シリーズインデックス:キラリと光る小さな企業

【第6回】宇宙へはばたく、町工場の挑戦! (株)蒲郡製作所 代表取締役社長 伊藤 智啓氏(愛知)(2017.06.14)

伊藤智啓社長 (株)蒲郡製作所 代表取締役社長 伊藤 智啓氏(愛知)

常に挑戦するエキスパート集団

社屋  (株)蒲郡製作所(伊藤智啓社長、愛知同友会会員)は愛知県南東部の蒲郡市内にある「町工場」です。伊藤氏の父が光学機器の部品メーカーとして蒲郡製作所を創業し、OA機器部品の製造等にも取り組んできました。そして、父の病気をきっかけに伊藤氏が2代目として社長に就任しました。同社は少人数ながらもアルミの超精密サプライズ加工(精密加工より高精度で、お客様の期待を大きく上回る驚きと、感動を与えるような加工)や微細加工(直径が0.1ミリメートル以下の工具を用いた加工)を得意とし、医療機器や人工衛星の部品なども手掛けています。

会社の強みを発見

 何でもできることが自社の強みだと考えていた伊藤氏は、商談会で「何でもできるという会社は信用できない。それだけ続いている会社ならば何か強みがあるはずだ」と言われました。そのことがきっかけで、多くの経験を生かしたアルミの多品種少量加工が強みだと気づきます。そして「アルミの超精密サプライズ加工」というキャッチコピーをつくり、ホームページなどでPRを行っています。

 同社では、お客様のさまざまな悩みを解決してきました。ある時、計測機器メーカーから「すでに2週間ほど全国各地へ問い合わせしているが作ってくれる会社がない。何とか蒲郡製作所でできないだろうか」という問い合わせがありました。持ち込まれた試作品は1.5×4×20ミリメートルの小さな樹脂部品で、手に持つだけでグラグラしてしまう不安定なものでした。伊藤氏もできないと思いましたが、社員に相談すると「とにかくやってみよう!」と言ってくれました。そして製作方法を考案し、簡単に何度も使える特製の治具を製作することで問題を解決しました。このように同社では難しい仕事でも諦めずに挑戦しています。その結果、さまざまな加工経験が蓄積され、他社にはできない高精度な加工ができるため、多くの方に必要とされる企業となっています。

宇宙への挑戦

精密部品  伊藤氏にはNASAと仕事がしたいという夢があり、ブログに思いをつづっていました。そのブログを目にした国立の研究機関から連絡があり、NASAが打ち上げる衛星の設計者を紹介してもらい、初めて人工衛星にかかわる仕事ができました。そして、その実績があったことで、アルマ計画*に参加できました。同社が担当したのは、パラボラアンテナで集めた電波を解析装置に送るための電波受信装置の主要部品であるミラーブロックと電波導波管です。これらの挑戦に成功したことで、蒲郡製作所は信用できる会社だという口コミが広がり、今では、東京大学、名古屋大学や大阪府立大学、JAXAから人工衛星の部品製造を依頼されるようになりました。

*南米チリの標高5,000mの高地に、66台の電波望遠鏡を並べ、遠い宇宙を観測し、生命の起源を探る計画。

経営者の自覚・社員との関係

社内の様子  2000年に先代から経営を譲り受けたころ、業績はどん底で、税理士からも廃業を進言される事態に陥っていました。「とにかく何とかしなければ」との思いもあり、ISO9001の認証取得に取り組みました。しかし、取得後1年経って社員に聞いてみると、社員からは「何も変わっていない」という衝撃の一言が飛び出します。

 その後、愛知同友会に入会し、大阪で行われた「経営指針作成セミナー」にも参加します。その時に、「あなたは、会社を私物化しており、まだまだ経営者になりきれていない頑固で偏屈な職人だ」と指摘され、ISO9001を取得したり、経営理念の成文化に取り組んだりしていたのは、社員に自分の言うことを聞かせることが目的になっていて、社員や会社は全く変わっていなかったことに気づかされました。

 自分一人では会社は変えられないと考えた伊藤氏は、幹部社員とともに会社の方向性を考えるようにしていきました。大きな転機になったのは、自社のめざすべき企業に見学に行く取り組みの中で、社員が3S(整理・整頓・清掃)に力を入れている大阪同友会の会員企業の見学に行ったことです。その結果、社員から「うちでも3Sに取り組みましょう」と皆に声をかけてくれ、3S活動が現在まで継続できています。この経験から、経営者からの命令ではなく、社員が自主的に考えてみんなで話し合い決めていく、決めたことは皆で実施するという風土づくりにつながっていきました。

 その後も経営指針を継続的に学び、現在では経営理念に経営者としての思いや覚悟を明文化し、共有化を図っています。また、共有化するためには、経営理念に掲げるだけではなく、継続的に社員と話し合うことが大切だと伊藤氏は言います。

今後に向けて

 当面は、先端産業の4分野(航空宇宙分野、医療分野、ロボット分野、計測機器分野)の精密部品加工を受けますが、「AI(人工知能)やIOT(Internet of Things、モノのインターネット)技術の進捗により、15年後には、現在の7割の仕事がなくなるといわれているため、未来を見据えて、0から1を生み出すものづくりに取り組む」と伊藤氏は抱負を語ります。そのためには、異業種が集まる同友会のネットワークを生かし、知識やノウハウを学び近未来を考える取り組みも必要です。そして、若い世代に「俺が経営者になりたい」と言ってもらえる企業にしていきたいと目標を語ります。 社員さんとの集合写真

経営理念

一、私たちは、微細で、精密なものづくりを追究し、社会の求める時代の夢をかたちにします。
一、私たちは、チャレンジ精神を大切にし、共に学び、育ち合い、幸せになれる企業を目指します。
一、私たちは、誇りを持ち世界中のお客様から、信頼され、必要とされる町こうばを目指します。

会社概要

設立:1954年
業務内容:精密機械器具部品製造(医療機器・光学機器・半導体関連機器・航空宇宙関連機器・各種流量メーターなど)
従業員数:13名(正社員10名、臨時社員3名)
所在地:蒲郡市御幸町28-10
TEL:0533-68-1155
FAX:0533-68-1156
URL:http://www.gamasei.co.jp

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