シリーズインデックス:人が育つ中小輝業

【第23回】あなたの人生を飾りたくて (株)クラベル・ジャパン 代表取締役社長 平田憲市郎氏(佐賀)(2018.11.14)

  (株)クラベル・ジャパン 代表取締役社長 平田憲市郎氏(佐賀)

   佐賀県唐津市にて昭和30年(1955年)代に祖父が菊の栽培を始め、その後父が平田花園としてカーネーションの栽培を始めました。2017年1月に平田憲市郎氏が(株)クラベル・ジャパンを法人設立し、代表取締役社長に就任しました。現在、カーネーションの栽培と併せて、レインボーカーネーションなどの加工生花、保水補水効果が高いカーネーションエキスを使ったスキンケア商品や生花のアクセサリーの製造販売、観光農園など、多岐にわたる事業を行っています。

自社と地域が成長するために

   2008年に佐賀同友会に同じ農業、同級生そして親戚でもある木須氏の紹介で入会しました。入会の契機は「経営者としての彼の成長に驚き、負けたくなかった」と平田氏は言います。

 経営指針書も夫婦一緒にセミナーを受講し作成しました。そして経営指針発表会も行いました。大勢のお客様を迎え行った第1回目の発表会には、社員がだれも参加してくれませんでした。2回目は神妙な面持ちで席に座るわずか数名の社員。3回目は利益計画が赤字だったため、その部分は飛ばして発表しました。その様子を参加した同友会の仲間は見逃しませんでした。指摘を受け「わかっています。悔しいです!」と毎年泣き崩れる平田氏の姿がありました。

 同友会活動に参加する中で、佐賀県や人口減少と若者の流出の現状を知りました。「10年後には唐津が無くなってしまう、会社と地域に若者を残す事を同時に行うには、自社と地元の企業の成長と発展しかない」と、同友会活動ではなく、同友会運動に積極的にかかわることを決めました。

 「仕事が終わらないので」「お客様が」を秤にかけ「天秤野郎」と言われた時期もありましたが、例会や他県フォーラム、全国行事に積極的に参加する中で多くを学び、そして運動の展開から自社と地域が成長する実践も重ねました。その後役員、支部長、理事、副代表理事を経て2018年度に38歳で代表理事に就任しました。

ヒラタの人生飾りたくて

   2016年、福岡同友会の有田電器情報システムの有田氏と出会います。有田氏のビジョンと同友会で学んだことの実践事例に感銘を受けました。平田氏が大きなハードルと思っていたこと、つまり「採用」を有田氏はその経験を笑いながら語りました。「5年連続で新卒採用しないとわからんよ」の言葉でスイッチが入り、5年間連続で新卒採用を決めました。

 翌春、新入社員が入社しました。これまでは家族経営でしたが、初めての正社員、新卒採用と中途採用です。学校や前職で専門的に学んだ人が2人も入社してくれることになりました。同友会の合同入社式への参加、就業規則、賃金規定の作成、経営指針の社内勉強会、教育のプログラムや定期的な面接を行う準備も整いました。平田氏には、いよいよ発展のステップが始まる、社員が入社し会社を伸ばす事でスタートが切れるとの思いがありました。

 しかし、1年を待たずに2人は退職する事になりました。翌年に入った社員も早期に退職してしまいました。悩み、落ち込んでいる中、同友会の仲間がこう言いました。「あなたの人生飾りたくて」の経営理念は、社員の強みを伸ばし弱みを補っていたのか。命令や指示だけではなかったのか。社員の描く未来や暮らしをかけることができるビジョンが描けていたのか。共に補いながら共に育っていたのか。実は「ヒラタの人生飾りたくて」になっていなかったか?

 あらためて「農家・家業から公器としての企業」「人材が会社と社長を成長させる」責任が自分自身にあったのか、つまり「労使見解」を身を持って学ぶこととなり、新会員と共に2度目の経営指針成文化塾を再受講する事を決めました。

いつも地域の願いを試されている

   学校教育にも深くかかわり、中学、高校、大学にて授業も行っています。子どもたちの親との関わりも増えています。働く事で、家庭と地域をよくすることや農業についての可能性を語っています。地域の信頼も厚く、社風改善に向かう企業の姿が話題となり、2019年には地元の商業高校と工業高校から2名の新卒社員を迎える事になりました。

 また、消防団などの地域活動を積極的に参加し、団員の中で岩本翔太氏と出会いました。大学卒業後に大手の企業に就職しますが、4日で辞めてしまいました。その後もいくつかの大手企業に転職を行いましたが長くは続きませんでした。その理由は「将来の不安」でした。人とかかわる仕事がしたかったが生産ラインに配属され、新人であっても営業力が高く営業が好成績のため管理職への声がかかったが、先輩の管理は難しい。私事・個性・夢が認められない組織や仕事に悩んでいた時に平田氏と出会いました。「故郷をよくするには、仕事と生活が満たされ、社員が幸せにならないといけない!」の言葉に感銘し入社することになりました。

 農業、地域、社員の幸せな将来や可能性を語り、役割と足りないものを伸ばすために社員に迎える。みんなパートナーとして幸せになろう!という雰囲気が平田氏のみならず社風として息づいている、(株)クラベル・ジャパンに新しいメンバーが増えました。

社員さんの声

社員さん 岩本 翔太さん(29歳 唐津市出身)

Q1.入社の時の思いは?
 クラベル・ジャパンなら、会社の成長にも直接かかわれることで自分も大きくなれることを確信しました。可能性に溢れている会社だと思っています。会社も私も初挑戦のことが多く、慣例にとらわれない仕事ができます。実家も農家なので、会社にも実家にも良い影響が出るのかと思っています。農業の面白さや、父の苦労も知ることもできました。また実家の作業などの手伝いも役に立っているのかと思います。
 実は私はガラスのハートの持ち主なんです。失恋すると大きなダメージを受けてしまいます。クラベル・ジャパンは「失恋休暇」という規定があり、その休暇は使いたくありませんが、万が一の時にも会社の皆さんが応援してくれる事にも驚きました。

Q2.成功や失敗談
 お客様との打合せ中に、当社の商品についての「ダメ出し」をしてしまいました。その時の背景や内容を知らないまま、前職での経験のみで言ってしまったことに後悔しています。社長の悲しげな顔が忘れられません。その後に同友会の方から、社長自身がそんな顔をしたことに後悔しているということを聞きました。平田社長が「足りないものを伸ばすために翔太君に来てもらったのに、共に伸びようと約束したのにあんな顔をした自分が恥ずかしい」と話した事を聞き感動しました。
 今回「唐津くんち」の時に生花販売を行いました。「唐津くんち」の時には売れないというこれまでの考えを変えて、やってみようと言ってくれました。実はノルマや目標達成することが好きなので、充分な結果がでるかと思います。

Q3.仕事を通じて思った事は?
 クラベル・ジャパンは驚きや感動をお客様に提供していますが、社内ではそれぞれの人が足りないものを作ることができる会社だと思っています。新入社員は「アウェー」の雰囲気で仕事に就きますが、初日から「ホーム」の雰囲気で自分自身が見出せる職場だと思います。だからこそ毎日の振り返りをすることができたのではと思います。

経営理念

あなたの人生飾りたくて…

会社概要

創 業:1955年
設 立:2017年
資本金:500万円
年 商:4,500万円
事業内容:カーネーションの栽培、スキンケア・装飾品の製造、観光農園
従業員数:社員4名 パート7名
URL:http://clavel-japan.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/clavel.japan/

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