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【第24回】農業を通して地域を元気にしたい (株)ほうねん 代表取締役 朝久野 徹氏(大分)(2017.11.15)

朝久野徹社長 (株)ほうねん 代表取締役 朝久野 徹氏(大分)

 (株)ほうねん(朝久野徹代表取締役、大分同友会会員)は1982年、農業資材を取り扱う専門店として朝久野氏の父が創業しました。場所が市街化調整区域だったため建物を建てられず、簡易テントでの船出でした。社名は「豊年満作」に由来しています。当時、農家はJAから資材を配達してもらって盆暮れ決済することが一般的でしたが、少しでも安く提供できるようにと現金決済の店舗販売でスタートしました。

父の後姿に継ぐことを決意

朝久野氏が大学時代の1990年と1993年、近くの川が氾濫してお店が浸水してしまいました。「後片付けを手伝いながら、必死に再開をめざす父の後姿を見つめ、いずれ承継することを決意した」と朝久野氏は言います。

商品ありきの専門店と農家の実態

社屋概観  大学卒業後は地元のシステム関係の会社に就職していましたが、5年ほど勤めたのち、勉強のため園芸店に転職をしました。

 その後、(株)ほうねんに入社をしますが、専門店とはいえ、取り扱う商材が専門的なだけで、専門的知識を持った人材は限られて、普通の販売員の集まりと考えていました。農器具の修理を頼まれても、できる人はいませんでした。朝久野氏はメーカーから誘われて数カ月の研修を受け、修理を始めました。すると、農家の方に感謝される機会が増えました。

 お礼にといろいろな農作物をいただくことがあり、話を聞いていると、基準量を超えた間違った農薬の使い方が横行していることを知りました。「家で食べるために農薬を散布していないから安心よ」と言われ、「どんな農作物が流通しているのだ?」と怖くなりました。「これは専門店として指導をしなければいけない」と勉強をして農家に指導をしますが、話を聞いてくれません。「自分も作ってみなければ駄目かな」と支店の片隅で農作物づくりを始めると、ようやく農家と話ができるようになりました。

 そのころから「いったい土壌はどうなっているのだろうか?」と疑問を持ち始め、土壌分析をするための検査キットを購入しました。土壌分析を始めると、農家が毎年お決まりの肥料を使用して、偏った土壌環境になっているという実態が分かりました。施肥設計も含めたアドバイスをするようになり、生産者向けの勉強会も始めました。

このままでは経営者になれない

 いずれ会社を継ぐと考えた時、自分が経営者として不勉強だったと朝久野氏は反省し、経営について勉強を始めます。100年企業には理念があることを知り、会社に理念が必要と感じ始めました。ある社長に同行する機会があり、その時にもらった本を読んで、理念がほしいと強く思うようになりましたが、なかなかうまくつくれません。経営者仲間に同友会を紹介され、経営理念塾にゲスト参加して2013年に大分同友会に入会しました。すぐに経営指針成文化セミナーに参加をしましたが腑に落ちず、翌年もう一度参加をしてつくることができました。

人を生かす経営の実践に向けて

 人を生かす経営(中小企業における労使関係の見解(労使見解))を実践しようと、社内の基本ルールの見直しと権限の委譲を進めました。資格の取得を推進し、講師を招いて肥料や農薬、機械の販売・修理方法などの社内勉強会も取り組みました。高齢者の技術を生かした機械の修理やリユースにも力を入れました。

 社内で恐る恐る始めた個別ミーティングでは、朝久野氏の不安をよそに不平や不満だけでなく、たくさんのアイデアが集まりました。福岡県の会社を訪問したり、自分たちでチェーンソーの実演講習会を開いたりするようにもなりました。

 「小さなことでも新たに取り組む場を増やし、その成功体験で社員の顔つきが変わってきたと実感しています。経営者よりもお客様からほめられ感謝されることが、一番の喜びと感じているようです」と朝久野氏は言います。

食文化と感謝の気持ちを大切に

社員さん  少しずつですが農家からの信頼が高まり、営農指導*の依頼を受けるようになりました。そこでメーカーと協力をして栽培フォローを始めると、農作物の品質が向上し収量も増え、結果として資材の売上増につながりました。また農家から相談を受けてビニールハウスの施工も始めました。

 今、農業人口は減っていますが、3年後のビジョンとして、農業資材の販売からサービスの幅を広げ、最終的には農作物の販路支援も踏まえたトータルサポートをめざしています。そして、農業を通して地域を元気にすると掲げています。地域農業を元気に、そして日本の食文化を豊かにしていきたいと考えています。

 2014年に朝久野氏は代表取締役に就任しました。「父に相談をして進める時もあれば、しない時もあります。そんな時には感謝の気持ちを忘れていたと反省しています。これからの経営において感謝の気持ちと理念に基づいた熱いビジョン、そして緻密な計画が必要だと感じています」と朝久野氏は語ります。

*農業の経営の技術および経営の向上に関する指導のこと。

企業理念

私たちほうねんは、地域農業のサポートを使命とし、環境と調和した魅力ある農業を創造することで、食と笑顔あふれる地域づくりに貢献します。

会社概要

設 立 : 1982年
資本金:1,000万円
事業内容:肥料・農薬・種子など、農業に関わる資材の販売。小型農機具の修理・販売。ビニールハウスの施行・販売。土壌診断による施肥設計および改善策の提案。セミナー実施。
従業員数:13名
所在地:大分県大分市大字端登字下鶴1800-1(本店)
    大分県豊後大野市朝地町大字下野747-1(朝地店)
URL:http://www.hounen-oita.com

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