【第47回】経営指針が自分の相棒 (有)クリエイトファーム 社長 枦川 勝志氏(鹿児島)

枦川社長

(有)クリエイトファーム 社長 枦川 勝志氏(鹿児島)

 枦川勝志(はぜかわ・かつし、鹿児島同友会会員)氏は大隅半島の鹿屋市で、黒豚の生産から加工、販売まで一貫体制で手がける(有)クリエイトファームを経営しています。

サラリーマンから就農へ

作業風景

 大学在学中に音響関係の仕事と出合い、東京での生活がスタートしました。15年間、サラリーマンとして一生懸命働いていたものの「仕事に対する目的意識もあいまいで、情熱もあまりなく全てが中途半端になっていた」と枦川氏は言います。

 「東京でのモヤモヤした状況を変えたい」という気持ちと、また実家が経営する養豚農場の後継者問題もあり2000年に鹿児島へ戻り就農しました。しかし、これまでとは全く違う仕事であること、親との考え方の違いなどさまざまなことが重なり、「全てがうまくいかず、悩みだらけだった」と当時を振り返ります。

意識改革とガムシャラな努力

 悩みながらの生活の中で、全てを他人のせいにしている自分にきづきました。これまでの人生を徹底的に考え直し、「自分の子どもに『こんなお父さんでよかった』と思われるような人間になりたい」と決意しました。

 まず始めに「どこにも負けない肉を消費者に届けたい」との思いで、肉質改良試験(研究)に取り組みました。水やえさ、環境にこだわり3年がかりで品質改良にこぎつけました。そして食肉加工所を設置し、卸販売を始めました。ネット販売中心の加工所も口コミで広がり、直接地元の方が買いにくるようになり、直売所も併設することになりました。

 そのころから少しずつ社員を雇用し始め、「社員を雇用することで自分の中でこれまでとは違った責任感が芽生えてきた」と枦川氏。それから養豚業界の現状を考えながら積極的に新事業への取り組みを開始し、2003年に県の「経営革新計画の認定」も受けることとなりました。

経営指針が自分の相棒

社員とともに

 鹿児島同友会には、同じ大隅半島で農業に従事する方から「悩みを解決できるいい会がある」と紹介されました。
オブザーバーとして初めて参加したのは、経営指針セミナーの発表会でした。経営指針を発表する経営者の姿に衝撃を覚え「自分もいい経営者になりたい」とその場で入会を決意。そして、セミナーを受講し、自分の思いを込めた指針書を成文化しました。

 経営指針書があることで、社員も指針書をもとにした行動ができるようになってきました。「気持ちが楽になり、経営指針書が自分の相棒になってきた」と枦川氏は語ります。さらなる発展に向けて、経営指針を軸に営業力の強化を図り、直売店の多店舗化や新商品の開発、外食・中食事業への参入も検討しています。
 
 枦川氏は、これまで人生の節目には人との出会いがあったと振り返り、「他人に対しても、自分に対しても全てにおいて“思いやり”つまり“心”が必要。常に挑戦し続けたい」と日々の経営や生活の中で自己研さんをしています。

会社概要

創 業:1975年(法人化2003年)
資本金:300万円
年 商:1億3000万円
社員数:15名
事業内容:鹿児島黒豚の生産及び加工、販売
所在地:鹿児島県鹿屋市大浦町14042-8
TEL:0994-35-4345
FAX:0994-35-4346
URLhttp://www.createfarm.com