【第25回】初めての新卒採用にチャレンジ! (株)かしま電設 代表取締役 中村 純一氏(福島)

中村社長

(株)かしま電設 代表取締役 中村 純一氏(福島)

 さまざまな工事関係者が出入りするいわき市の大規模な建築現場。打ちっ放しコンクリートや配管が剥き出しの中で、電気配線を通すために脚立に登って黙々とドリルやドライバーを操る若者の姿がありました。

今春、2名の新卒を採用

新入社員の二人

 阿部元気さん、箱崎雄太さんの2名は、今年の春、(株)かしま電設(中村純一社長、福島同友会会員)に入社したフレッシュな社員です。地元の高校を卒業して同社に入社した阿部さんと箱崎さん。入社から半年が経過した今では、さまざまなことに戸惑いながらも仕事も少しずつ覚え、社員の中でいなくてはならない存在として、それぞれの現場で活躍しています。

初めての新卒社員の入社

 2人は同社にとって迎えた初めての新卒の社員です。中村氏は、「恥ずかしい話だけど、新卒の社員が入る事が決まって、社内のハード・ソフトの両面で、『会社らしくしなければ』と心構えが変わった」と笑います。

 就業規則や賃金体系などの基本的な社内のしくみ作りは当然として、「18歳の若者が未来を託すことと向き合う以上、この会社が将来どうなるのか?というビジョンを明確に示す必要性を強く感じた」と中村氏は言います。

一人じゃない心強さ・・・みんな同じ時間に帰ろう!

 中村氏が入社した当時は、父親と2人で仕事をしていました。どんなに忙しくても「自分しかいない」という経験をした中村氏には、「社員がいるありがたさ」が常に頭にあります。「チームとして皆で仕事をすることで、1+1は2ではなく3、あるいは4になる」という思いの中で、「みんな同じ時間に帰宅する」ことをめざしています。各現場の進捗状況を社員同士がお互いに確認し合い、早く終わった現場からまだの現場に応援に入る、といった社風が培われています。

高校の先生に熱く語った自社の役割

 同社が新卒採用をするきっかけとなったのは、福島同友会いわき地区が開催した高校の先生との懇談会でした。懇談会の中で、自社の役割と使命を熱く先生方に語った中村氏。「それまで新卒採用の経験は無かったけれども、真っ白な社員を採用し、責任を持って育てるという気持ちを先生に伝えた」という中村氏の熱意に打たれた2校の先生から「是非、採用してほしい」と紹介を受けたのが阿部さんと箱崎さんだったのです。

福島に若者を残す使命

福島同友会で共同求人委員長も務める中村氏。自社での経験を通して、「若者が活躍できる場をつくることが経営者の使命。求人活動を通して若者が入社したくなるような会社づくりの必要に迫られ、結果的に会社のレベルアップにもつながる」と力説します。

 東日本大震災と原発事故により、人口の流出、労働力不足が深刻化している福島県。地域に若者が働く場所がある事によって、地域に若者が残り、それが「地域を存続させる」ことにつながるという企業の役割が明らかになっています。

 福島同友会では、2003年にそれまで20年間継続してきた学卒の共同求人活動を休止して以来、現在に至っています。「地域の存続が問われている今、『福島県にこんな素敵な中小企業が君たちを待っているよ』というメッセージを発信したいし、それに相応しい会社づくりを進める活動も広げていきたい」と中村氏は思いを新たにしています。

会社概要

創 業:1968年
設 立:1995年
資本金:300万円
年 商:2億5,000万円
事業内容:電気設備工事・アンテナ設備工事・空調設備工事・音響設備工事
従業員数:6人
所在地:福島県いわき市鹿島町船戸字林下13-1
TEL:0246-58-3474
FAX:0246-58-3342
URL:http://kashimadensetsu.biz/