シリーズインデックス:キラリと光る小さな企業

【第11回】全国の神社支える伊勢の木材 松下製材(有) 代表取締役 山口 浩典氏(三重)(2017.07.19)

山口 浩典社長 松下製材(有) 代表取締役 山口 浩典氏(三重)

社殿  松下製材(有)(山口浩典社長、三重同友会会員)は、三重県伊勢市二見の地で1923年(大正12年)から94年にわたり、ひのきと杉の天然乾燥木材にこだわって材木販売をしています。地元三重県の南勢地域、特に伊勢を中心に、神社や一般住宅向けに木材を販売しており、全国でも天然乾燥木材を扱う業者は極めて少ないことから、地域で頼りにされてきました。また松下製材(有)としても伊勢の木こりや同業者たちにも支えられており、地域でなくなてはならない関係でもあります。

 山口氏は会社の4代目にあたりますが、創業当初からの木材への情熱、こだわりを受け継いでおり、その精神は変わっていません。また、経営指針の実践に取り組み今年で2年目となる山口氏。伝統を重んじながらも、常に変革することを意識されています。「伊勢」という、歴史的にも全国的にも名の通った地域の看板を背負い、経営しています。

 同社の強みである天然乾燥木材とは、人工的に乾燥させるのでなく、1年以上、手間ひまをかけながら天日干しによって乾燥させる木材のことです。1本の木が持つ油分を残せられるという利点があるほか、自然の木材本来の美しい色つやを引き出し、豊かな香りも保つことができます。また、美しさだけでなく粘りが出るため、曲げに強い材木にもなるのです。人工乾燥と違い、内部割れを引き起こす可能性も低いため、強度にも信頼性が置けます。

経営指針の実践で自社の強みを明確に

遷宮  現在、材木業界は住宅様式の変化などもあり、非常に厳しい局面にあります。国産材の需要は減少が続き、輸入材に押されて同業者の廃業が相次いでいる状態です。山口氏も同じように進むべき方向性を見失い、苦悩していました。そんななか、取引先のお客様を通じて、全国の神社で同社の材木が使われるようになったのは、経営指針の成文化と実践がきっかけでした。

 経営指針の作成と実践を通して自社の強みを明確にし、強みを見つめ直したことで進むべき道が見えてきました。三重県南勢地域で伊勢神宮の場合20年に一度(地域により周期は異なる)遷宮(せんぐう)、もしくは、修繕などの造営を行うため、材木はなくてはならない存在です。一方、解体された社殿や鳥居はその後全国の神社などで活用されることもあり、伊勢の地から全国へ木材を供給していくことは、自社が担える大きな役割だと気づきました。

 そして、強みを明確にしたことは新たな出合いも生みました。自社の強み、魅力を発信していくことで、神棚や神社で使われる祭事用の道具など、木材が活用される範囲が広がりを始めました。中には天然乾燥であることに着目し、蜜蜂のための巣枠に活用されるといった事例もありました。山口氏は、こうした自社製品の強みが生かせる新たな事例を、さらに創造していきたいと考えています。

企業間の連携で木の魅力を発信

木材加工の様子  同社では、神社以外に住宅向けの材木販売にも長年、力を入れてきました。木を魅せる家造りを行っている設計士と協力することにより、天然乾燥木材の持ち味を最大限に生かしてもらうことで、自社の強みが支持されています。「木の未来を創造」という経営理念を掲げ、美しい木造建築を後世に残していくことにより、次世代に渡って木の潜在需要を高めていく狙いです。こうした連携は、地域のつながりや、木に対して同じ問題意識を持った人同士のコミュニティなどを大切にしてきたからこそ生まれたものであり、松下製材(有)がその歴史の中で、地域に根差した経営を取り組んできた結果ともいえます。 それだけでなく、山口氏の人間的魅力も一翼を大きく担っており、事業継承後や、経営指針成文化後に新しく生まれた人脈、企業間連携も数多く生まれています。そして天然乾燥木材を使い、見て、香って、触って美しい作品を仕上げてもらえる企業との連携は、自社だけでなく材木業界全体の未来を創造していくものとなっています。

経営理念

1.我々は、伊勢の木と共に、社寺建築の伝統を守り、木の未来を創造しつづけます。
2.我々は、仕事を通じて人生の幸福を目指します。
3.我々は、木を通じて、豊かな、自然環境に貢献します。

会社概要

設 立:1923年
事業内容:製材、伐採、搬出、山林管理
従業員数:7名
所在地:三重県伊勢市二見町松下1347-14
TEL:0596-43-2461
FAX:0596-42-1628
URL:http://matsushita-seizai.com/index.html

このページの先頭にもどる

携帯用QRコード
携帯対応について

更新情報RSS