【特別版】東海地域最大のバイオガス発電が本稼働~自然環境と循環型経済の両立めざして~(株)ゲネシス 代表取締役/(有)大橋商事 代表取締役 大橋 徳久氏(静岡)

大橋徳久社長

(株)ゲネシス 代表取締役/(有)大橋商事 代表取締役 大橋 徳久氏(静岡)

 静岡県中部南、駿河湾の海岸線から茶産地として広がる牧之原市に(株)ゲネシスがあります。同社は2008年に設立、2009年1月に(有)大橋商事(静岡県磐田市)が出資し、大橋徳久氏(静岡同友会会員)が代表取締役に就任しました。

 大橋氏は両社の代表を務め、各役員も同友会に会員として参加、全社一丸経営をめざして活動しています。大橋氏は1976年生まれ。大学時代に起業精神を学び、同友会もこの時に知りました。その後は父が代表を務めていた(有)大橋商事に入社し、2012年代表取締役に就任しました。

同友会らしい企業づくりと地域づくりを糧に事業化

竣工式の様子

 (株)ゲネシスは、創業65年目を迎える(有)大橋商事(産業・一般廃棄物処理・資源リサイクル)のノウハウを生かし、現在はアーキアエナジー(株)(東京都港区・植田徹也代表取締役社長)の100%連結子会社として事業を展開、合同会社牧之原バイオガス発電所の運用を担っています。本年3月には竣工式を行い、静岡県副知事や牧之原市長らも参加しました。

 設立当初は、食品残さの飼料化を本業として取り組んでいましたが食品関連企業が比較的多い牧之原市周辺地域から生まれるさまざまな残さ物は、一様に飼料化しにくいものもありました。地域で生まれた貴重な資源を何とか生かせないだろうかと考え、植田氏と出会いました。

 同友会には2006年に入会、現在は中遠支部長を務めています。中同協の提唱するエネルギーシフト、他県会員の実践事例、「中小企業家エネルギー宣言」など、会の提唱する企業づくりと地域づくりにヒントをもらい、同社の大きな転換と挑戦を決断しました。

牧之原に根づく東海地域最大のバイオガス発電プラント

発電プラント

 構想の具現化にむけてアーキアエナジー(株)と発電プラント事業化の契約を締結。特別目的会社SPC(資産取得と投資家への配当業務のみを目的する会社)を設立し、約20億円の投資・融資で資産を調達、アーキアエナジー(株)で資金運用管理、土地建物の取得、プラント設計を行い、同社が発電プラントのオペレーション運営委託を担っています。

 敷地面積9,828平方メートルに建つバイオガス発電プラントは、動植物性残さ、汚泥、産酸、廃油、廃アルカリ(すべて有機性に限る)の産業廃棄物を日量80トン処理する東海地域で最大の能力を有しています。徹底した臭気対策と安全対策を施し、地球環境と周辺地域に優しいクリーンなプラントです。原料の食品残さ・加工くずは、脱臭された場内で荷開け・原料の前処理を行った後、メタン発酵タンクに送ります。

 世界で最も多く採用される湿式・中温発酵(運転温度35~42度、分解速度約20~30日)を採用し長期にわたって安定した運転が可能です。発酵が進むとバイオガス(主にメタンガス)が生成され、発酵タンク上層で回収して発電用エンジン(最大650キロワット/時(325キロワットが2基))で燃焼させ全量売電します。ガス生成後に残った消化槽の沈殿物は堆肥などに活用でき、余った消化液も含めて地元で利活用できるよう現在、地元の農業関係者らと模索しています。

地域社会に必要とされる企業をめざして

 現在、社員数は13名。(株)ゲネシスでは「私たちは、自然の恵みに感謝し、お客様と共に、社会と共に新たなる価値を創造して豊かな自然環境と循環型経済の両立を共に目指していきます」と経営理念に掲げています。「原料を発酵させる前処理工程などで障がい者の雇用創出の実現もしたい」と大橋氏は今後の抱負を語ります。

経営理念

私たちは、自然の恵みに感謝し、
お客様と共に、社会と共に新たなる価値を創造して
豊かな自然環境と循環型経済の両立を共に目指していきます。

会社概要

設 立:2008年
社員数:13名
事業内容:廃棄物処理業、バイオガス発電、飼料及び肥料の製造・販売、食品リサイクル関連機械の製造・販売、コンサルティング
URL:http://genesis-recycle.com/