【第22回】積み重ねてきた50年の歴史、若手が創る未来への道 丸浜舗道(株) 代表取締役 小林育也氏(山梨)

小林社長

丸浜舗道(株) 代表取締役 小林 育也氏(山梨)

設立50周年を迎え、さらなる飛躍へ

写真1

 1965年の設立から50周年を迎える丸浜舗道(株)(小林育也社長、山梨同友会会員)。周年記念式典の会場には、山梨同友会代表理事をはじめ、取引先金融機関、協力業者などがお祝いにかけつけました。式典の前には、同社の経営方針発表会が開催され、科学的な情勢分析の下、第50期の経営計画が各部門責任者から力強く発表されました。

 県内で初めて舗装を手がけた同社。歴史を振り返るスライドでは、当時の社員の姿が紹介されました。どれも自らの仕事に誇りを持った様子がうかがえるスナップ写真です。

苦しい時期を乗り越え、高校生の新卒採用を再開

 高度成長後半期には、自前のアスファルト合材プラントを建設するまでに売上が拡大するも、1996年ごろからバブル崩壊後のあおりを受け、2002年まで赤字決算が続く厳しい状況に陥りました。当時、専務として資金繰りを任された小林氏は、コストの削減や賃金規定の見直しなど徹底した社内改革を実施しました。

 しかし、急激な時代変化と社内環境の変化に対応できずに辞めていく社員も少なくありませんでした。伝統的に続いてきた高校生や専門学校生の新卒採用もこの時期はストップします。

 同業者の廃業も相次ぐ中、なんとか2008年には安定した利益を確保するまでに回復します。その過程で既存のアスファルト舗装を石畳やレンガ敷のように加工する工法(ストリートプリント)などの新技術を導入、新たな仕事づくりにも取り組みました。また、新卒採用も再開。2006年以降毎年1~2名を地元の高校から採用しています。

同友会の学びを貪欲に実践

経営方針発表会の模様

 山梨同友会には2011年に入会。すぐに経営理念合宿に参加して、経営理念を成文化します。2012年には甲府支部長に就任し、「実践して会社が良くなる同友会活動」にこだわった支部づくりを進めます。同社でも同友会の学びを実践。情勢分析の上で経営方針を策定し、各部門方針に展開されています。

 また、一人ひとりの社員の意見を大切にし、業務に生かすため、部門をまたぐチーム制を導入しました。「技術力向上」「安全衛生推進」「新技術獲得」「社員元気化」という4つのチームに社内を編成し、毎月1度の会議でそれぞれの方針実現に向けた活動を推進しています。これまで「言いたいことがあればいつでも社長の俺に言え」と投げかけてもまったく意見があがってきませんでしたが、意識的に話をする場をつくることで、社内に変化が表れました。

 経営方針、計画を全社的に検討し、発表会まで実施する。またチーム制を導入したことにより、「自分たちで会社を変えていけるんだ」という実感を社員が持ち始め、自主的な行動が開始されています。

「技術者である前に人間であれ」

社内の様子

 高校教員からの信頼も厚い同社では、職業体験や会社見学などを積極的に受け入れています。「新卒者がしっかり定着して会社を辞めないこと。これが、会社が信頼されるということだよ」と小林氏。新卒者には「まず始めに、具体的に質問できる力をつけよう」という教育を徹底します。

 新卒者にとって現場での仕事は厳しい毎日です。辞めたいと申し出る若手もいますが、中堅社員が技術だけでなく精神面をしっかりサポートしています。これも新卒採用を定期的に続けてきた結果であり、育ち合いの社風につながっていくものです。

 就職活動で会社見学に訪れた高校生に「技術者である前に人間であれ」「石の上にも三年だよ」と入社3年目の若手が語りかける様子を、社長はにこやかに眺めています。

信頼できる会社、成長させてくれる会社

社員とともに

 50周年式典の中で、勤続45年の女性社員が表彰されました。「入社間もないころ、陽が落ちる中20数kmの道のりを、大金を抱えながら原付バイクで転ばないように必死で集金したことを昨日のことのように思い出します」と涙ながらにあいさつ。また、体調がおもわしくなく、式典に参加できなかった小林氏のお母様から手紙が寄せられました。『皆さまのおかげです。本当にありがとうございます』…この短い手紙と45年勤続社員のあいさつを全社員がじっと聞き入っていました。

 新入社員にとっては「長く働ける、信頼できる会社、自分を成長させてくれる会社」であることが胸に響いたことでしょう。同社の未来への道は若手社員が着実に施工していきます。

会社概要

創 業:1936年
設 立:1965年
資本金:2,000万円
事業内容:舗装工事、アスファルト合材の製造・販売
従業員数:32名
所在地:山梨県甲府市東光寺1-7-8
TEL:055-237-1751
URL:http://www.maruhama.jp/