今後の展望を語ります。

会社概要

設 立:2004年4月
業務内容:菓子製造、惣菜製造、ケータリング
従業員数:パート3人
所在地:宮城県刈田郡蔵王町大字円田字東山28-13
TEL:0224-33-4377
FAX:0224-33-4378
URL:https://ja-jp.facebook.com/atelierdeslys/

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