【第4回】社員とともに地域に愛され「為に生きる」企業づくり-(株)タマツ 社長 玉津 弘之氏(山形)

 

(株)タマツ 社長
玉津 弘之氏(山形)(弘之氏と夫人で専務の初美氏)

 日本海に面する庄内地方。昨年秋に合併し、山形県第2の市となった鶴岡市を中心に、(株)タマツ(玉津弘之社長、山形同友会会員)は、介護用品の販売やレンタル業を営んでいます。創業以来21年、お客様に喜んでもらえることを第一に、「為(ため)に生きる」ことを信条に発展してきました。

「社員といっしょにやりたい」という思いが伝わらない

 前社長の父が、寝たきりの祖母のためにエアマットを見つけ出し、地域で無料貸し出しをしたことが創業のきっかけでした。1983年、教職を定年退職した父がホームケア荘内を設立。介護で苦しむ人のために、退職金をすべて注ぎこみ、「世のため、人のため」と利益を出すことなど眼中にありませんでした。

 父が病気で倒れた1993年に、玉津社長と奥さんの専務が引き継ぎ、当初は5~6人の従業員で、アットホームな雰囲気で働いていました。

 2000年の介護保険の導入で、市場が拡大され業務内容が複雑かつ専門的になり、社員数も一挙に13人と増えました。2003年に新社屋完成・株式に組織変更し、これからという時に、苦楽を共にしてきた中堅の社員が何人も辞めていきました。「社員といっしょにがんばっていきたい」という思いが伝わらず、「自ら営業の先頭に立ち、業務拡大と合わせて多くの課題が生じ、孤独の日々だった。経営者として岐路に立っていた」と玉津氏は語ります。

社員と共に同友会で学んで

「お客様に喜ばれ、社会も必要としている業種なのに、なぜ辞めていくのだろう」と思い悩んでいた玉津氏は、2003年同友会に入会。庄内支部設立の準備会例会が毎月開催され、例会が(株)タマツの本社2階で行われるようになってからは、社員といっしょに参加しました。例会で心底から経営の悩みを話し合える仲間ができ、経営者の役割を徐々につかんでいきました。

 例会で社員と共に学んだこと、気づいたことを社内でどんどん取り入れました。朝礼、グループ討論を社内会議に応用し、社員の意識も少しずつ変化し自分の意見を出すようになりました。

 同友会とのかかわりの中で、社長が変われば社員が変ることを学び、何よりも玉津氏の社員に対する思いが変わりました。社員は家族と同じ、それぞれ能力の違いを認めることができるようになりました。

経営理念の実践で地域に貢献できる企業づくりを

 

 「自分の考えを形にし、伝えなければならない」と決意し、昨年、経営指針作成セミナーを受講、第二創業の気概で挑戦しました。「何のために経営しているのか」「どのような会社にしたいのか」「社員に対する基本姿勢は」と問いかけられ、四六時中考え、真剣に自分と社員と向き合いました。心の底から絞りだした経営理念はぶれることがなく、朝礼で唱和する度に胸が熱くなるといいます。

 昨年8月に完成した「経営指針書」をもとに、社内の各部署で目標と課題を検討し、12月には経営指針発表会を行いました。部門別に目標と課題は社員が発表し、今まで以上に地域に貢献できる企業づくりをしようと、社員と思いを一つにすることができました。

 経営理念の理解と実践が次の課題です。経理部門は期の計画を月単位に振り分け、具体的に数字を出して目標を共有しています。社内ホームページも作成し、情報を共有しています。
「今までは、社員を引っ張ってきたが、これからは親の気持ちで後ろから押し上げるような存在でありたい」と語る玉津社長です。

会社概要

創業:1983年
資本金:1000万円
年商:5億1000万円(2005年度)
社員数:27名
事業内容:
  ・介護用品、福祉用具の販売及びレンタル
  ・居宅介護支援事業
  ・寝具・マットレスの消毒乾燥
  ・住宅設計、施工及び住宅リフォーム企画、立案、施工
  ・福祉車輌等各種自動車の販売
  上記に付帯する一切業務
所在地:山形県鶴岡市美咲町32-7
     TEL:0235-23-6333  FAX:0235-25-3889
ホームケア荘内【鶴岡店】:山形県鶴岡市美咲町32-7
     TEL:0235-24-3333  FAX:0235-25-3889
ホームケア荘内【酒田店】:山形県酒田市亀ヶ崎3-1-10
     TEL:0234-23-0721  FAX:0234-23-0716
URL:http://www.tamatsu.jp/