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【第35回】指針書作成で視野が広がる (株)ピアノファクトリー 代表取締役 横田 摂矢氏(岡山)

横田摂矢社長 (株)ピアノファクトリー 代表取締役 横田 摂矢氏(岡山)

ピアノの調律と楽器販売

店内  横田摂矢氏((株)ピアノファクトリー 社長、岡山同友会会員)はピアノ調律師として楽器店勤務の後、1991年に同社を創業。当初は調律を中心に事業を営んでいましたが、現在は鍵盤楽器をはじめさまざまな楽器の販売も行っています。それでも売上の3分の1から半分ほどはアコースティックピアノの調律が占めています。個人で仕事を請け合うフリーの調律師は少なくありませんが、調律をメインにした会社は全国でも限られています。

 同社は世界3大ピアノメーカーと呼ばれるうちの1社、ドイツのベヒシュタイン社の日本でも数少ない正規代理店で、横田氏はベヒシュタインの認定技術者でもあります。その高い技術力と音色に対する研ぎ澄まされた感性が口コミで伝わり、現在は中四国から関西を中心に約1,500件の調律を手掛けています。

 しかし、岡山同友会に出会うまでは調律師としてのこだわりが強すぎて、経営者というよりも技術者としての意識が勝っていたと横田氏は言います。

 「当初は顧客が求めているものではなく、自分がよいと思うものを提供しようとしていました。職人的こだわりや理想主義的な部分が強すぎて、自分でお客様を限定してしまっているようなところがありました」と横田氏は振り返ります。

同友会に入会するも、長く「休眠」会員だった

 岡山同友会には創業間もなく入会していましたが、いわゆる休眠状態が続いていました。それが支部の地区例会で報告を頼まれたことがきっかけで参加するようになり、経営に行き詰まりを感じていたこともあって、経営指針成文化研修会を受講します。

 研修では自社固有の役割や顧客に対する基本姿勢を問われ、「当社の顧客はピアノを持っている人だけではないんじゃないか。音楽はもっと自由で楽しいものだ」と、次第に意識が変化していきました。「例えば電子ピアノをお持ちの方も、身近に音楽に親しんでもらえれば、ひょっとするといつかもっと表現力のあるピアノに興味を持っていただけるかもしれない。まずはお客様の要望をしっかりと聞き、その中で自分の理想の響きや音色を元にお客様が求めるものを提供することで、将来よりよい提案もできるかもしれない。そう考えると、一気に視野が広がりました」と横田氏は言います。

 「良い音は人の感性を豊かにする」という言葉は、創業当初からキャッチフレーズとして掲げていたものですが、あらためて経営理念として明確に位置づけ、そこから方針や計画を具体的に掘り下げました。

指針が上手く回りだした

社員さんと  経営指針書をつくって社内発表をしましたが、最初は上手く伝わりませんでした。しかし回を重ねるにつれて社員の理解も得られ、以前は職人集団のようだった組織も役割分担が明確になり、各人が自分の責任を自覚し、企業らしい組織に変化しました。

 毎月の定例会議も定着し、月々の売上動向や顧客情報を共有することで、課題に対しても組織的に対応できるようになりました。そして一時は頭打ちになっていた業績も回復してきました。ピアノの調律の頻度は年1回が一般的ですが、現在はよりきめ細かなサービスの提供とニーズへの素早い対応を図るべく顧客情報管理システムを構築中です。社内で顧客情報を共有し、訪問頻度を増して提案型の営業ができるよう計画しています。

調律のブランド化で差別化を図る

PF-Edition  アコースティックピアノは気温や湿度、部屋の状態などによって一台一台すべて異なる性格を持っています。そうした諸条件を勘案し、顧客が求める音色や響き、微妙なタッチなどを的確に提供できる技術力は同社の最大の強みです。それに加えて、社長自身が調律師であり、音楽を愛し、楽器の魅力を最大限に引き出す術を知っているということが顧客の信頼と安心感につながっています。

 「差別化を図るべく、去年からブランド戦略の一環として当社で隅々まで調整した楽器を『PF(PianoFactory)-Edition』と銘打ってアピールすることも始めました。最近は住宅事情などで、ご自宅で自由に楽器を弾けないという方も増えていますので、消音装置の取り付けも行っています。まずはどんな条件であれ、弾いて楽しめなければそもそも楽器としての意味がない、と考えるようになりました。今後は防音ボックスや部屋の音響など、もっと音楽や楽器に親しんでもらえる環境を提供していきたいですね」と横田氏。

 全国的にピアノの販売数は減少していますが、特に低価格帯の落ち込みが顕著です。一方で、会社を定年退職した後にピアノを始める人などが増え、楽器の本物志向も高まっているともいわれています。横田氏は「少子化の影響で、一人のお子さんにかけるお金が増えているのかもしれない」と指摘します。

 「皆さんに音楽をもっと楽しんでもらいたいという思いで、去年からは自社のショールームでミニコンサートも開催しています。幅広い層の方々にもっと音楽に親しんでいただき、一方でこだわりのある方には徹底的に応えることで当社の独自性を追求していきたいと考えています」と横田氏は語ります。

企業理念

良い音は人の感性を豊かにする。
一、私たちは、音の専門家として、その「技術力」と「音楽の魅力」を発信し続けることで、感性豊かな人間形成づくりから社会に貢献します。
一、私たちは、お客様と共に素敵な音響空間を創造し、製造者の想いをお客様の喜びへとつなげる架け橋となります。
一、私たちは、互いに尊重し合い、誇りとやりがいが持て、人として成長を感じることの出来る会社を目指します。

会社概要

設 立:1991年
資本金:300万円
事業内容:ピアノの調律、楽器販売
従業員数:3名
所在地:岡山県岡山市南区三浜町1-2-10
URL: http://www.pianofactory.co.jp/

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