【第13回】物ではなく接客&サービスが商品 (株)ワンダー 代表取締役 森 活也氏(徳島)

森社長

(株)ワンダー 代表取締役 森 活也氏(徳島)

 (株)ワンダーの森氏(代表取締役、徳島同友会会員)は高校卒業後に県内の事務機販売会社に入社しました。そこで、お客様から言ってもらった「森さんから買って良かった!」の一言が人生を変えました。お客様のお役に立ちたいと、徳島県で使い易い地名や人名辞書、給与計算プログラムを自作し、併せて講習会も開催してワープロ販売で四国一になりました。

その後、26歳で事務器販売の会社を起業したものの当初はうまくいかずブラブラしていると、父親に一喝され、携帯電話の販売に力を入れるようになりました。小松島で初めて出店し社員を採用した時は、不安になることもありましたが、「社員の給料は何がなんでも支払う」と腹をくくりました。しかしその後、初めて雇用した男性社員に自分の価値観を押し付けるあまり、「森さんにはなれません!」と言われて退職された出来事がありました。この経験から「人を育てられる人を、育てる」ことを決意しました。

同社の戦略&強み

社屋

徳島でauの一次店として残っているのは同社だけで、それは戦略や強みを持っているからです。社員が自信を持てるように、実際の問題や課題を想定して練習するロールプレイングは徹底して行っています。そのきっかけとなったのは、以前ある社員が他社のポケットベルを希望されるお客様に「取り扱っていません」の一言で帰してしまったことでした。他社商品も熟知していましたが、優れた点を伝えることが無かったのは残念です。そこで森氏が他社製品を希望するお客様になり、接客のシミュレーションをしましたが、やはり「取り扱っていません」という返答でした。しかし、何度も繰り返す内に、他社製品との違いを伝えることができるようになったそうです。接客やサービスはスポーツや英会話と同じで、何度も繰り返し練習することにより、それらの品質を上げることができます。

同社ではauが始める前から、水に濡れて動かなくなってしまった携帯電話を分解修理する「水ぬれ復活サービス」や「着うた」など、お客様目線で考えた独自サービスを導入していました。「携帯電話」が商品ではなく、「接客&サービス」が商品であるという規範や風土づくりを進めてきました。

また、最近ではお客様アンケートを自社独自のものに切り替え、全店で共有しています。お褒めの記述も多いのですが、「老眼鏡がカウンターに無い」「少し冷房が強い」といったご意見にはすぐに対応し、その結果をご意見をいただいたお客様にお伝えしています。

経営理念との連動行動と同友会での学びと実践

そんな中、お客様の携帯電話のICチップが入れ替わる事件が発生しました。黙ってチップを入れ直せば済む事ですが、経営理念の行動指針でうたっている「ごまかさない、流さない、嘘は言わない」という言葉が社員と自分の中に響き、お客様に正直にお話して謝ると決めました。「結果的に、真摯な対応をお客様にも理解していただき、改めて経営理念の大切さを実感しました」と森氏。

同友会での(株)宮崎本店 宮崎由至氏の「ES(社員満足)があって、真のCSが実現する」との報告に大きな感銘を受け、その時に聞いた「社員アンケート」をすぐに取り入れました。森氏は「他にも同友会で多くのことを学び、良いと思ったことはすぐに実践してきました。意識レベルでいろんな概念を持つより、まず行動レベルでやってみることが大切です。その上で良いところを伸ばし、悪いところは改善する、この繰り返しです」と言います。

社員成長支援システム

社員さんと

社員採用の際は、同社の経営理念や行動指針・方針などをしっかりと話し、理解してもらった上で入社してもらいます。同社の成長支援システムでは、仕組みづくりをすることで目的や目標を持てるようにしています。新人にも担当を決めて任せることで、教える方も成長します。また、感情が入りやすい給料の査定はきっちり数値化しており、全員ミーティングも毎月開催しています。

会社の今後

「携帯電話販売会社の中で日本一お客様を大事にすることができる組織づくりが、私のビジョンです。経営品質を高める為に、①お客様本位 ②社員重視 ③独自能力 ④社会との調和を目指しています。真の幸福創造起業の目的は自立した人をつくることです。会社の存在意義を重視し、目的と目標、手段を明確にして地域から必要とされる企業でありたい」と森氏は語ります。

会社概要

創 業:1992年
資本金:800万円
年 商:9億円
事業内容:au携帯電話販売 6店舗
従業員数:39名
所在地:徳島県阿南市才見町三本松43-1
TEL:0884-22-6788
FAX:0884-22-3694
URL:http://wonder-net.jp/