【第24回】「食べるたのしみ」徹底で満足度アップ (株)ラフト 代表取締役会長 永田 義雄氏・代表取締役社長 濱嶋 一陽氏(兵庫)

永田会長と浜嶋社長

(株)ラフト
代表取締役会長 永田 義雄氏・代表取締役社長 濱嶋 一陽氏 (兵庫)

 もともと八百屋を営んでいた現会長の永田氏と、飲食店を経営していた現社長の濱嶋氏が偶然の、そして運命的な出会いが、現事業(株)ラフト(兵庫同友会会員)のスタートでした。

 老人福祉施設向けの食品卸売から事業をスタートし、老舗八百屋社長と調理師社長のこだわりで、老人福祉施設、病院、障がい者施設での食事サービスの提供に特化した経営を進め、創業から14年を迎えます。現在、老人福祉施設向けの給食などメディカル専門食は、一日平均9,000食を提供。本社のセントラルキッチンからHACCP方式(食品衛生管理方式)で厨房を持っていない施設に配食する事業と、40以上の事業所へ人材を派遣する事業を柱にメディカル給食のエキスパートといわれる会社に成長してきました。

「値段」より「食べるたのしみ」

 得意先である受託施設では、「まず値段ありき」の激しい価格競争を繰り広げています。そんな中同社では、現場での手間を惜しまず、「個々のニーズの広まりにいかにどこまで対応できるか」を意識することで、1年契約で受託業者が入れ替わることがあたり前の業界において、現在の顧客と長いお付き合いをいただける関係を築いています。また、その顧客評価が新規顧客へと結びつき、「食べるたのしみ仕掛けます」というキャッチコピーを打ち出し、確実に顧客のニーズをつかんできています。

 具体的には、「食事を取るという行為は、 人が生命を維持し、健康的生活を送るためだけではなく、身体を満たし気持ちを満たすもので無ければならない」との考えの下、統一献立を避け、施設の個性に合わせた献立を立案。先述の9,000食は約6,000人へ個人対応で提供しています。普通食や一口食では、食感を損なわない大きさにカットし、原型を崩さないよう盛り付けをしています。さらにムース食などは、ミキサーで極細にした食材を形に固め直して、彩りや食べる楽しみを損なわないよう、見た目やのどごしも重視して調理し、提供しています。またマグロの解体、揚げたての天ぷら提供などのイベント食での楽しい演出も鮮やかです。

経営理念で全社一丸

社員と

 会社規模が大きくなるにつれ、永田氏は「和気あいあいが慣れあいとなり、仕組みが必要になってきた」と感じます。そこで兵庫同友会の経営指針成文化セミナーに参加し、経営理念をつくりこみました。それを基に「危機意識の向上」「人材育成」「お客様に喜んでいただけることを一番に考える」を運営方針に掲げて奮闘しています。また、ISO9001:2008認証も取得しました。これらの学びで、会社の仕組み強化に社員全員で取り組んでいます。

 「社内でも経営理念という言葉が良く出てくるようになってきた」と両氏。人が集まる機会で言い続けることが大事と語る濱嶋氏は「社内旅行のバスの中でも経営理念を説いている」と語ります。

今後の展望

 「社会的弱者と言われている人にも、少しでもおいしいものを食べてもらいたい」との熱い思いが同社の更なる成長の源泉です。「現在の顧客満足度を上げることによって、業績は自然と伸びていく」と今年の4月から営業職を廃止しました。

 「規模拡大よりも足元を固めながら永続する企業づくり」「現在の姿勢に賛同をいただける関係の重視」「より高い満足度の追求」、将来ビジョンは明確です。現在、本社設備を増築し、ビジョン実現に向かって動き出しています。

会社概要

設 立:1997年10月
事業内容:老人福祉給食、病院給食、知的障害施設給食、施設職員給食、重度身障者給食
従業員数:370名(うち、パート・アルバイト280名)
所在地:神戸市須磨区古川町1-3-16
TEL:078‐739‐7311
URL:http://www.rafuto.co.jp/