【第8回】お客様の笑顔、仲間の笑顔、エンドユーザーの笑顔が見たいから-インターソシオシステム(株) 社長 鴫原 育子氏(茨城)


~経営理念を中心に社員と共に育つ~

インターソシオシステム(株) 社長
鴫原 育子氏(茨城)

 インターソシオシステム(株)(鴫原(しぎはら)育子社長、茨城同友会会員)は、企業城下町、茨城県日立市の隣、ひたちなか市にあります。主たる業務は大手企業から委託を受けて、コンピューターのソフトウェアを開発する企業です。

 現在、社員43名、年商3億円にまで育ったインターソシオシステムは、鴫原氏が、29歳のとき創業した会社です。当時は、年齢的にも若く、女性ということで単価交渉の要求が通らず何度もくやしい思いをしました。

茨城同友会で経営指針セミナーの開催へ

 鴫原氏は、1998年に同友会に入会。2001年に北海道で開催した中小企業家同友会全国協議会(中同協)の定時総会で、初めて「経営指針」という言葉に触れ、衝撃的な驚きを感じました。茨城同友会でも経営指針の勉強会をしたいと強く念願し、自らが音頭をとり翌02年「第1期経営指針成文化セミナー」を実施するまでに至りました。自社の経営指針はそのセミナーの中で作り上げたものです。

 茨城同友会の中でも、鴫原氏は同友会でつくった経営指針を中心に会社経営をしている会員の一人です。毎日の朝礼では、社内にいる全員で経営理念を唱和し、年3回の全社大会でも経営指針書をもとに徹底的に議論し、グループ討論も行います。近年では、社員の雑談の中にも「経営理念」という言葉が自然に出るようになりました。発表最初の年は、まったく見向きもされませんでしたが、今では経営指針が重要な位置になっています。

専務が辞めた

 そんな思いをしながら、大事に経営をしてきたインターソシオシステムですが、今年の4月、営業担当の専務が会社を辞めました。専務の子飼いだった若い営業社員2名も会社を去りました。専務は、大手企業のソフト部門を早期退職し、2003年に、営業が弱かったインターソシオに期待されて入社しました。しかし、営業方針の違いから去っていくことになったのです。

 鴫原氏は大手企業と中小企業の考え方の違いにずっと悩んできましたが、今では、営業力を上げてくれたことと、組織の体を成していなかった会社を「会社組織」にしてくれたことに感謝しています。経営理念の浸透には専務の存在は大きなものがありました。

人を育てる 若い取締役の誕生

専務が抜けたことで、30代の社員2人を取締役に抜てきしました。若い取締役の誕生に、今までぴりぴりしていた社内の雰囲気が一気に明るく華やぎましたが、これからが正念場と鴫原さんは言います。

 ソフトウェア開発の仕事は、一日中パソコンに向かい、人と会話することも少ない孤独な作業です。鴫原氏は、大半が20~30代前半の若い社員に、笑顔の大きな声で話してもらいたいと思っています。そして、「自分の意見が言えるようになってもらいたい」と、ことあるごとに社員との対話を心がけています。

 若い社員と話している姿がまるで母親か学校の先生のように笑顔が優しい鴫原氏は、今後、社員を100名の会社にすると明言しています。労働集約的なソフト開発の仕事は、社員を増やすことに比例して売上が上がります。売上を上げるために社員を増やすだけでなく、人を育てる生きがいを感じ始めた鴫原氏にとって、社員が増えることは人生の大きな喜びに違いありません。

会社概要

創業:1988年
資本金:2900万円
年商:3億円
社員数:43名
事業内容:コンピューターソフト受託開発
所在地:茨城県ひたちなか市春日町8-4
TEL:029-276-1511
FAX:029-276-1535
URL:http://www.socio.co.jp/