【第16回】10種の卵×最高のレシピで美味しさを提供(株)小林ゴールドエッグ 社長 小林 真作氏(徳島)

小林社長

(株)小林ゴールドエッグ 社長 小林 真作氏(徳島)

 (株)小林ゴールドエッグ(小林真作社長、徳島同友会会員)は、1976年に先代である父親が設立し、今年で34年目、社員26名の会社です。養鶏は行わず、養鶏場からの仕入れ、洗卵・選別・包装・配達業務、及び液卵等の加工を行う鶏卵卸業を営んでいます。

 鶏卵卸業は特殊な業界で、生産者が強い業界です。「価格の優等生」と言われる実情とは異なり、95%の国内自給率であるがため、少しの需給変動でも価格に大きく影響が出ます。また、飼料はほぼ100%を輸入に頼っており、穀物高騰は原価を直撃する厳しい面を持っています。

急きょ社長に就任

 小林氏は、先代である父の急逝を機に2004年に社長に就任。何も分からないまま会社を経営することになりましたが、当時は業績に大きな変動はありませんでした。
 その原因は、ひとつには会社の「和気あいあい、アットホーム、のんびりした会社」という雰囲気と、もうひとつは「経験のある社員さん」を中心として強烈なトップダウンでした。中でも設立時代から会社をまとめていた専務の存在は大きく、父の生前も社長の指示を受けた専務が実質的に仕切っている状態でした。

卵料理の専門店をオープン

 大型店の出店で、生産者から直接消費者へという流通形式ができたことで、同社のあり方と存在価値に変化が訪れます。小さな生産者が多く、かつては品質不ぞろいでクレームになったこともありましたが、多様な品質が求められるようになったのです。3年半の研究の結果、「最高の飼い方をした最高のたまごでも、合う料理と合わない料理がある」という結論に至りました。

 例えば 、たまごかけご飯に合うたまごでも、チーズケーキを作ったら濃い黄身がチーズの香りを殺してしまいます。 問題意識を共有できるオーナーと共同で、今年の夏、鳴門市に「tamago Cafe(たまごカフェ)」をオープンしました。「12の農場から仕入れた数十種の卵を厳選し、10種類の卵を使い分けることで最大限に美味しい卵料理10品を提供する、卵料理の専門店」です。

「お客様の食卓へおいしさと健康をお届します」

 しかし、社員からは「社長は外にばかり目がいって、社員の意見を聞かない」と不満が噴出します。3年半前に同友会に入会して「経営指針セミナー」を受講し、「生命の源である卵という食材を通して、お客様の食卓へおいしさと健康をお届けします」という理念を作成しました。

 社内で勉強会や個人面談、数値目標の設定等を取り入れますが、頼れる幹部である専務の共感を得られず不協和音に悩む日々もありました。しかし、最近は少しずつ改善の成果が出てきました。「当時よりもさらに市況が悪くなってきたことで、幹部・社員とのベクトルを合わせやすくなったと感じています。さらなる不況に突入するこれからの一年が、逆に一体感をつくり出すチャンスと考えている」という小林氏。

 これからも同友会で学び、社員が「嫌々ではなく楽しく仕事のできる、おもしろいことに取り組むオンリーワンの企業」を目指し、日々奮闘しています。

会社概要

設 立:1976年
資本金:1000万円
社員数:26人
業  種:卸売業 鶏卵卸売
所在地:徳島県徳島市国府町日開57
TEL:088-642-6711
FAX:088-642-6733