【第11回】顧客本位と人材育成から生まれた新事業-(株)クリーンアップサービス 社長 増田 恭章氏(埼玉)


繁盛店の応援団をめざして

(株)クリーンアップサービス 社長
増田 恭章氏(埼玉)

経営指針は道具として使うもの

 埼玉県越谷市の住宅地に位置する(株)クリーンアップサービス(増田恭章社長、埼玉同友会会員)。大きなゴミ袋を持った社員さんの元気なあいさつを受けながら会社に着くと、玄関にはホウキを持った増田氏。「毎朝、全員で一斉清掃しているんです」と話します。

 第13期の経営指針書を見ると、まだ期が始まって3カ月にもかかわらず、「人と話すときの注意」「私の右腕は○○さん」など、たくさんの書き込みがされています。しかも、増田氏ではなく社員所有の経営指針書であることに驚きです。経営指針は経営の道具であると同友会で学んだ増田氏は、「使う」ことを重視し、一番書き込み、ボロボロになるまで使い込んだ社員を経営計画発表会にて表彰しています。

顧客本位と人材育成から生まれた新事業

 同社は店舗、病院、工場など業務用のトイレの総合メンテナンスを行っています。トイレ診断士の資格を持つ従業員による詳細の調査記録はカルテとしてデータベース化し、共有しています。

 また、横浜市水道局の「平成18年版環境報告書」によると、水道水は1立方メートルを利用すると、上下水処理による電力使用で160グラムのCO2を発生します。これを独自の節水システムで、下がった水道料金分をトイレ環境に有効活用する提案をすると同時に、地球環境問題にまで踏み込んで貢献しています。

 トイレメンテナンスという事業は、安定性がある半面、保守的でマンネリに陥りやすい傾向があり、近年顧客の声に耳を傾ける姿勢を見失う危惧を感じていました。そこで、市場変化が激しい携帯電話販売事業をあえて選び、新事業としてスタートさせました。直接エンドユーザーと接することで、店舗運営のニーズや悩みを共有することができるからです。社内の人材育成を担う場として位置づけながら、これから主流となる法人向け携帯の通話料定額サービスにも力を入れています。

さらなる展開で「繁盛店の応援団」に

 店舗展開していく中で、さらなる事業展開のきっかけが生まれました。それは、各店舗へのインターネットカメラの導入です。これにより本社では各店舗の様子が集中管理できるようになりました。防犯などの「守り」の目的での導入でしたが、しだいに「攻め」の活用に変わっていきました。接客時は店舗へ電話連絡を避けたり、社員のいい接客などに気づいたときにはすぐに電話をして褒めたりというように、コミュニケーションの円滑化、人財育成の武器として活用するようになったのです。こうして生まれたのが、安価でインターネットカメラ環境を提供するi-camera事業部です。

 自社の実践のプロセスから生まれたこれらの事業は、単なる思いつきではなく、実体験に裏付けられているところが強みです。そして、同社の事業に共通していることは、多店舗展開している会社が、なかなか手が回らない部分をしっかりサポートすることです。増田氏は、自社ドメインを「繁盛店の応援団」と位置づけています。その結果、多くの経営者・管理者から店舗効率化のパートナーとして支持されています。

会社概要

設立:1995年
社員数:40名(うちアルバイト20名含む)
資本金:1000万円
年商:7億8000万円
業種:トイレメンテナンス、業務用節水システム、携帯電話販売店、
    法人向携帯通話料定額サービス、インターネットカメラ
所在地:埼玉県越谷市登戸町27-20
TEL:048-986-5663
FAX:048-986-6264
URLhttp://www.i-clean.co.jp/
2005年経営革新計画承認企業