【第18回】下町工場から世界へ挑戦 共立エレックス(株)専務 西山 研吾氏(佐賀)

西山専務

共立エレックス(株)専務 西山 研吾氏(佐賀)

 共立エレックス(株)(西山研吾専務、佐賀同友会会員)は有田焼の町、佐賀県西松浦郡有田町に本社を置き、中国江蘇省蘇州市に工場を構えて電子部品用途のセラミックス基板を生産・販売しています。経済産業省が主催する2008年「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれた勢いのある会社です。

付加価値を高める製品づくり

サンプル

 同社が作っている製品は一般消費者にとっては目につきにくいものです。しかし、携帯電話には150個ほどのアルミナ基板を使った電子部品が入っています。同社が作っているアルミナ基板という白い板に取引先会社がそれぞれ回路を載せます。これを中国の工場で生産しています。この製品を生産しているのは世界で7社であり、同社は世界シェア15%を占めます。

 ただ、この白い板だけだと生産量は多くとも利幅が小さいので、生き残れません。そこで、付加価値を高めるために基板に回路を載せた製品を販売することにしました。これは主に自動車の電子部品として使われています。車1台あたり、20個ほど使われています。

中国進出のきっかけ

 同社において重要なターニングポイントであった中国進出には裏話があります。
 ある日、同社に香港から覚えのないファックスが届きました。送信元に連絡をしたところ、相手は香港の有力な貿易会社。重要なファックスだったため、とても感謝されました。それを縁に、中国進出の際は候補地の選定や契約などについて、親身にアドバイスしてもらい、1994年に進出を果たしました。「現在、日系だけでも400社が進出しているエリアに20番目と早くに進出できたのもこの出合いのおかげ。中国に工場を作っていなければ、今ごろわが社はなかったかもしれません」と西山氏は当時を振り返ります。

ITバブルの到来

社屋外観

 2000年ごろから携帯電話とパソコンが急激に世の中へ普及。同社も顧客から強烈な増産を求められ、設備投資と人員増員を進めました。しかし、2001年にバブルが唐突にはじけ、受注も半減。しかも、大量生産時の原材量資材や設備投資の決済が迫り、同社は創業以来の経営危機を迎えました。

 同社がこの危機を乗り越えられたのは、「顧客に設備投資負担として先に50%を出資してもらい、返済は同社が製品を販売する際に単価値引きをして長期返済する」という設備投資の際の契約のおかげです。顧客も同社から買わないと負担金を回収できないので、バブル崩壊後も優先的に発注がありました。この時の経験から「中小企業の経営のかじ取りは一歩間違うと大変」と西山氏は語ります。

何もしない事が最大のリスク

 1951年の創業以来、2008年まで小さい碍子(がいし)から始まり、アルミナ基板、回路印刷基板などに取り組むなかで付加価値を高めていきました。しかし、基板は20年やっているので販売価格が下がり、厳しくなってきています。その状況下で「新製品開発はとにかく怠ってはいけない。何もしないことが最大のリスク。今は大きな事業転換が必要な時期」と語る西山氏の言葉には、力強さがみなぎっていました。

会社概要

設 立:1951年
資本金:7,400万円
社員数:95名
年 商:13億円
業 種:チップ固定抵抗器用各種アルミナ基板、電子回路部品用各種印刷基板製造
所在地:佐賀県西松浦郡有田町立部甲170番地1
TEL:0955-46-2821
FAX:0955-46-4857
URLhttp://www.kyoritsu-po.co.jp