【第41回】熊本の産直素材にこだわった商品づくりで地域おこしを-(株)熊本菓房社長 布井 吉治氏(熊本)

~「本物」・「手づくり」・「産直」3つのテーマでオンリーワン企業へ~

(株)熊本菓房 社長
布井 吉治氏(熊本)

創業から数々の転機を乗り越え

 (株)熊本菓房(布井吉治社長 熊本同友会会員)は、天草郡本渡町(現在の本渡市)で1950年に菓子パンの小売業として創業しました。その後1970年に土産菓子の製造販売業へ移行。天草五橋の完成と同時に販売した「天草サブレ」は大ヒットし、それをきっかけに熊本市へ本社を移転。その後も数々のヒット商品を生み出し、熊本で確固たる地位を築いてきました。

 しかし、その間順風満帆であったわけではありません。観光ブームに乗って新商品を発売し、直営店の出店ラッシュを続け、1987年には当時西日本ではトップクラスの衛生管理施設やシステムを導入した新工場を建設して二桁成長を続けてきましたが、バブル崩壊後は、業績が悪化。布井氏は、当時社長であった兄と共に生産部門の見直しやケーキブティックの開店、エクロール事業部(提案型営業)の展開、PB・OEM商品の製造販売で対応してきました。

社長就任~第2創業の決意で~

 同友会へは2004年に入会。2003年に社長へ就任したばかりの布井氏は、すぐに熊本同友会の「社員共育大学」を常務、工場長と共に受講。経営陣の意思疎通の強化を図りました。そして山口義行立教大学教授の講演会をヒントに経営改善計画書の作成に着手。「とにかく、創業の原点に戻り、自分が創業者のつもりでやっていくしかない」と決意。事業発展計画書を社員に発表し、お客様第一主義、環境整備、重点主義の方針を全社で実践。特に商品開発に関しては、(1)本物志向、(2)手づくり志向、(3)産直志向をテーマにオンリーワンの商品づくりに取り組んできました。布井氏は高級果実として全国に出荷されていたデコポンに注目。モデル商品としてJA芦北と共同で「デコポンぜりー」を開発しました。全国の百貨店からも問い合わせが増え、京阪神、東京への販路を拡大中です。

 さらに、全国有数の栗の産地である球磨郡山江村の栗を生かした「栗みなは」や荒尾特産の新高(にいたか)梨を生かした「梨ぜりー」などを開発、展開中です。

お菓子で「地域おこし」を

 布井氏は社長になった現在も、社員と共に毎週2日間は商品開発に携わっています。「県内で埋もれている産直素材を活用し、高付加価値商品の開発と企画提案で熊本の地域おこしに貢献したい」と語ります。いま最も力を入れているのが阿蘇地区における「阿蘇おやき」の提案です。阿蘇名産の高菜を使い、実演販売などを取り入れ、世界的な観光名所である阿蘇を活性化させていくこの取り組みは、既に推進中で、地元新聞にも採り上げられました。今後の展開が注目されます。

会社概要

 創業:1950年
 従業員数:180名
 資本金:3200万円
 年商:16億円
 事業内容:和・洋菓子製造販売
 本社所在地:熊本県熊本市戸島町920-3
 TEL:096-380-3535
 FAX:096-380-5578
 URL:http://www.kabou.com/