【第23回】「自立型企業をめざす」基本は人づくり-エイベックス(株)社長 加藤 明彦氏(愛知)

エイベックス(株) 社長
加藤 明彦氏(愛知)

取材を通じて初めて訪問

 私がエイベックス(株)(加藤明彦社長、愛知同友会会員)を最初に訪問したのは1995年の初めごろでした。当時、仕事は自動車のAT(オートマチック・トランスミッション)のバルブを年間2000万本も製造する部品加工業、資本金は1000万円で従業員48名、年商は10億円で、20代の若手社員を集めたプロジェクトが構想した新社屋の食堂には60席のテーブルがあって、将来はここまでの社員数にしたいという夢を熱く語っていました。社長はコンピュータを自分で操作して経営分析を進め、その数値を元にして経営計画を作成し、お客様や金融機関にも示していました。これからは専門知識を持った工学部卒業の社員採用が課題になるとも考えていました。

時代変化を読む

 エイベックスはもともとはミシンの部品を扱っていました。ミシンが海外に生産移転されて仕事がなくなり、次に展開したのが8ミリ映写機の部品です。ところがこれも1976年ごろにはビデオに時代変化して仕事がなくなり、それ以後の自動車部品です。自動車部品もいつまでも安泰とは考えていません。自然燃料の枯渇という地球環境を意識すれば、自動車はこれから変化します。その変化に合わせてどんな仕事を確保するか。5年前から若手幹部を中心に検討を進めてきた「ビジョン」が今年の経営指針発表会で紹介されました。その捉え方はエイベックスが得意なのは「ATのバルブ」ではなく、「切削」と「研削」という機能でした。

中国に出るのか? 出ないのか?

 現在は従業員120名、年商20億円まで成長してきました。生産量はATのバルブ5000万本です。2004年1月に三重県多度町の3000坪の敷地に600坪の建屋で多度工場を竣工しました。本社工場は特注部品、多度工場は量産部品に対応しています。今年5月の経営指針発表会では既に多度工場を増設する増産計画を発表しました。

 加藤社長は海外進出する前提として、「(1)企業経営体質が強化していること。(2)技能・技術者が育っていること。また、海外に進出する目的は新規顧客の開拓による市場創造であり、国内の仕事が減少するから進出するのではない。その意味で『世界から仕事が集まる魅力のある多度工場』」をめざし、最近は国内はもとより海外にも営業活動を進めています。

若手幹部を中心にした、人材育成

 取材で経営課題をお聞きしてから10年、当時中小企業の共同求人に参加することをお勧めしまたが、即座に求人活動に参加され、1997年には共同求人委員長を経験しました。来春の新入社員で共同求人採用者が正社員の半数を超えます。4~5年前から旧国立大学工学部卒業の専門知識を持った学生が入社して来るようにもなりました。95年に初参加で入社した社員が31歳で部長として活躍しています。

 将来ビジョンの検討作業、経営指針の作成・発表会、グループ討論の運営まで若手幹部の人たちが進めます。経営指針発表会の懇親会では「社内技能コンテストの優秀者」が全社員とお客様の前で表彰されました。今年は入社2年目の新人が「特別賞」を受賞しました。

会社概要

 創業:1949年
 会社設立:1964年
 従業員数:120名(正社員50名、パート70名)
 資本金:1000万
 年商:20億
 事業内容:ATバルブの製造を中心に「切削」「研削」加工業
 所在地:名古屋市瑞穂区26-3
 TEL:052-811-1171
 URL:http://www.avex-inc.co.jp/