【第10回】同友会で学んだビジネス環境づくり-(株)東通工 社長 宮本昌源氏(茨城)


第1次産業から第2次、第3次産業まで

(株)東通工 社長
宮本 昌源氏(茨城)

 「わあ」という子供たちの大歓声。5月15日、茨城県の南西部、常総市の学童農業体験施設「水海道あすなろの里」にある田んぼで、東京都板橋区の幼稚園児80名と先生40名による田植えが行われました。この催しは、「NPO法人スローライフあすなろ」の主催で2年前から行われているものです。仕掛け人は、常総市で電気通信工事、電気工事業を営む(株)東通工の宮本昌源社長(茨城同友会会員)。宮本氏は、養鶏場の(有)ミヤモトケイエンも経営しています。

多角化 養鶏場と電気通信工事業

 宮本氏は、高校卒業後、家業の養鶏場を手伝ったり、東京でサラリーマン生活を経験したりしましたが、1975年、24歳で本格的に家業を継ぎました。順調にきた養鶏場が、1985年に初めて赤字に。「このままではいけない」と多角化を模索し始め、運良くパートナーにも恵まれて(有)東通工を1989年(平成元年)に設立しました。その時のパートナーは、現在も専務として一緒に働いています。

 東通工は、今では5億円の売上にまで成長。最初のころは、社員の仕事につい口や手を出してしまい、「社長は自分勝手に仕事をしている」と嫌われた宮本氏でしたが、時間はかかるが社員に任せた方が伸びることに気づき、現在は、社長自身は営業も工事もせず、全面的に任せています。

大消費地東京との交流 農産物直売所オープン

 「ペコペコ頭を下げるのはイヤ、考えるのは得意」という宮本氏は、モノを売るためには消費者と人が集まるところが必要だと考え、都会の人たちと交流する「NPOスローライフあすなろ」を立ち上げました。2年前には、東京の幼稚園児と先生50人が水海道で田植えをして大喜びで帰り、秋の収穫祭には200人も集まりました。

 こうしてできた交流をもっと活発にするために、昨年11月には、東京都北区豊島五丁目団地内に「あすなろの里農産物直売所」をオープンさせました。まさしく第1次産業から第2次、第3次産業まで網羅する、「第二創業」というより「第三創業」のスタートです。同友会で、「経営で大事なのはビジネスをする環境づくり」と学んだ宮本氏は、この直売所は資金もなく、人材もいないけれど、起業しようという人たちの拠点になればいいと願っています。

 「補助金を使わず、自分たちの力で消費地と結びつくための交流がしたい」「頭を下げないで対等の付き合いで商売できればいい」と言う宮本氏は、都心から1時間で田舎を体験できる常総市の学童農業体験施設「水海道あすなろの里」を日本のブランドにして、茨城県の常総地方を発展させたいと目を輝かせながら語りました。

会社概要

設立:1989年
社員数:27名
資本金:1000万円
年商:5億円
業種:電気通信工事、電気工事業
所在地:茨城県常総市大生郷町2757-1
TEL:0297-24-0371
FAX:0297-24-0372
URLhttp://www.toutuu.co.jp/