【第29回】感動を共有できる会社をめざして~歯科技工物製造で全国展開 (株)シケン 社長 島 隆寛氏(徳島)

島社長

(株)シケン 社長 島 隆寛氏(徳島)

全国2800軒の歯科医院と取引

作業風景

 入れ歯や差し歯など歯科技工物製造では業界トップクラスの売上を誇る(株)シケン(島隆寛社長、徳島同友会会員)は、2008年に30期を迎えました。1975年に「歯科技工が産業にならないか」と考え、島氏の両親が創業。1979年に法人化し、現在、全国6カ所の技工所と400名を超える社員で、差し歯や入れ歯の製造を行っています。

 歯科技工士は従来、午前中に自分で歯科医院を回り、昼から技工作業をするのが一般的です。多くは営業マンを持たず、一人で経営しています。しかし、同社は業務を分業し、営業マンを抱えたことで高松、岡山、大阪、東京へと全国展開していきました。

 現在、売上は日本の歯科技工業界で3番目、雇用している歯科技工士数は全国で2番目です。取引をしている歯科医院数は2800軒あり、売上から計算すると、日本人の100人に1人は同社の入れ歯や差し歯をしている計算になります。

会社はだれのもの?

 先代社長は「社長30年説」を持っており、島氏にも若いときから社長を経験させた方が良いとの考えで、新規事業の撤退と同時に、2002年に社長を交代しました。徳島同友会には、2004年に入会。すぐに「経営指針を創(つく)る会」に参加し、経営指針を成文化しました。「自分とほぼ同年の方が多かったことが刺激になり、大変勉強になりました」と島氏は言います。

 指針の中に「売上日本一」と入れましたが、会員の(株)高橋ふとん店の高橋社長から、「一番になると、どうなるのか」と指摘され、衝撃を受けました。島氏は会社をどうしていくべきなのか、仕事の意義について、自分でもっと掘り下げて考えなければならないと思うと同時に、同友会の社員教育についての考え方である「共に育つ」に共鳴しました。

社員が誇りを持てる会社に

社屋外観

 経営理念を社内に浸透させるため、2007年から年2回、全社員を対象にした「経営理念研修」を開催しています。会社の方針を話し、部門長の話や経営理念のキーワードである「顧客満足、顧客はだれ?」など、毎回テーマを決めて話し合っています。

 現在、歯科技工士は減っていますが、歯科医師は増えています。そのような中で、自費治療に力を入れる医院も増えてきました。今後は、歯科医師にも経営指針を作ることをすすめていきたいと島氏は考えています。

歯科医院とも、共に育つパートナーに

 また島氏は、社員と感情、感動を共有できるような体制をとっていきたいと考えています。営業マンは、歯科医院で叱られ落ち込むこともありますが、今後は歯科医院からの反響を、社内でフィードバックできるシステムを作る予定です。個別対応していたものを組織的に対応することを通して、歯科医師にも共に育つパートナーとなってもらいたいと考えています。

 「商品方針では、営業・事務方・製作スタッフが一丸にならないと、シケンブランドはできないと感じています。今後は、理念と方針を決め、実践に移していくため、歯科医師向けの経営改革セミナーを開催し、コミュニケーションを図る機会としたい」と、島氏は意気高く語りました。

会社概要

創 業:1975年
設 立:1979年
資本金:9975万円
社員数:460名
業 種:歯科技工物製造
所在地:徳島県小松島市芝生町字西居屋敷
TEL:08853-2-2000
URLhttp://www.shiken-jp.com/