シリーズインデックス:人が育つ中小輝業

【第16回】自然でいられる学びと就労の場づくり NPO法人CCV 理事長 福田 由美氏(栃木)(2018.09.26)

福田由美理事長 NPO法人CCV 理事長 福田 由美氏(栃木)

 福田由美氏(NPO法人CCV理事長、栃木同友会会員)は嫁ぎ先だった栃木県鹿沼市の小中学校で25年間教師として児童・生徒を教えていました。そこには、大勢で同じ事をする授業に適応できないでいる子どもたちがいました。以前はこんな現象はなかったのに…。現代の画一的な学校教育について疑問に感じていた福田氏は発達障害について学び、学校内でさまざまな取り組みを始めました。そして、学校では荒くれている生徒も、学校を離れて自然体でいられる場所ではとても穏やかになるということを知ります。比較されることも、強制されることもなく子どもたちが自然体でいられる場所をつくろう。そんな思いから学校を退職し、自宅でフリースクールを開きました。

 2008年、自分一人ボランティアからのスタートでした。

ベルを鳴らす人たち

綿花栽培  それからさまざまな人が福田氏の自宅のベルを鳴らしました。最初は教え子の母親でした。NPOで福祉施設をつくろうと思案していた神戸真弓氏(現副理事長)は、同じくNPOのフリースクールを創ろうとしていた福田氏と意気投合。障がいのあるなしにかかわらず将来にわたっていきいきと暮らしていける場をつくるために、NPO 法人CCV(クリエイティブ・コミュニケーション・ビレッジ)を立ち上げ、ともに運営に携わることになります。

 その後もさまざまな人が福田家のベルを鳴らしました。自分や家族を助けてほしい人、そしてそういう人たちを助けたい人たちです。

 子どもたちが自然体でいられる場所には、多様な人たちが必要です。おばあちゃん、おじいちゃん、おばさん…そこに農業生産者や世話好きな商店経営者も加わっていきます。いろんな立場の人たちが集まり、子ども一人に対して複数の大人がかかわるようになりました。子どもたちは綿栽培を行ったり、高齢者施設の人たちと交わったり、花屋さんのお手伝いをしたり、多様な人たちとのかかわりの中で緩やかに成長していきます。

 やがて、子どもたち一人ひとりの自立に向けた取り組みは「CCV学園」が行い、成人期には「CCVトランジションセンター」で一人ひとりが輝ける環境調整と職種のマッチングを行い、「CCVウェルフェア」で就労支援を行うなど、加速度的に活動の幅が広がっていきました。

鹿沼自動車教習所との共働

 (株)鹿沼自動車教習所の古澤社長も福田家の自宅のベルを鳴らした一人です。

 古澤社長は過疎化と少子化に加え、若者の車離れで免許取得需要が激減する中、発達障がい者の人たちに免許証を取得してもらえる仕組みづくりを模索していました。「発達障がいを持つ人たちは適切なケアを受ければ、十分に社会生活を送ることができるのに、免許がないことが大きな障害になっている。ぜひ、一緒にこの課題に取り組んでください」。それ以来、鹿沼自動車教習所とCCVの二人三脚での取り組みが始まり、発達障がい者等免許取得支援システム「つばさプラン」が生まれました。

 「つばさプラン」は、入所前の面談とオリジナルで作られた適性検査を基に個別の支援計画を作成します。入所後はコーディネーター(CCV職員)が一人ひとり卒業するまでサポート、さらには卒業後のフォローアップまで行うようになりました。「発達障がい者が免許証を取れる」。この噂は全国に伝播し日本中から受講生が集まり、わずか7年の間に170名の卒業生を出す事業になりました。

鹿沼への移住者が増える!?

 しかし、入所前の面談・オリジナルの適性検査の結果「つばさプラン」に乗れない人もいます。鹿沼自動車教習所では「つばさプラン」をさらに深め、運転免許取得に臨めなかった人に対しては、CCV学園で学び、その後再度、運転免許取得にチャレンジし直す「あおぞらプラン」を構築しました。知的障がい者だったAさんは3年間CCV学園に通園し、基礎学力を上げて、再度免許取得に挑み見事に合格しました。彼はその間も鹿沼に住みCCVに通っていましたが、免許取得後の就職先もCCVが探し、そのまま鹿沼に定住することになりました。

 「どんな人でも、何歳になっても、人は人に支えられ受け入れられる居場所や、人の役に立つ喜びを得られる環境が必要なんです」。福田氏の生き方に賛同した人たちがさまざまな所から鹿沼に集まってきました。CCVの活動は現在、学習支援、生活支援、就労支援、余暇支援、保護者支援などに広がり、それぞれの分野に専門のスタッフが集まり、人を育てるコミュニティの中核を担う存在となってきました。Aさんのように「つばさプラン」「あおぞらプラン」で移住してきた人。また、スタッフとしてCCVで働きたいと遠方からやってきてそのまま、鹿沼に定住することになった人は、この夏で実に15名になりました。

 子どもたちが自然体で暮らしていける場づくり、その取り組みは世代や地域、障害のあるなしを超えて、多様な人々が輝ける街をつくりはじめています。
地域連携

社員さんの声

社員さん 氏名:代田 剛嗣氏
仕事内容:CCV学園講師、就労支援アドバイス、鹿沼自動車教習所における受講生サポート他

Q.入社を決めたきっかけは?やりがいは?
大学・大学院を通して心理学を学び群馬県の障がい者福祉施設で働いていました。自身の免許証取得のために鹿沼自動車教習所で学び、その際に世話をしてくれたCCVとのかかわりでトラウマを超え、免許証を取得することができました。そして理事長の考え方に魅せられて共に働くことになりました。福田理事長が深堀りし、広げていくものを整理し、つなげていくのが自分の役割だと確信しています。

法人理念

「地域で生きる」

会社概要

設 立:2008年
事業内容:不登校・ひきこもり・発達障害などの子どもたちへのサポート、障害者の就労・生活支援、コミュニティーカフェやグループホームの運営など
従業員数:34名
所在地:栃木県鹿沼市鳥居跡町1420-11
TEL:0289-74-7070
URL:http://ccv-npo.com/

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