【第30回】存在価値のある企業をめざして-(株)大輝製作所 社長 小川 勝美氏(和歌山)

(株)大輝製作所 社長
小川 勝美氏(和歌山)

 (株)大輝製作所(小川勝美社長、和歌山同友会会員)は、コンベア等搬送措置を主とする(株)セイエイエンジニアリングと、半導体、液晶等の製造装置を主とする(株)ダイヤテックの2社をグループ会社に持つ精密機械板金の会社です。

経営指針と職場風土改革

 小川氏は、2001年、和歌山同友会の紀北支部設立時に同友会に入り、2003年より支部長を務め、幹事の仲間と「まずは、自分たちが地域から認められる会社にしていくことだ」と意欲的に経営改革を実行してきました。支部幹事会では、自らの経営の不足点を明らかにし、仲間のアドバイスを真剣に受け止めながら、自社の経営方針を見直しました。

 2005年4月、社屋を貴志川町に移転。全社員会議も行えるミーティングルームを設け、工場内も作業の効率を重視した設計に。以降、5Sの徹底と月1回の経営改善会議で社員の意識も変わり、意欲的な社風となっています。今春、小川氏の入院加療の際にもゆるぎない経営で、後継者も育っています。

部品下請けから完成品の下請けへ

 「板金業者は国内に約3万社、全体としては3兆円の市場、その中で自社は0.02%でしかない」。勝つための経営戦略は販売力が全てと、公的な機関のマッチングフェア等にも積極的に参加し、自社をアピールしてきました。昨年6月、大手機械メーカーから米の色彩選別機の完成品の受注に成功し、着色粒や石などのほかにガラスなども異物として排除できる高性能選別機の製造を始め、好評を得ています。

 徹底した工程管理とクレームのない製品作りは、メーカーからの厚い信頼を勝ち得るまでになり、組立工場の新設も期待されています。

山あり谷あり

 小川氏は、1977年、自動車の営業マンから脱サラで創業。自動車部品の社外品であるトラックの荷台の鳥居をつくり、四国・岡山・長野へとキャラバンで営業に回り顧客を獲得してきましたが、コスト安の社外品が市場を伸ばすことへの危機感を抱いた純正部品メーカーから下請けになることを要請され、二次下請けとして生産を拡大しましたが、5年後メーカーの動向で撤退を余儀なくされました。

 「板金設備を生かしてできることから、同業者からの孫請けの仕事の中で技術の研さんを計りつつ、板金業だと胸をはれるようになったのは最近のことです」。その後、カークーラーのメーカーと開発から参入した建設機械の掘削機のエアコン部品加工の仕事では、市場が広がると共に大手が進出し取って替わられました。

 「昔から、下請けとおできは大きくなったら潰れると言われます。できるだけ発注元からの仕事をという考えできましたが、売れれば売れるほど自分たちの危機感にもなると学んだ」と小川氏は話します。

 「夢は大輝製作所のマークの入った製品を市場に出すこと」。その夢があるからこそのグループ会社です。

会社概要

創業:1977年
社員数:グループ全体65名(パート・アルバイト含む)
資本金:7000万円(グループ会社含む)
年商:13億円
業種:板金製品設計・製作、精密機械板金加工他
所在地:和歌山県紀の川市貴志川町前田32-4
TEL:0736-65-2238
FAX:0736-65-2248