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【第28回】社員が誇りを持ち働きがいのある会社づくり (有)浜本新聞舗 代表取締役 濱本 博樹氏(滋賀)(2017.12.13)

濱本博樹社長 (有)浜本新聞舗 代表取締役 濱本 博樹氏(滋賀)

 (有)浜本新聞舗(濱本博樹社長、滋賀同友会会員)は、滋賀県大津市仰木で、新聞本社より新聞を仕入れ、担当地域の購買者への配達や集金、新規購買者の営業などを行っています。販売店によって担当地域が決まっており、滋賀県大津市真野から大津市唐崎までを担当しています。新聞の取り扱い部数は朝日新聞を中心に約7,000部で、滋賀県では20店舗中6番目に規模の大きい新聞販売店です。同社は1977年に濱本氏の父が創業し、2011年に会社を引き継ぎました。

継ぎたくないという思いのまま経営者へ

社屋  濱本氏は幼いころより、よく新聞配達の手伝いをしており、正直、朝早く起きて、過酷な肉体労働でもあるこの仕事を継ぎたいとは思えず、できれば弟に継いでほしいと考えていました。しかしあるとき、弟に「継いでくれないか?」と相談したところ、「継ぎたくない」と即答され、しかたなく会社を継ぐことを決めます。

古株社員からの一言

 会社を継いでからは、濱本氏の営業力もあり、順調に業績を伸ばします。そろそろ経営理念がほしいなと思っていた時に、知り合いの経営者から、滋賀同友会に経営理念を作成する研修があるので受講しないかと誘われ、同友会へ入会し、経営指針を創る会を受講します。

 しかし、参加した経営指針を創る会で、経営者から浴びせられる、厳しい質問の数々に全く答えられないなど、自分の経営者としての甘さを痛感します。

 特に、「あなたはなぜ、あなたの会社に何十年も働いてくれている社員がいるのか考えたことはありますか?」という質問には、「古株の社員は給料を少し多くもらっているから」としか答えられませんでした。質問をした経営者から「一度社員に聞いてみなさい」と言われ、一番古株の社員に「なぜこの会社でずっと働いてくれているのですか?」と質問をしたところ、社員からは、「地域の人に新聞を配達し、ありがとうと言われると、人の役に立っていると感じられてうれしいからです」という言葉が返ってきました。

 濱本氏は、自分自身が、つらい仕事だと決めつけていたこの仕事を、社員は自らやりがいを見出し、働いてくれている。なぜこんな大切なことに気づけなかったのだろうと、今までの自分の未熟さを思い知ります。
そして、自分自身を含め今いる社員全員が、この仕事に誇りを持ち、働きがいのある会社をつくろうと決意します。

社員が誇りとやりがいを持ってもらうために

 まず、取り組んだのは、毎月、社員と一対一の個別面談を行うことです。そこで会社での悩みや、その悩みをどうしたら解決できるか?また自分自身が働くことで、地域の人にどれだけ貢献しているのかを話しあい、何のために働いているのかを確認しあいます。

 さらに月に一度、社員同士のミーティングを開催し、今の仕事に誇りや、やりがいを見出すにはどうしたらいいかなどを話しあいます。

 そのミーティングの効果で、社員から「配達のときは地域のパトロールもかねて行う」「地域で記事になりそうな出来事に遭遇したら、本社に連絡をし、地元のことが少しでも記事になるように心掛け、地域の人に喜んでもらう」など、ただ単に新聞配達を行うだけでなく、地域の人のことを考えた、やりがいが持てる働き方が次々と提案されます。

 そのような取り組みを続けた結果、2年前に新聞社から贈られる「報道協力賞」という最も名誉のある賞を受賞します。この賞は、中国、四国、近畿地方、すべての新聞販売店の中から毎年一社だけに贈られ、地元で起こった、記事になるような出来事を新聞本社へ報告し、報道に協力した新聞販売店に贈られるものです。「社員自身が誇りと働きがいを持って働くにはどうしたらいいのか?自ら考え、自ら行動してくれた結果です」と濱本氏は語ります。

 また、労働環境の改善にも取り組み、これまで濱本氏がすべて決めていたシフトを、社員同士で決めることにし、その際、お互いにカバーし合えるのなら、何連休をとってもよい、いつ休んでもよいという完全に自由なシフト形態を提案しました。

 連休が取れないのが当たり前の新聞販売業界で、全社員が年に必ず4連休を取れる職場環境を実現します。
また、離職が当たり前の新聞配達業界の中で、(有)浜本新聞舗はここ10年で離職者がたった1名と社員の定着も結果として現れています。

 今年には、同社より記念すべき一人目の独立者も輩出され、「今後10年であと、2〜3名は独立者を輩出し、新聞販売業界を盛り上げたい」と濱本氏は語ります。

 濱本氏の、社員が誇りを持ち働きがいのある会社創りへの挑戦は、まだまだ続きます。

経営理念

「みんなで明るい未来を創造する」

一、 私たちは、サービスアンカーとしての役割と可能性で多様化する時代のニーズに応え、信頼され愛される新聞販売店NO.1を目指します。
二、 私たちは、社員一人ひとりが夢と誇りを持ち、お互いの個性を尊重しあうことで、共に学び成長していける、働きがいのある職場づくりを目指します。
三、 私たちは、人と人とのふれあいから笑顔の絆を増やし、豊かで安心できるまちづくりに貢献していきます。

会社概要

設 立:1990年
資本金:300万円
事業内容:新聞、雑誌販売
従業員数:8名
URL:http://www.asahi-kosei.com/asa-katata/company-info/

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