【第17回】経営指針更新は最も効果的な社員共育 (株)セイコーハウジング 代表取締役社長 元木 康浩氏(徳島)

元木康浩社長

(株)セイコーハウジング 代表取締役社長 元木 康浩氏(徳島)

一人経営指針から全社的な経営指針へ

会社概観

 (株)セイコーハウジング(元木康浩社長、徳島同友会会員)は、徳島市内で長期優良住宅やゼロ・エネルギー住宅、OMソーラーを手掛けている注文住宅メーカーです。

 元木氏は、父親が創業したセイコー建設(現セイコーハウジング)へ27歳で入社し、2年後に社長を任されるようになりました。間もなく、経営理念を確立しましたが、朝礼で唱和をするだけで、浸透はしていませんでした。その後、一人で経営計画を確立し、社員へは一方的に伝えていました。バブル崩壊後でも住宅業界は好況で、OMソーラーや高気密住宅などが受け入れられ、順調に売上を伸ばしていました。「経営計画があればよく、経営方針の必要性は感じなかった」と元木氏は言います。

 状況が大きく変化したのは、消費税が3%から5%になった時です。売上が激減し、今後は目先だけでなく、中長期的なビジョン(経営方針)が必要だと感じました。さらに追い打ちをかけたのが、新築工事中の施主から、柱からカビが出ているとのクレームでした。協力業者の職人による雨対策の養生があまかったことが原因でした。社員には経営理念を伝えており浸透していると思っていましたが、職人には理解されていなかったと痛感した出来事でした。

 一人で考えたって前に進まない、人に言われて気づくこともあると元木氏は思い、一人でつくっていた経営計画と、その前提になる経営方針を社員と一緒につくることとしました。

 まず、方針策定の基となるSWOT分析に取り掛かりました。特に内部要因の強み・弱みでは、社員から現場の具体的な意見が出され、外部要因とかけ合わせることで方針が見えてきました。同時に社内で共有することができるようになりました。次に出された方針をもとに、部門ごとから年度計画を策定することにしました。

 また、同時期に協力業者会である「匠会」を発足し、工事関連の話も勉強もしながら、理念を共有できる内容にして、毎月開催することにしました。

会議で変わりだした社内の雰囲気

社内の様子

 方針・計画の更新を全社で取り組むようになってから、会議のあり方が伝達から意見を出し合うように変わってきました。大まかに部門会議と全体会議をしていて、部門会議は、仕事に対してどう動くか、仕事の効率など各部門からアイデアを出してもらっています。また、全体会議では、会社全体の方向性の学びの場となっています。「会議はともに学び合う場」になってきました。社員と一緒になって会社を変えていこうとしてきた中で、小グループ活動が生まれました。会議が縦の流れだとすると、小グループは横串をさす存在です。役職や部署を超えてのつながりができ、社内の風通しがよくなりました。結果皆がリーダーとなり主体的に動けるようになってきました。現在は、顧客満足グループ、社員満足グループ、業務改善グループなど、6グループが活動中です。

10年ビジョンに向けての社員共育計画

 10年ビジョンを検討する中で年齢構成を見ると、新卒採用の必要性が感じられるようになり、一昨年より新卒採用を始めました。今年度も内定をだしており、今後定期採用を続けていく方針となっています。それに伴い、来年度より実施する年間の社員「共育」計画を策定している最中です。

 会議や小グループ活動を通して、全社員が経営方針、経営計画にかかわるようになると会社の方向性が見え、一人ひとりの社員が目標を持ち、当てにし当てにされる関係が構築されてきました。「社員共育の根幹は全社的な経営指針の更新だ」と実感を込めて語る元木氏でした。

社員さんと共に

社員さんの声

社員さん

吉永 怜奈さん(入社2年目) 
仕事内容:インテリアコーディネーター

Q1.どういった仕事内容でしょうか。
 壁紙やカーテン、収納など内装を施主の要望に沿って提案しています。打ち合わせでは、イメージしにくい所をパースや図面などを用いて説明しています。新築やリフォームなど常に複数の案件を同時進行している状態です。

Q2.入社の動機は何ですか?
 建築関連の専門学校で就職活動をしている時に、社長よりOMソーラーを聞いて興味を持ちました。自分でも調べてみてより興味を持ち、卒業制作でもOMソーラーを使った家の図面を書きました。

Q3.社内の雰囲気はどうでしょうか。
 先輩社員は皆さん優しく、風通しが良いです。入社して2年目ですが、分からないことがあると丁寧に教えてくれますし、経験が浅い私にも営業会議で女性としての意見を求められることがあります。

Q4.働きがいは?
 施主様の大切なお金を預かり、お住まいとして形にしていく責任があります。
 内装は工事の終盤で決めることが多く、デザインも多種多様ですが、自分がおすすめするデザインを選んでもらえ、それが施工された現場を見たときはとても嬉しいです。竣工して引き渡す時は、かかわれて良かったと思います。

 今後、インテリアコーディネーターとして知識を高めスキルアップして、もっといいアイデアを提案していきたいです。

経営理念

心と心で満足と喜びを創る セイコーハウジング

会社概要

創 業:1970年
年 商:4億3,000万円
資本金:1,000万円
事業内容:住宅設計施工・不動産業
従業員数:社員10名、パート2名
所在地:徳島県徳島市北矢三3丁目1番79号
URL:http://seikohousing.co.jp/