【第9回】 見える喜び伝えたい 尚時堂(株) 専務取締役 中村尚広氏(長崎)

 中村専務

尚時堂(株) 専務取締役 中村尚広氏(長崎)

 長崎県でメガネ、補聴器、時計、宝石の販売に加え、「スポーツビジョン」や、「スクールビジョン」といった視覚機能向上等の業務を展開している尚時堂(株)。中村尚広氏(専務取締役・長崎同友会会員)は県内で唯一「オプトメトリスト」の資格を持っています。

「オプトメトリスト」として

「オプトメトリスト」とは、視覚機能測定の専門家で、海外では国家資格とする国も多いのですが、日本では日本眼鏡技術者協会の認定資格です。
中村氏は特に「スポーツビジョントレーナー」として活躍し、2009年春の選抜高校野球で優勝した地元の長崎県立清峰高校の影の功労者とも言える人です。

スポーツ選手がボールを追う、人の動きを読む等、「目」から入る情報をいかに早く身体に伝えられるか? プレーをする上で、それはとても大切なポイントとなります。その情報の入り口である「目」を科学的なデータに基づき、専門的な機器を駆使して視覚機能・運動機能を向上させる。これが「スポーツビジョントレーニング法」です。

具体的には、目を素早く動かす訓練(ボード上で点滅する数字から偶数だけを選んでボタンをたたく等)で動体視力を鍛えたり、左右の目のバランスを矯正したりして、より正しく目を機能させるようトレーニングします。

中村氏はこの他にも、目に障害を持つ子どもたちの視覚機能改善を促す「スクールビジョン」。さらにはメガネで矯正が不可能な高齢者の視力補正機能を提供する「ロービジョン」等にも取り組まれています。

目に障害を持つ子どもや高齢者のために

文字を書くことができなかった弱視の子どもが、数字や鉛筆を目で追うトレーニングを続けることで、2ヶ月後に名前が書けるようになり、約3年後、初めて描いた絵が、市民文化祭で入賞したという知らせに、涙を流したこともありました。

中村氏自身、幼少のころからスポーツ(特にサッカー)に明け暮れ、まさに趣味と実益を兼ね備えた仕事に就くことになりました。高校卒業後メガネの専門学校に通い、本格的に勉強を始め、卒業後はアメリカをはじめヨーロッパ各国に短期留学。帰国後、スポーツビジョン検査を長崎日大高校の取り組みを皮切りに、プロ野球球団オリックスの視覚機能検査には10年以上かかわっています。

そして、前述の清峰高校以外にも地元球団長崎セインツ、波佐見高校、九州文化学園、長崎西高等多くの学校や団体で指導し、2014年長崎国体強化選手のための視覚機能育成講師も務めることになりました。

本

また、医師会をはじめとして全国的に講演に走り回っています。
最近では、協力者として「発達障害の子どもの視知覚認知問題への対処法」という書籍の発刊にも携わりました。

中村氏の資格は、自社の強みとして独自のサービスに生かされています。例えば、メガネ販売時の値引きの代わりとしてその方の視覚機能分析を行い、改善のツールなどを渡す等しています。また、前述の出版された本を提供することで、視覚機能への興味を深めてもらっています。
これからの課題は、社員全員で共有できる仕組みづくりの構築。社内勉強会等を頻繁に実施して、こつこつと取り組みを始めています。

「正確さ」と「適正さ」を重視

 店舗の様子

同社では、次の四つの心得を徹底するようにしています。

①お客様がお越しになることにまず感謝せよ。
②接客しながら感動し、本物を進めよ。
③お客様のクレームを快く受け止めよ。
➃いつも笑顔を忘れるな。

専門分野のメガネの販売において、検査での間違いのない情報収集をする「正確さ」、お客様にいかに楽になれるメガネを提供するか、という「適正さ」を旨としています。

お客様とビジョンケアを共有するメガネ店に

「目標は、インショップの2店舗を統合した郊外型独立店舗を立ち上げ、さらに充実したサービスをお客様に提供することで地域貢献を図ること」と力強く語る中村氏。

利益を追うことだけではなく、検査を通して視覚機能の重要性を伝えていきたい。眼の検査をされたお客様は『なんだか楽しかった!』と言われます。
敷居の高い視覚機能検査ではなく、お客様と楽しみながらお互いにビジョンケア(お客様の視力の総合的なケア)を共有できる、そんなメガネ店を目指しています。

会社概要

創 業:1948年
資本金:1,000万円
業 種:メガネ、時計、宝石、補聴器販売
従業員数:10名(パート含む)
所在地:長崎県北松浦郡佐々町本田原免73-3(マックスバリュ佐々店)
TEL:0956-63-2235
URL:http://www.shojido.com/