シリーズインデックス:人が育つ中小輝業

【第7回】若手職人が育つ会社へ (株)中村タイル商会 代表取締役 中村 正昭氏(福岡)(2018.07.11)

中村正昭社長 (株)中村タイル商会 代表取締役 中村 正昭氏(福岡)

社屋概観  (株)中村タイル商会(中村正昭代表取締役、福岡同友会会員)は、国産・輸入タイルの販売、ならびにれんが・石工事施工を行っています。明治45年の創業以来100年以上にわたり、タイルを通して福岡の都市づくりを支えています。社員は現在9名で、そのうち2名は新卒採用の若手社員です。時間をかけて培った技術がものをいう職人仕事で、社内の仕組み(研修、労働環境や評価制度など)についても整備に取り組んでいます。

新卒採用に取り組むきっかけ

 現在では継続的に採用活動に取り組む中村氏ですが、以前は新卒採用をするつもりはありませんでした。きっかけとなったのは、ある質問でした。経験の長い職人が多い中で、中村氏が社内で最年少という状態でしたが、ある時に職人から「(若い人を雇わないので)会社を続けるつもりはないんですか?」と尋ねられたのです。

 最初は、若い人を呼んできてもどうするのか、大卒でうちに来る人なんていない、という不安や葛藤がありました。しかし、福岡同友会の共同求人委員会に見学という形で参加し、「自社でも全く新卒採用ができないわけでもなさそうだ」と思い直します。

新卒採用の一歩を踏み出して

 大学の学内合同企業説明会に参加してみると、ブースまで自ら来た学生は多くありませんでした。しかし空いた時間に就職課の職員と話をしていたところ、その職員から学生を紹介され、そのまま、採用試験、内定、入社にまで至ります。初めての新卒採用でした。

 しかし、そこからは順風満帆とはいきませんでした。社員の休職・退職を経験し、マッチングの難しさを実感しました。

 それでも、そうした学びも含め、新卒採用の継続した取り組みは社内に変化をもたらしています。

会社の変化と研修制度の整備

作業の様子  若者が入ってきて、社内の雰囲気が明るくなったと中村氏は実感しています。若い人のはつらつとした声が活気を生み、社員同士の会話が増えました。

 研修制度については、新入社員は5月中旬から愛知県の建築専門学校に行き、そこで建築の座学、タイル張りの実技研修を学びます。離れた地での研修となりますが、Web上に研修報告書を毎日アップロードさせるようにしています。それに対してメンターとなる社員はもちろん、それを見た他の社員もコメントを返すことでコミュニケーションを途切れさせないようにしています。専門学校は成績によって席順が決められるなどシビアな環境ですが、昨年度入社した社員は、先輩社員よりも良い成績をとることを目標にしたことにより、良い影響関係が生まれています(そして、実際に優秀な成績を修めています)。

 9月後半からはOJTを行います。現場で職長に付き、現場のこまごまとしたことをこなしながら、職人の仕事を学びます。3月に専門学校にて卒業検定を受けると、晴れて「タイル技能士補」となり、入社一年目が終了します。

 新卒採用に伴い、労働環境の観点から、給与規定や入社3〜4年目までの評価制度について整備しました。また、研修・フォローの体制づくりは、技能を身につけることや社内環境を整えることだけにとどまらず、コミュニケーションの訓練も取り入れています。与えられたテーマに沿って文章を書くセミナーを新入社員研修に取り入れ、チームワークに必要な表現力も鍛えます。

 初めての大卒新卒採用という挑戦をし、一歩ずつ前進する中村氏。新しくものづくりに取り組む若者が育つ企業づくりを進めています。

社員さんの声

社員さん 氏名:島居 尚哉さん(入社2年目 23歳)
仕事内容:タイル工事施工

Q1.入社するきっかけは何でしたか?
 体を動かす仕事、自分の仕事が形に残る職ということで建設業を希望していました。学部学科や資格などの条件がある会社が多かったですが、中村タイル商会は学科不問で、専門知識は入社してからの研修ということで条件に合致していました。

Q2.昨年の研修期間はいかがでしたか?
 専門学校では、最初は成績が下の方で悔しかったです。やっていけるか不安でしたが、最後には自分が思っていなかったようなよい成績を修めることができました。

Q3.現在働いていて思うことはありますか?
 現場見学会に参加したときには、タイルを張っている様子しかわかりませんでしたが、一年間タイルについて学び、張るまでの作業工程の多さを知りました。
 現場での作業は楽しく、自分に合っていると思います。これから初めて夏の現場を迎えるので、覚悟をしているところです。
 また4人のチームで作業をしていて、チームワークが大事だとわかりました。まだ自分ができないことが多いので、作業効率をあげるため、職人さんの負担を減らすためにできることをやっています。自信をなくしそうなこともありますが、焦りすぎないよう、モチベーションを保つようにしています。

Q4.今後の目標はありますか?
 今は現場で見習いの立場なので、まずは仕事を覚えたいです。まだできることが少なくもどかしい思いですが、会社に貢献し、自分がいてよかったと思ってもらえるようになりたいです。
 また、来年には新しく入ってくる後輩に教えられるように頑張ります。

経営理念

住まいにおける心地いい空間創りを通して、世の為・人の為に寄与し、建築文化の継承と発展に貢献します。

会社概要

創 業:1913年
資本金:1,326万円
年商:3億900万円
事業内容:国産・輸入タイルの販売並びに施工、れんが・石工事施工
従業員数:9名
所在地:福岡市早良区有田7-24-6
TEL:092-852-7328
URL:http://www.ns-tile.com/

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