【第32回】厳しい建設業界で、挑戦する人間集団づくり-(株)フジタ地質 社長 藤田 賢治氏(岡山)

(株)フジタ地質 社長
藤田 賢治氏(岡山)

 (株)フジタ地質の藤田賢治社長(岡山同友会会員)は、岡山同友会に入会して17年目になります。高校卒業と同時に父親と地質調査の会社を立ち上げました。会社の内容は、ボーリング調査をして、地盤の固さや地質の構造を調べ、構造物にあった基礎杭の計算や提案を行い、地盤改良工事や住宅用杭工事もします。今の専務である弟と1977年に法人化。オイルショックの不況期でしたが、下請けから元請けをめざして設計事務所などへの営業に回りました。

 1982年ごろから社員の採用に取り組み、社員数が10名を超えたころに、会社らしくしなくてはとの思いで同友会に入会しました。 そして、同友会の労働委員会で就業規則を作り、1994年から、共同求人にも参加しました。「手間はかかっても会社の発展を考えたら、継続して若い人を入れて行く仕組みがいる」と考えて新卒者採用の方針を立てました。最初はベテラン社員の助手につけ、OJTで育てていきました。共同求人で採用した社員が、今は中堅で頑張っています。

経営指針書への取り組み

 社員から会社の方針が分からない、明確でないとの意見が出され、同友会の経営指針の一泊セミナーの講師だった丸山博氏から学び、「右手にロマン、左手にソロバン」と経営指針書の勉強に取り組みました。その後、1998年から業界の急激な業績の落ち込みで、13年ぶりの売り上げダウンとなりました。

 5年間コスト削減に取り組み、オフィスに流す有線放送から新聞まで止めた結果、会社の雰囲気が暗くなっていることに気づきました。 やはり危機感をあおるのでは社員はついてこない。社員が夢と誇りをもてる会社にしなければと考え、会社の発展と成長にむけて取り組む姿勢を打ち出しました。同友会の役員も、経営委員長、岡山支部副支部長、支部長、そして副代表理事と前向きに挑戦し、自社企業の発展と同友会の発展を一体のものと考えてやって来ました。

 特に、4年前の岡山支部長の時、滋賀同友会の「経営指針を創る会」に一泊で参加し、お互いの理念追及の姿勢にカルチャーショックを受けました。早速、岡山の経営指針成文化5カ月コースに取り組み、経営者の経営に対する真摯(しんし)な姿勢を徹底して深める中で、地域になくてはならない会社となることが、同友会役員の役割だと考えました。

理念の浸透で自主的社員づくりを

 自社の経営理念「事業を通じて社会に貢献し、社員の成長と会社の発展により物心両面共に豊かさを得る」を、浸透させていくためにも、方針・計画を社員個々人にまで、徹底して落としこもうと経営理念と指針を柱とした学習会を毎週行うようになりました。

 これには社員全員が参加。他社からの参加者が理念に共鳴して入社するということもありました。そのころ取得したISOの品質目標にも連動させました。以降それぞれの社員の目標が明確になり、取り組み方が変わり、経営指針の成果が出てきました。 建設業会は冬の時代と言われる中で、2006年より営業部門を新設。前年比売上を1.5倍近く伸ばし、5年前2.7億円から5.6億円と、2倍以上に伸ばしています。

 「今後はさらに専門特化し、宅地地盤のことならフジタ地質に頼もうと言われるくらい、他社にない質の高い商品・サービスでもって、会社のレベルアップを図って行きたい」と藤田氏は語ります。

会社概要

創業:1977年
社員数:24名
資本金:1000万円
年商:5億6000万円
業種: 地質調査全般、土壌汚染調査、地盤改良工事、さく井工事
所在地:岡山県岡山市雄町425-1
TEL:086-208-3950
FAX:086-208-3951
URLhttp://www.geo-fujita.jp/