【第23回】一人ひとりが主役になれる会社をめざして-サンヨウ(株) 社長 小竹 和博氏(富山)


一人ひとりが主役になれる会社をめざして

サンヨウ(株) 社長
小竹 和博氏(富山)

突然の社長就任~思いが社員に伝わらない

 1990年、父である先代社長の急逝により、36歳で突然社長に就任したサンヨウ(株)の小竹和博社長(富山同友会会員)。ちょうどバブル後期で、建材部品やエクステリア製品販売をメインとしていたサンヨウは、建材メーカーからの受注が忙しく、社内には「仕事をこなしていれば利益は出る」という受け身の雰囲気が漂っていました。

 しかし、厳しさは、お客様からの値下げ要求というかたちで次第に迫ってきます。

 社長になって2年目の1991年、将来を見越して、新しい仕事に取り組もうと経営計画書を作成して発表しました。「新しい挑戦をしよう」という社長の思いは、これまで文句も言わないけど、それなりにしかしないという受け身できた社員たちにとって重荷となったようで、「ついていけない」と2名が退社しました。

 同年、同友会に入会。例会などに参加して自社を考えるなか、「自主的に考え、行動できる社員になってほしい」という思いを強くしていきました。そして、社員の意見が交換できるような定例会議の実施、お客様への情報提供のために社員手作りの「住まい通信」の発行など、学んだことは部分的でしたが取り入れていきました。しかし、のんびりムードの社員たちに、なかなか思いが伝わりません。「なぜ、みんな真剣にならないんだ」と腹立たしさから、灰皿を投げつけたり、机をたたいたりして、けんかになることもしばしばでしたが、それがかえって社員を萎縮させてしまい、社員との葛藤の時期が続きました。

『人を生かす経営』を真剣に見直す

 そうした中、バブル崩壊で、売上の半分以上を占める取引先からの注文が激減し、売上が半分に。恐れていたことがついに現実になってしまいました。これを契機に社員たちも、危機感を抱きはじめたとのこと。そんな時、小竹氏は、中同協発行の『人を生かす経営』(「中小企業における労使関係の見解」を所収)をもう一度真剣に見直しました。そして、それまでの腹の探り合いのような社員との接し方に気づき、自分は社員と真剣に向き合っていただろうか? 「まず自分が変わること」を決心します。

 3年前からは、それまで社長が全部作成していた方針を、部門別に社員に考えてもらうようにしました。これまで社長が言うからやっているという雰囲気だった「太陽光発電装置の販売・施工や省エネルギー型の生活提案」は、省エネの大切さに気づいて、社員自ら積極的に取り組むようになりました。また、ホームぺージの作成がきっかけになった、インターネットによる一般消費者向けのネット通販サイト「住まいる通販」は、社員が企画(上写真)。ラジオの提供番組での相談コーナーも、担当社員が自分で内容を考えるようになりました。

 現在、社員と話すことといえば、「それぞれ将来をどう考えているか? 夢は? そのために仕事をどうしていきたいか?」などです。週2回の勉強会では、それまでバラバラだった3部門が、資料を自ら作り情報交換して協力するようになるなど、自信がなかった社員たちも積極的になってきたと言います。

 「新しい展開も、社員が理解し、やる気にならなければ始まらない。ここ数年はその点ばかりに取り組んできたが、ようやく手ごたえを感じる」と語る小竹氏。まず自分が変わり、社員を信頼して任せることで、社員の自主性を引き出せると実感しています。

会社概要

創業:1962年
資本金:2300万円
年商:10億円
社員数:13名
事業内容:1. 金属及び木を使った建築に関連する建築金物、
        ユニット製品などの企画、販売。
       2. 太陽光発電装置の販売、施工や省エネルギー型生活の提案。
       3. エクステリア商品全般の販売、施工。
所在地:富山市上飯野53番地の3
TEL:076-451-6000
FAX:076-451-7786
URL:http://www.j-sanyou.co.jp/