（株）アメニクス 代表取締役 久保田 仁氏（長野）
エクステリア資材卸を営む（株）アメニクス（久保田仁社長、長野同友会会員）は、創業34年目を迎えます。庭を生活の場とすることによって健康的で快適なライフスタイルを提案し、長野県で30％のシェアを持つエクステリア業界を代表する商社として、業界全体をリードする役割・使命を担っています。
経営者が変われば会社は変わる
長野オリンピック（１９９８年）開催後、県内の経営環境が急激に厳しさを増す中、同社の売上もピーク時の７０％にまで落ち込み、人を減らす、さらに売上が減り、人を減らすという悪循環に陥ります。
当時を振り返り、「自分の力だけで売上を伸ばしてきたと錯覚し、事業を通して社員を幸せにするという観念が全く欠けていた」と久保田氏は言います。自主的・自立的に社員が考えない、動かないのは、社員の資質の問題ではなく、「成長する環境を与えず、能力を発揮する機会を奪ってきた経営者の責任」であると気付きます。
社員を信じて任せ、自主的・自立的に考えられる環境づくりに経営者が専念することで、社風が変わると同時に、社員への感謝の心・認める心が芽生え、長所を見出し、事業を進める上での最も大切なパートナーとして位置付けるように変わっていきます。
市場は与えられるものではなく創造するもの
2008年秋のリーマン・ショック以降、業界を取り巻く環境は一層厳しさを増し、既存市場の縮小に歯止めがかからない中、久保田氏は「市場は自ら創り出すもの」という信念を抱き続けています。
「売れている市場に群がる狩猟型ではなく、売れる市場を創り出す農耕型の経営でなければ、これからの時代を切り開いていくことは困難」「市場規模は小さいが、粗利率の高いところにこそ中小・零細企業にチャンスがある」と久保田氏は語ります。
「同じ製品サービス」を「同じお客様」に販売するだけでは確実に価値は下がります。「ガーデンのリビング化に向かい、共に歩み」を経営理念として掲げる同社は、理念の具現化と新しい価値観を提供するべく、挑戦を続けています。
住宅関連資材の卸販売業者8社（現在は全国32社が参加）で10年前に立ち上げた「オンリーワンネットワーククラブ」では、大手メーカーが扱わないエクステリアおよびインテリアに関するオリジナル商品の企画・開発、商品収集し、1社だけでは決して成し得ない、独創的で充実した品ぞろえと販売システムを構築しました。
2年前からは、新規事業として「ガーデンファニチャー（庭園用家具）」の製造・販売にも着手し、自然との触れ合いを通して、人間的で健康的な「家族団らんの場」「夢のある庭での生活」の提供に努め、同社の事業の柱の一つに育ちつつあります。
「ＰＤＣＡ」ではなく「ＤＣＡＰ」
「挑戦することで失敗するダメージ」と「何もアクションを起こさずに受けるダメージ」では、後者の方が圧倒的にダメージは大きいのではないか。「失敗の中にこそ次へのチャンスがある」「考えてばかりではチャンスを逃がすだけ」「ＰＤＣＡではなく、ＤＣＡＰ（まずチャレンジしてみる）」、「挑戦なくして成長なし」という姿勢を貫いています。「事業領域を明確に定義し、本業を深耕していくことで、本業をさらに光らせるための新しい商品・市場や販路は必ず見つかる」と久保田氏は語ります。
業界の活性化と次代を担う後継者育成
エクステリア資材卸業界のリーダーとして、エクステリアに対する認知度を高め、市場を拡大・創造する取り組みの一環として、６年前から同社が主催する「エクスリア・リフォームフェア」を4月の第2土曜・日曜の2日間開催し、昨年は延べ7000名が来場しました。
また、エクステリア業界および取引先の未来永劫の繁栄と発展を願い、今年の１月から「エクステリア未来塾」という後継者候補・幹部候補者向けの勉強会をスタートさせました。「若者が夢を持って働ける業界づくり」そして「自らを育ててくれた業界への恩返しをしたい」という強い思いが久保田氏を動かしました。
幸せな人生の追求
経営者は自らの生きざまが社員や子供たちに大きな影響を与えることを自覚しなければなりません。「経営者は、一時の快楽よりも、大きな志を持たなければならない、そうでなければ充実した人生を歩むことも、家族や社員を幸せにすることもできない」「常に若者のように夢を追い続けて生きていきたい」と語る久保田氏。
家族・社員・お客様・仕入先・業界・地域に対する感謝の気持ちを原動力に、これからも久保田氏の挑戦は続きます。
会社概要
設 立：1978年4月
資本金：5450万円
年 商：8億7380万円
業 種：エクステリア資材卸
従業員数：14名
所在地：長野市大豆島5959-3
TEL：026-221-3388
FAX：026-221-3410
URL：http://www.amenix-inc.co.jp/
