【第18回】働く人の自主性を大切にした経営-平松産業(株) 社長 平松 俊範氏(三重)


働く人の自主性を大切にした経営~労使見解を経営の糧に経営革新を~

平松産業(株) 社長
平松 俊範氏(三重)

 「経営者になって初めて、社員の皆さんに前で詫びたことが経営者になる原点だった」と語るのは、平松産業(株)の平松俊範社長(三重同友会会員)。17年前、3名の社員の就業ボイコットを境にそれまでの経営者としての姿勢に大きな問題があったことに気づき、経営者になることを決意した時に出合ったのが、「労使見解」(中小企業における労使関係の見解)の冊子でした。初めて読んだ時の感動を「まさに、目からうろこが落ちるような思いで読みきった」と話しています。

 この冊子は今でも時々、何か問題を感じた時や自分自身の経営者としてのありさまを点検する時に繰り返し読み返しています。そのため、もうボロボロになっていますが「捨てがたいので今も、17年前に購入したまま使っています」と話しています。

社内の風通しを良くすることから着手

 この時を境に、まず初めに社内横断組織となる「社内新聞委員会」「福利厚生委員会」を作り、各部署間のコミュニケーションが図られるようにしました。また、同時に、「働くことの意味」「会社・個人の存在意義は何か」などを繰り返し話し合う機会を作り、言いたいことや疑問などが出し合える気風作りを合わせて進めました。こうした取り組みも、最初は正社員から順次に始め、今では一部のパートさんも参加して行えるまでに広がってきました。このような取り組みを進めていく上で役員や幹部の役割が重要です。そのため役員、幹部とも徹底して話し合い、全社一丸となって取り組める体制作りも合わせて行いました。

 その結果、全社的な改善活動の展開でのロスやクレームの減少、経営品質を高め顧客サービスの向上運動の展開、経営指針成文化と会社と個人の目標作り運動、営業活動や配送業務との連携など、さまざまな形で社員の自主的な取り組みへと広がっています。

一人ひとりが主役になれる社風を目指して

 こうした取り組みの中で大事にしていることは「一人ひとりの個性を大事に、お互いに協力し合える」組織作りです。今は、会社全体のルール化を図り、社員の皆さんが生き生き働ける会社にしようとしています。同時に「本物といわれる」商品作り、サービス提供、人間を目指してもう1ランク上の会社を目指そうと話し合っています。

 「社員が育つ前に経営者自身が育つ、同友会で言われている当たり前のことが自分はできていなかった」と謙虚に語る平松氏。平松産業の実践には、この17年間社員と一緒に歩み、作り上げてきた実績への確かな手ごたえを感じることができました。

会社概要

創業:1953年(設立1960年)
資本金:1000万円
年商:7億円
社員数:60名(パート含む)
事業内容:大型クラフト紙袋製造販売
所在地:三重県四日市市塩浜2823-1
TEL:059-345-2341
FAX:059-346-5585
URL:http://www3.cty-net.ne.jp/~hiramatu/index2.html