シリーズインデックス:キラリと光る小さな企業

【第31回】社員と共に経営指針をつくり働きがいのある会社へ (株)森脇ビデオ企画 森脇 正文氏(奈良)(2018.01.24)

森脇正文社長 (株)森脇ビデオ企画 森脇 正文氏(奈良)

 (株)森脇ビデオ企画(森脇正文社長、奈良同友会会員)は、奈良県橿原市で主に地域の催しや観光PRなど地域密着の映像制作を取り扱っています。同社は1992年に父が個人事業として創業し、2010年に森脇氏が承継しました。2006年には文化庁の依頼で「高松塚古墳」解体の記録撮影を請け負ったこともあります。

世の中に役立つ仕事がしたい

社屋の様子  森脇氏は奈良工業高等専門学校を卒業後トラックの製造会社に就職し、その後2004年に父が経営していた地域イベント映像の撮影・販売を行う森脇ビデオ企画に入社します。森脇氏の他に父と母という典型的な家族経営でした。

 外部のフリーランスに委託した仕事の品質が安定せず、森脇氏は次第に社員を雇用した上で組織として安定した業務を自社でこなしていきたいと考えるようになります。また、観光PR映像などの世の中の役に立つ事業もしていきたいという思いもありました。しかし、今のままの事業を続けてゆく方針である父と意見が合わず、話し合った結果、父の個人事業を分離し、2010年に森脇氏が(株)森脇ビデオ企画の代表に就任します。

 アルバイトだった学生2人を雇用し、新たに4人態勢でスタートします。休みなく働きますが、利益は少なく赤字になることもありました。そしてさらに業務は過重になっていきます。社員がいればその分仕事が回ると思っていた森脇氏。社員をきちんと指導する余裕もなかったため、思うように仕事がこなせずイライラを社員にぶつけることもありました。自分が忙しいから社員を雇うという感覚で社員の気持ちなど見えていませんでした。会社がなくなるかもしれないとの不安から「生きていくために仕事をしなければ」と必死でした。

 会社は代表就任後3年間、人が入れ替わり立ち代わりの状態が続きます。「これではいけない」と思い、その後は社員が最低3年は在職し成長できるようにと、森脇氏自らが仕事を抱え込むようになります。当時、森脇氏にとって仕事は辛いものでした。

独りよがりの指針書

 2016年6月、新たに採用を考えていたところ「採用するには経営指針書がいる」と奈良同友会を紹介され入会、その年の経営指針セミナーを受講します。セミナーでは「何のために働くのか?」自問自答し自分を見つめ直しました。そして、目の前の仕事に追われ、当初の「世の中の役に立ちたい」という思いを見失っていたことに気づきます。「セミナーを通して『映像を通じてよりよい社会をつくる』という理念を確立し、しんどく辛かった映像の仕事が使命だと思えるようになり、生き生きと仕事ができるようになった」と森脇氏は語ります。

 「指針書ができたら会社の経営が良くなる」と考えていた森脇氏は、意気揚々と社内で指針書を発表します。指針書の10年ビジョンで有給休暇取得100%など労働環境の改善も掲げましたが、社員は「10年もかかるのか?」という雰囲気でした。会社をよくするための会議も行うようになりましたが、なかなか意欲的になってくれません。社内での森脇氏の振る舞いが急に変わりとまどう社員。よい会社をつくりたいという自分の思いで指針書をつくりましたが社員と共有されていないことを痛感します。「指針書をみんなのものにしなければならない」 森脇氏は社員の思いも反映させるため、次の指針書は社員全員とつくっていくことを決意します。

社員と経営指針づくりに取り組んで

社内の様子  一方、指針書づくりを通して経営者としての姿勢を正したことで少しずつ変化もありました。社員が「今年の社長は、去年の社長と違ってピリピリしていない」と話すようになり、また、森脇氏が経営の学びのため会社を空けられるよう社員が協力して自主的に仕事に取り組むようになりました。よい会社をつくりたいという思いが少しずつ伝わり始めています。

 先日、社員と新たな経営指針書の作成に取り組む中で気づいたことがあります。自分は有給休暇取得100%が社員のためになるだろうと考えていましたが、社員からは「休みたいときに休みたい」「連休がとりたい」との意見が多かったのです。結果、新たな10年ビジョンには複数担当制の仕組みをつくり、社員が互いに助け合うことで「最大14連休取得」を掲げました。みんなと協力しながら会社を長期的に発展させ、社員の自己実現を応援できる会社にしたいと考えています。

今後の展望

 他社との差は何かという問いに「その瞬間が撮れているか」「絶対ほしいところが写っている」ことだと森脇氏は言います。幼稚園の音楽発表会の撮影では、シンバルで一回しか登場機会がない人まで台本を作り把握し、「その瞬間」をビデオカメラに収めます。必ず「その瞬間」が撮れる方法を考えた結果です。また、映像のできる人ではなく、音楽に詳しい人、子どもとコミュニケーションのとれる人など他の分野に長けた人を採用し、育てることが付加価値の高いサービスを提供することにつながると考えています。

 「今後としては、対企業向けの映像制作の仕事を獲得し、また映像制作の会社の全国的なネットワークなども構築していきたい。同友会に入会して、優れた経営者に出会うことで自分が磨かれてゆくような気がする。こういった学べる環境がとてもありがたい。これからも同友会で経営の本質を学び、自社を映像制作で地域に貢献し、働きがいのある会社にして周りに良い影響を与えられるようになりたい」と語る森脇氏。まだまだ過渡期ではありますが、10年後よい会社をめざして森脇氏の挑戦は続きます。

経営理念

私たちは、映像を通じてよりよい社会をつくります。

会社概要

創 業:1992年
設 立:2007年
従業員数:6名
業務内容:映像の企画・撮影・編集。主に幼稚園・学校関係(思い出ビデオなど)・吹奏楽・奈良県観光PR・会社案内など
所在地:奈良県橿原市新口町50-29
TEL:0744-24-5152
URL:http://www.imj.ne.jp/mvk/

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