【第44回】学んで実践、まねして実践-(株)南光 社長 上田平 孝也氏(鹿児島)


学んで実践、まねして実践

(株)南光 社長
上田平 孝也氏(鹿児島)

 錦江湾からの桜島をバックに1万坪以上という広大な敷地の中に、(株)南光(上田平孝也社長、鹿児島同友会会員)は本社と工場を構えています。1971年に先代社長(現会長)が金属加工業として創業し、5年前に上田平氏が社長に就任しました。現在は鹿児島県内外に6つの工場・営業所を展開しています。

社員と同じ方向を見る

 社長就任前に参加した鹿児島同友会の経営フォーラムで「経営理念で会社は伸びる」という報告を聞き、それまでの先代の考えであった「仕事を断らない!」という積極経営の中で経営理念の重要性を痛感しました。同社になかった経営理念そして経営計画書、年度ごとの経営方針を、社長に就任するのを機に成文化。しかし、社員数も多く、工場や営業所が各地にあるため、すべての社員になかなか浸透させることができませんでした。

 幹部社員に任せる部分も多くなり、そこで毎年各工場の幹部を集め、部門ごとに年度方針を作成させ、経営計画発表会を行うようにしました。幹部にも経営者としての感覚を持って仕事をしてほしいとの願いで行いましたが、「初めのうちはやらされている感じがあり、提出される書類にも魂がこもっていなかった」と上田平氏は言います。しかし、回数を重ねるごとに意識も徐々に変わり、濃いものになってきていると実感しています。また、幹部だけでなく一般社員にも経営理念を理解してほしいと名刺サイズの経営指針書を作り、朝礼やミーティングで唱和しています。

学んだことはとりあえず実践

 自社を変えたいという思いから同友会に入会し、例会にも積極的に出席しました。「学んだことも何もしなければ何も変わらない。とりあえずまねして実践する!」を心がけ、その1つに社員教育の手法として「ブラザーズ・シスターズ制度」を取り入れました。これは2、3年目の社員が新入社員の指導を行うというものです。先輩社員は初めのうちは戸惑いもあったようですが、人に教えることで仕事の確認をすることができる、新入社員は身近な先輩社員から教えてもらうことで定着率も上がり、また数年後は教える立場になるといった社員同士の「共育ち」の場になりました。

トヨタ生産方式から南光生産方式へ

 トヨタ生産方式を学び、ムダを無くすことに目を向けました。整理整頓(2S)を徹底させることで、効率よく仕事ができ異常にもすぐに気づくことができます。常に改善点はないかを考えることによって基本的なことのできる社員に育ち、個人の生活の中にもそれが生かされていきます。「モノづくりは人づくり」と考える上田平氏。モノを作るのは人、良い物を作るためには人が育たなければならない。これらすべてのことが「南光生産方式」として定着しつつあります。

 上田平氏は「社員一人ひとりに考えさせ、成長させるとともに、自分も変化し続ける」という考えの中、社員がやりがいの持てる会社にしたいと「学んで実践、まねして実践!」を胸に自己研さんを続けています。

会社概要

創業:1971年
資本金:1億円
年商:32億円
社員数:275名(内パート15名)
業種:金属加工業
所在地:鹿児島市七ツ島2丁目1番地
TEL:099-263-0888
FAX:099-262-3551
URL:http://www.nanko.co.jp/