【第1回】オリジナル商品開発と建材の地産地消を目指す -(株)牧野 社長 牧野 康則氏(北海道)

(株)牧野 代表取締役
牧野 康則氏(北海道)

 室蘭から車で1時間。噴火湾に面した豊浦町はホタテとイチゴで有名な町です。(株)牧野(牧野康則社長、北海道同友会会員)は、現社長の父が牧野木材店として1959年に創業した建材販売店。現在、北海道同友会西胆振支部長として活躍する牧野氏は、95年に社長に就任しました。

「私たちは安全、安心で快適な暮らしの環境を提案する企業です」

 1990年に9万戸あった北海道の住宅着工件数は、2003年には5万戸へと減少します。住宅建築市場は4割以上収縮し、工務店は10%なくなりました。しかし、建材販売店の数はほとんど減りません。このまま建材を右から左へ移動するだけの商社では未来がない。どうすれば雇用を維持し、事業を存続させていくことができるか、悶々とする日々が続きました。

 牧野氏は、90年から経営理念や基本方針などを作成し、全社員と毎月勉強会を行います。少しでも社員にわかりやすくと、文字の大きさも変えました。ある時、勉強会後のナンバー2の社員の一言が牧野氏に衝撃を与えます。「社長の話を理解できている社員は、だれもいませんよ」。以来、北海道同友会の「全道経営者共育研究集会」では、経営指針の分科会に必ず牧野氏の姿があります。牧野氏が支部長を務める西胆振支部にも、昨年1月、経営指針研究会がスタートしました。

 商品開発では、98年に中国製アンティークレンガや石材の取り扱いを開始し、ダイレクトメールによる販売を始めました。さらに04年には北京に枕木製造工場を新設。建築だけでなく、社会福祉施設向けの中国製トレーニング機器開発にも取り組み、昨年はじめて地元施設に納入することができました。

建築資材の地産地消を目指して

 また、北海道の豊かな森林資源を生かした「地産地消」の製品開発に取り組み、北海道南部の「道南杉」を使ったサイディング(外壁材)やデッキ材を開発販売しています。道産材を活用した家づくり提案は、北海道庁の発行する「産消協働」実践事例集に掲載されました。

 「経営指針を確立する中で、当社がどうやって生き残っていくべきかが見えてきた」と語る牧野氏。「建築資材の中で、木材は唯一持続可能、再生産可能な資材です。これからも『木』にこだわり続け、経営理念にある安全、安心で快適な暮らしを目指し、建築資材の地産地消や環境問題をより意識した製品開発に挑戦し続けたい」と語っています。

会社概要

創業:1959年
設立:1984年
社員数:10名
資本金:1000万円
年商:4億7000万円
業種:木材並びに建築資材の卸売業、内外装仕上げ工事業、
    外構資材・外構工事用資材の輸入・加工・販売、
    インテリアグッズ・枕木の輸入販売及び据付工事
所在地:北海道虻田郡豊浦町字浜町42
TEL:0142-83-2007
URLhttp://www.e-makino.net/