【第27回】自社開発商品は社員の誇り-シンコーラミ工業(株) 社長 河原崎 信幸氏(静岡)


素材と樹脂の組み合わせに無限の可能性を求めて

シンコーラミ工業(株) 社長
河原崎 信幸氏(静岡)

将来の夢を託し会社設立

 河原崎信幸氏(シンコーラミ工業社長、静岡同友会会員)は、1972年、シンコーラミ工業の前身である、父が経営する生理用ナプキンや紙おむつなど紙製衛生材料の製造・販売会社に常務として入社しました。1980年には静岡同友会に入会。当時、30歳だった河原崎氏は、気軽に声をかけてくれた尊敬する地元の先輩企業の社長から、大変な刺激を受けたと言います。
 

 衛生材料の下請け加工に限界を感じていた河原崎氏は、ポリエチレンラミネートの加工に着目します。しかし、今の会社で新しい方向性を目指すのは難しく、悩んだ河原崎氏ですが、1982年、同友会の仲間に背中を押されシンコーラミ工業(株)を設立しました。会社設立を応援し、いつも気にかけてくれた同友会の仲間たち。「3年後の静岡同友会の総会で、黒字になったことを先輩社長に告げると、“そうか”と一言、涙を浮かべてくれたことは、今も忘れられない」と当時を振り返ります。

毎月30種類の試作品を開発

 同社では、原料となる樹脂を熱溶し、直接基材に塗布するラミネート加工を行っています。主原料の樹脂には20種類以上を使用し、加工基材も、紙、不織布、フィルム、アルミ、布など、ロール状になっていれば何でも加工。現在は、衛生加工材料の伸縮材、手術着の素材や自動車の天井材、建材、家庭雑貨にまで及んでいます。

 製品は、約1600種類、その60%が自社開発商品です。社員が手作りする試作品は、改良と次の提案に結びつき、毎月30種類の試作品を開発。開発した商品が市場に出回った時の喜びと、その誇りは会社の大きな財産になっています。

火災を乗り越えて得た第三創業のチャンス

 2003年5月27日深夜、工場が火災に見舞われ、生産能力の60%を消失しました。同友会の仲間や地域の業者をはじめ大勢の人々の励ましで、社員と一丸となって早期再開へ全力投球。がれき、廃材を三日で片付け、火災後18日目から仕事開始。そして、焼け残った一台のマシンをフル稼働し、当面の受注をこなしました。仕事を再開できた時は、「同友会の仲間に、仕事開始のメールを打ちまくった」と言います。

 この火災からの復興が、社員の仕事への積極性とつながり、また地域社会と会社のつながりをより強固なものにし、再スタートの大きな力となりました。

 「火災は私に第三創業のチャンスを与えてくれた。いま、市が計画している2008年に完成予定の富士山南稜工業団地に工場を集約し、息子への承継を済ますことで、第四創業がはじまることでしょう」と、明るく語りました。

会社概要

創業:1982年
社員数:65名(うちパート10名)
資本金:1000万円
年商:13億円
業種:ポリエチレンラミネート加工品製造販売
所在地:静岡県富士宮市山宮913-8
TEL:0544-58-5022
FAX:0544-58-4514
URLhttp://www.shinko-lami.co.jp