【第12回】形が変わっても残り続ける企業を目指して(株)誠文社 社長 西村 信博 氏(三重)

西村社長

(株)誠文社 社長 西村 信博 氏(三重)

 (株)誠文社(西村信博社長 三重同友会会員)は、家具・什器の販売、オフィスのトータルデザイン、台車など物流機器の製造と販売をする会社で、三重県内を始め全国6カ所に営業所を構えています。

 同友会に入会~社長就任の決意

 デザインルームの風景

 西村氏は大手事務用品メーカーに就職した後、現在の会社の先代が創業した(株)誠文社に入り、取締役に就任しました。取締役時代に知人から「良い会があるよ」と勧められて三重同友会に入会、服部代表理事(当時副代表理)や橋本副代表理事から、長期的な視点から社員教育に取り組むことの大切さを教えられ、理想の社長像としてあこがれを抱きました。

 「自分も社長として実践したい」と思い、当時社長だった先代に社長交代を申し入れました。先代もその意欲にあてられ勇退し、西村氏が社長に就任したのでした。

同友会での学びと実践

 その後、同友会で総務委員に選ばれ理事会に参加するようになり、西村氏は「大きなカルチャーショックを受けた」といいます。理事会では大局的な視点から情勢についての議論が行なわれており、業界のことしか把握していなかった西村氏は何も発言することができませんでした。社長として広い視野を持つことの大切さを学び、広い視野から自分ができること・すべきことを考えるきっかけとなりました。

 まずはできることから始めようと、社員の意見を聞くように心がけ、その意見をもとに会社の方向性を考えるようにしました。社員との個別のコミュニケーションを大切にしています。また自身の考え方も、今のことだけに固執せずに常に新しいことに挑戦し、社員の教育や研修に費用と時間をかけるようになりました。

 「社員教育には即効性はありませんが、現在は大きな成果につながっている」と西村氏は言います。 また同友会の活動の中では、悩みや疑問があるたびに先輩に相談や質問をして解決のためのヒントを得ています。最も苦労した人事考課制度の構築の際にもそれが生かされました。

新たな事業の構築

 台車打ち合わせの風景

 西村氏は社長就任後、これまでの包装資材や文具・オフィスのプランニングを主体とした事業から、もう一つの柱を構築するため、台車を中心とした物流機器分野の拡大を図ることを決めました。これまでの台車は汎用で、複数の部品を一緒にして運搬していましたが、傷がつくことが避けられません。品質が重要視されるようになるなか、部品ごとに企画する台車に西村氏は着目しました。

 西村氏が社員にこの意向を伝えたとき、当初は社員の支持は得られませんでした。しかし、これからの経営戦略にとって商品に独自性を持たせることが必要であることを訴え、現在では消極的だった社員もしっかりと力を合わせています。関係会社にも協力を仰ぎ、互いの強みを生かして展開し、新しい分野は売上の約50%を占める事業に拡大しています。

形が変わっても残り続ける企業へ

 お客に自社のイメージを聞くと「各部門の専門性があり、それぞれの顔がある」と言われます。お客のニーズに対応して変化を続ける自社において、それに対応できる人材や職人が育っていることを西村氏は感じています。「お客様のニーズにより会社の形は変わりますが、どのような形になろうとも満足してもらえる商品やサービスを提供し続けたい。それでこそ「誠文社」という企業が力強くあり続けることができる」と語る西村氏。変化と発展への意欲はとどまるところを知りません。

会社概要

創 業:1937年(昭和12年)
資本金:5000万円
社員数:69名
業 種:家具・什器・デザイン及び販売、室内内装工事、IT関連、物流機器製造と販売
住 所:三重県四日市市鵜の森2丁目10-7
TEL:059-353-7171
URLhttp://www.seibunsha-net.co.jp/