【第14回】技術者を活かすのが社長の役割(株)奥野組 社長 奥野一三氏(岡山)

奥野社長

(株)奥野組 社長 奥野一三氏(岡山)

 (株)奥野組(奥野一三社長、岡山同友会会員)は創業から59年目、橋、道路、下水、河川護岸などの公共土木工事を中心に手がける総合建設業の会社です。奥野氏は創業者の孫で、2004年に4代目社長に就任しました。

技術者の活躍の場をつくる

社屋外観

 社長に就任した当時、お客が減少し売上はピーク時の半分でした。役員給与のカットなどで対応しましたが、売上ダウンの状況が続きました。しかし、今年は持ち直し、売上も倍増しています。

 この背景には受注の努力を強めたことと、同社の潜在力の発揮を重視したことがあります。同社には高い技術をもった技術者が定着しており、取引先からの信頼を得ています。奥野氏は「すごい技術者がそろっていると感じる。これを活かしていくのが社長の役割であり、会社をつぶすわけにはいかない」と考え、受注する仕事の地域・内容を広げました。社員の活躍の場ができ、そして実際に高い評価を得たことで多くの喜びと自信につながりました。社内の雰囲気はよくなり、会社の業績にもつながりました。

 また奥野氏は若手技術者の育成に力を入れています。同社は創業以来、若手育成に力を入れてきましたが、今、業界全体として技術者の高齢化と若手の人材不足に危機感が高まるなか、同社は若手の実績で公募物件にエントリーするなど活躍の場をつくり、若手育成にさらに力を入れています。「土木は面白い仕事。完成後は、結果が目に見えるし、しかも長期間残るので子や孫に話ができる。特に若い社員には、仕事のおもしろさを感じてもらいたい」と奥野氏は語ります。

同友会での学びと実践

経営指針発表会での風景

 岡山同友会には2006年6月に入会。経営指針成文化研修会に参加し、全国行事にも参加して多くの経営者と直に接する機会を得てきました。

 そうしたなかで、「経営者である以上、いかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任がある」という中同協の『中小企業における労使関係の見解』の一文が、「時間がたつにつれその重さと深さを認識できるようになってきた」と奥野氏は言います。社内での理念や指針の議論は始まったばかりですが、社員との議論のなかで皆が希望を持てるような内容に育てていきたいと奥野氏は考えています。

 また地域との関係を課題と考えている奥野氏、災害時の対応などでも、地場の企業だからできる地域に根ざした活動を大切にしながら、建設業をとりまく難しい状況を迎え撃とうとしています。

会社概要

設 立:1949年
社員数:14名
資本金:2100万円
年 商:5億7000万円(2007年)
業 種:総合建設業
所在地:岡山県岡山市北方1-1-6
TEL:086-222-7530
FAX:086-232-0800