【第32回】社員との育ち合い、理念の共有ができた時に会社は変わる-(株)ジョア 社長 神馬 孝司氏(岡山)


社員との育ち合い、理念の共有ができた時に会社は変わる

(株)ジョア 社長
神馬 孝司氏(岡山)

 (株)ジョアの神馬孝司社長(岡山同友会会員)は、同友会に入会して14年目。繊維の街として有名な岡山県倉敷市児島で育ち、20年前にオフィスユニフォーム会社として独立。1992年、岡山同友会に入会しました。周囲から「理屈ぽい」と言われていた神馬氏ですが、初めて参加した例会で、会員の皆さんがものすごく理路整然と話すのに驚き、「これはうかうかしておられない」と、まじめに例会に出てるようになったといいます。

 「20年の経営者人生の中で一番のショックは、幹部社員2人が退職したこと」と話す神馬氏。2002年ごろ、新分野のメディカル部門を立ち上げ、まる投げで社員に任せていたところ、失敗。社長不信になって退職していったとのこと。「経営者として最大の汚点とも言えます。共に育つと言いながら、本気で社員とかかわっていなかった」と振り返ります。

真にあてにし、あてにされる関係を

 同社は自社工場を持たないメーカーとして、生産は国内で80%、移動時間1時間以内の所に7つの協力工場を持っていますが、決して下請けの関係でなく、お互いあてにし、あてにされる対等の関係を結んでいます。ものづくりの過程での品質、納期の問題では、常に本音の突っ込んだやり取りを協力工場と行っています。

 神馬氏は、「人間尊重の経営とは、社員の人格を大切にすること。社員を大切に思いながらも、営業、企画、製造の仕事としての効率を追求し、何時までにこれだけということをきちんとやってもらうこと。あてにし、あてにされる関係とは、言葉を変えれば、文句をいったり言われたりの関係」と語ります。

経営理念の浸透で前進する企業に

 オフィスユニフォーム業界は、1970年の大阪万博のときがユニフォーム元年と言われ、15年で急成長し上場した会社もあります。しかし、1992年ごろから急下降しはじめ、総需要の縮小でピーク時の60%ダウンとなり、同社も、1994、95年に10%~20%ダウンを経験しました。

 そんな中、「共に創り、共にかがやく」という経営理念を完成させ、経営指針を浸透させるため、幹部も岡山同友会の経営指針研修会に参加。理念の浸透を図りながら、柄物と夏物という自社の独自性を追求して顧客層を絞りました。100着以下の中小零細企業をターゲットとして売上を伸ばし、2年連続で2ケタ成長の業績を残しています。そして、働く女性から支持されるユニフォームを提供する使命に燃える社員との「共育共生」関係のもと、厳しい業界においても、生き残りと発展に着実に前進する企業となっています。

 20年前、数人の家族的な経営から出発し、社長のトップダウン的なやり方から少しずつ脱皮しながら、着実に企業的な経営へと成長。同友会理念を追求する真摯な経営姿勢が実を結んでいます。

会社概要

創業:1986年
資本金:1000万円
年商:4億6000万円
社員数:21名
事業内容:女性用オフィスウェア及びメディカルウェアと、
       その関連商品の企画製造販売
所在地:岡山市内尾288-14
TEL:086-281-4446
FAX:086-282-4130
URL:http://www.joie.co.jp/