【第38回】経営指針の実行は経営そのもの (株)現場サポート 代表取締役 福留 進一氏(鹿児島)

福留社長

(株)現場サポート 代表取締役 福留 進一氏(鹿児島)

 鹿児島中央駅の西口を出て右に100メートル歩いた所に、建設業向けのパッケージソフトの企画・開発・販売・サポート業務を行っている(株)現場サポート(福留進一社長、鹿児島同友会会員)はあります。

サラリーマンから経営者へ

 福留氏は県内の大学を卒業後、大手メーカーの販売会社に営業職として入社。持ち前の行動力と負けず嫌いで営業成績もトップクラス。同期のだれよりも早く出世し、新規事業の責任者に抜てきされました。しかし、大手ゼネコンへの営業活動を積極的に展開するも、会社の方針変更で新規事業を撤退することとなりました。「これまでのお客様を裏切りたくない」と、当時の部下3名とともに独立を決意しました。2005年8月のことです。

社員が夢を描ける会社に

 独立してから、昼は営業活動、夜はシステムテストなど、寝る間を惜しんで働き、業績は順調に推移するも、人材確保に悪戦苦闘。「人を採用しても長く続かない、優秀な人材が採用できないのはなぜか。創業当時、経営理念はなく、販売戦略のみを策定し、とにかく売上確保、数字に追われる状態で、会社自身が人を育てられていなかった」と福留氏は振り返ります。

 さらにあるとき、幹部社員から新入社員へ「うちの会社でずっと頑張るよな?」と問いかけたところ、返事が返ってきませんでした。「経営理念は無くとも10人ぐらいの会社なら、気持ちは通じ合っているはずだと思っていた」と福留氏。この時に社員が夢を描けない会社なのだということに気づき、未来の見える経営をしようと経営指針の成文化に取り組みました。

 鹿児島同友会には2007年に入会し、「経営指針セミナー」を受講。「何のために経営するのか?」の問いかけに始まり、「労使見解(中小企業における労使関係の見解、中同協発行『人を生かす経営』所収)」に触れ、社員とのかかわりを再度考えなおし、経営者の魂を経営理念に込めることの大切さを痛感したと言います。経営指針を作成した福留氏は、次に社内での理解を深めることに力を入れます。

経営指針の浸透に悪戦苦闘

会議の様子

 『企業変革支援プログラムSTEP1』(中同協発行)を社内で活用するようになって、社員から「経営理念が皆に理解されていないように感じる」という声が上がってきました。経営指針を成文化したものの、社長のひとり相撲だったのです。

 「理解がなければ行動に反映されない!」と、この日を境に毎週朝礼で経営指針の解釈を始めました。ある日は理念について、ある日は方針について、また別の日は戦略について。とにかく毎週やり続けました。「小さなことでもやり続けることで結果が見えてくるもの。福岡で採用面接を行った社員の様子を見ていたとき、面接官の社員が発していた言葉を聞いて、理念が浸透しているということを実感した。経営指針を実践するには、社員一人ひとりの個人目標まで落とし込むことが必要だ」と福留氏は言います。行動に変換できなければ、理念の浸透は無いからです。

 現場でのサポートでは、さまざまなシステムを使用して情報を共有する仕組みが構築されています。情報収集のためのガイドラインを作成し、やらざるを得ない環境をつくり、実行度を上げています。また、2年前より『企業変革支援プログラム』を活用した「社長塾」(全5回)を実施しています。そのほかに、面白い取り組み「ありがとう大賞」があります。社員それぞれが感謝する人に、ポイントが加算され、賞与の金額の一部が決定するものです。お互いに感謝をすることで社内の雰囲気も変わります。

これから…

 卓越した経営の仕組みづくりでは、経営指針を展開しながら、『企業変革支援プログラム』をツールとして使用しています。これは同友会の宝です。また、同友会には「経営指針という素晴らしいツール」「参考にできる会社」「チェックし会える仲間」があります。社員はいつも手元に経営指針書を置き、確認しながら業務を行い、経営戦略は社員全員で作成します。福留氏は「経営指針の実行こそが経営そのものだ。仕組みを作っても、経営指針の浸透にはまだまだ時間がかかる。でもこれからもやり続けるしかない」と語ります。
社員とともに

経営理念

私たちは、情報の処理・活用を
支援するプロフェッショナルとして、
常に最適な価値を創造し、
お客様と社会に貢献します。
そして、私たちは、物心ともに豊かになります。

私たち三つの主義

現場主義
 私たちの製品やサービスは現場のニーズから生まれます。常にお客様との接点を保ち続け、そこに困っている人がいるからなんとかしたい、未来永劫その思いを大切にします。
自立主義
 戦略・方針に基づき自ら考え、自ら判断し、自ら行動する集団を目指します。ひとりひとりがプロ あることが、お客様への価値提供の基礎であると考えます。
行動主義
 やってみないとわからないこと、どうしようか悩む事があれば、勇気をもって行動する事を選択します。行動した結果がなければ、次へ進むことはできないからです。

会社概要

設 立:2005年
資本金:1,500万円
事業内容:建設業向けパッケージソフト及びクラウドサービスの企画・開発・販売・サポート業務
従業員数:28名(内パート・アルバイト6名)
所在地:鹿児島県鹿児島市西田2-28-6
TEL:099-251-9971
FAX:099-259-3874
URL:http://www.genbasupport.com/