シリーズインデックス:人が育つ中小輝業

【特別版】経営者の本気を社員に見せていますか (株)オーザック 専務取締役 岡崎 瑞穂氏(広島)(2018.05.23)

岡崎瑞穂専務 (株)オーザック 専務取締役 岡崎 瑞穂氏(広島)

 (株)オーザック(岡崎瑞穂専務、広島同友会会員)は1945年に現社長の父親が溶接加工業を創業。創業当時はリヤカーを製造し、現在は建築物や橋梁の部品を作っています。夫が二代目の社長です。

 私は短大卒業後、花嫁修業を経て結婚。第一子誕生後、「ちょっと手伝って」と言われて入社しました。人生最初で最後の就職でした。1990年11月に社長が広島同友会へ入会後、社長と同じ価値観で経営したいと思い、翌年私も同友会へ入会しました。

 当社はダイバーシティ経営をめざし、男女や国籍を問わず、年齢を問わず、障害のあるなしを問わない採用をしています。定年後もキャリアを生かせる生涯現役制度も導入しています。

 私の仕事は、社員が働きやすい環境を整えることです。例えば、6年間で残業時間を6割削減に取り組みました。この取り組みが評価され、2016年から内閣府の「働き方改革実現会議」の有識者議員の委嘱を受けました。

共同求人活動と理念づくりを始める

 当社は1992年から共同求人で新卒採用に取り組み始めました。当時は平均年齢54.5歳で 10人足らずの会社でした。若い人が入社する会社にしたいと、新社屋を建設。工場内も冷暖房完備し、コンピューター制御の機械を導入しました。それまでの採用・育成は退職者が出ると採用するパッチワーク人事で、若い人には 「見て覚えろ」という教育でした。新卒採用で就業規則も整えましたが、当時は会社にとって都合のよい規則でした。給与体系も根拠もなくバラバラで、社員からも不平不満が続出しました。

 同友会で経営指針の重要性を学び、1992年に経営指針書を成文化しましたが、社員に渡して終わり。そこで社内で経営指針作成委員会を立ち上げ、指針をつくる活動をはじめました。1994年には取引先、金融関係を呼んで指針発表会も行いましたが、経営に生かされない状態が11年続きます。そんな中、「会社の将来が見えない」と言う社員の声で気づかされ、経営計画を含めた経営指針書を全員で共有するようになりました。

 当時、会議も組織もありませんでした。会議をし始めて2〜3年間、社員の不平不満を聞くことが会議でした。社員の不平不満をすべて聞き入れ、経営者の悪い所は改め、仕組みづくり、教育訓練によって改善していきました。社長の都合で動いていた会社が、ルールや仕組みで動くようになりました。

不景気がやってくる〜悪いことは続く

 1992年にバブル崩壊。売上を上回る借入金があり、資金繰りに追われる日々が約10年続きました。取引先の倒産、銀行からの貸し剥がし、貸し渋り、リースも組めない状態でした。人材採用もできなくなり、社長は何人分もの仕事をこなすため夜中まで働くという状況でも社員の解雇や給与カットだけは行いませんでした。そんな中、社長の右腕が亡くなり、若手社員が交通事故を起こすなど、これでもかというくらい悪いことが重なりました。会社の雰囲気も暗くなっていました。

 ある時、若手社員のA君の行動を注意できないと部長が相談にきました。部長は「注意すると仕事がやりにくくなるから言えない」と言うのです。私は「もしA君が自分の息子ならどうする?」と聞くと、「わが子なら叱ってでも注意しますよ」との返事。

 そこで、社員を家族だと思わなくては、社員を本気で指導することはできないし、社員も本気で受け止めてくれないと気づいたのでした。社員は借金を返す道具だと思っていた経営者でしたが、課題が出てくるたびに「家族だったらどう対処するか」を考えるようになりました。

社員にコスト意識・提案力・発想力が芽生える

 経営者の知恵だけでは限られます。「すばらしい家族がたくさんいる。みんなの知恵を借りよう」と思うようになり、コスト削減の提案を全社員に募りました。社員からすばらしい提案がたくさん出ました。景気の影響もありますが、全社一丸となって努力したおかげで、しだいに黒字に転換しました。自分たちが考えた案が会社の中で取り入れられたことはやりがいにつながったと思います。

 社員に頼る、問いかける、考えさせる、失敗させる、また考えさせるというPOCAを回してきた結果、何も考えずに与えられた仕事だけをしていた社員が、常に考えながら仕事をする社員に変わっていったのです。

休日を増やすことはデメリット?

 2012年から社員の要望で完全週休二日制にしました。「1年後に生産高が落ちたら元にもどすよ」という社長から条件での導入です。案の定、1年後には生産高が落ち「元にもどす」と社長は言いました。数日後、製造部の部長が社長のところへ来て「1年、猶予を下さい。工夫して生産高を上げます」と言いました。交代制の休憩時間 、忙しさの見える化、多能工化の推進などで、1年後見事に生産高を100%以上にしていたのです。「社員を幸せにしたい」と考えると「仕事と家庭の両立支援」の計画も次々と浮かび実践できました。

 育児休暇や有休休暇の取得や完全週休二日制の導入は、生産性を下げると言う経営者が多い。私も以前はそう思っていましたが、逆でした。休日を増やすことで、社員は生産性をアップするための工夫をします。利益も増えました。休みを取ることで稼働率を下げると経営計画通りの利益が出ない。利益を出さないと、会社は発展しない。そうしないと、自分たちの生活は豊かにならないと知っているからです。経営計画を共有している成果です。

経営者の責任

 社員が成長しないのも、潜在能力を出せないのも、会社の利益が上がらないのも、社内で否定することがあれば、すべて経営者の責任だと気づきました。

 顧客満足=会社の発展=社員満足だと思っていましたが、社員満足=顧客満足=会社の発展だと思うようになりました。社員が満足できない会社に成長はないと思います。経営者の究極の顧客は社員です。
 働きやすい会社にするのもしないのも、経営者の覚悟しだいなのです。 オーザックに入ってよかったとすべての社員に思ってもらえるよう、 進化し続けていきたいと思っています。

会社概要

設 立:1969年
資本金:3,000万円
年 商:9億6,000万円
社員数:40名(うちパート2名)
事業内容:建築金物、橋梁金物、各種吊具の設計・製造・販売
URL:http://www.auzac.jp/

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