【第18回】自主・民主・連帯の精神で、地域に環境経営の輪を広げ続ける 東海EC(株) 代表取締役会長 石井 正己氏(愛知)

石井会長

東海EC(株) 代表取締役会長 石井 正己氏(愛知)

地球環境と調和した企業をめざして

社屋

 愛知県名古屋市で1956年に会社設立以来、電気設備工事・生産設備の自動制御という電気にまつわる事業領域、そして環境経営で「環境・新エネルギー事業」に挑戦している東海EC(株)。石井氏の思いは経営理念「日々革新」に込められ、環境保全を通じて世の中の安全・安心・快適の実現に貢献する健全で魅力ある企業づくりを、限りなき前進と限りなき挑戦によって全社一丸でまい進することです。エネルギー消費量の削減から二酸化炭素排出量・エネルギーコストの削減に貢献できる企業づくりに取り組んでいます。

得意技術を生かし、環境保全製品を開発

@バリューラインナップ01

 同社は「環境・新エネルギー事業」で、太陽光発電システムの計測・監視・表示装置「@バリューラインナップ」を新開発。太陽光発電システムは「環境貢献+発電ビジネス」であり、シュミレーション通りの収益を売電ロスなしに計画通りに確保するには、太陽光発電システムの正常稼働を常時確認することが必須条件となります。従来は、目が届く場所に太陽光パネルを設置するか、また目が届かない場所には駐在人を必要としました。その困り事を解決するために生み出したのがこの製品です。

 この製品は太陽光発電システムで使用されるパワーコンディショナ(発電された電気を家庭などの環境で使用できるように変換する機器)と直接通信が可能で、PC・スマートフォンなどのデジタル機器を用いて、太陽光発電の稼働状況を場所を問わず24時間リアルタイムに計測・監視ができます。また何か異常が発生すれば、即座に携帯端末へ状況通知ができるほか、多様な顧客ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズもできます。

同友会理念を踏まえ、異業種・異業態連携を地域に広げる

@バリューラインナップ02

 石井氏は1972年に愛知同友会に入会しました。入会は会員であった祖父(石井正雄氏・故人)が紹介者で、現在は息子(石井元博氏)も同友会に所属するほど、親子三代で同友会に入れ込んでいます。「同友会は縦の関係ではなく、異業種・異業態の経営者が横のつながりで謙虚に学びあうところに魅力がある」と石井氏は言います。

 同社は、主に太陽光発電に関する事業を通じて環境保全に取り組んでいます。しかし環境保全の取り組みは太陽光発電だけではなく、より広義なものであるため、一社単独で取り組めることには限界を感じてきました。「その解決への糸口が見つかったのがまさに同友会で、同友会理念『自主・民主・連帯の精神』の地域実践そのものが答えだ」と石井氏。その後、2011年の東日本大震災をきっかけに、低炭素社会の実現と普及を目的に据えた異業種・異業態連携組織「一般社団法人アースパートナー協議会( http://www.47epc.com/ )」を立ち上げました。そこに多様な中小・中堅企業が集まり、より安全で利便性の高い設備などを共同によって企画開発し、販売・施行・保守までも行っています。東日本大震災のときには、ここで開発した「緊急用LED街路灯」を被災地に寄付し、現地で大活躍しました。

中小企業は業種・業態によって、または時期によって仕事量に大きなバラつきがあります。この課題について、横の連携で仕事を地域でまわしあうことによって解決できないかと考えた石井氏。「地域の企業を一社も潰さない」「地域の環境保全は地域企業が主体となって行う」という石井氏の思いが、地域での異業種・異業態連携の推進に強く込められています。

地消地産で、循環型地域経済をつくる

社内

 地域で必要なものは地域でつくることで地域に雇用を生み出し、人間が生きるために必要なエネルギーと貨幣を地域内で循環させる考え方「地消地産(ちしょうちさん)」を大切にする石井氏。その取り組みのひとつとして、市民による市民のための市民共同発電事業を担う「とよあけ自然エネルギー(株)」を2014年に設立しました。これは市民ファンドを元手に、市内の小・中学校7校の屋根に太陽光パネルを設置し、そこで得られる自然エネルギーを市民で利活用するというものです。これは「地域に降り注ぐ太陽光は、すべて市民のためのものである」という考えにもとづいており、売電収入はすべて出資者である市民に還元され、また太陽光パネルは市民の財産となります。有事の際には、その太陽光パネルで発電した電気を市民の意志で市民のために有効活用でき、地域社会のBCP(事業継続計画)にも配慮されています。

 また石井氏は、(一社)アースパートナー協議会として「都市の木質化プロジェクト(名古屋)」にも参画しており、都市と農村部が垣根を超えて共存・共栄を図るために、都市部での木材の利活用としてストリート・ウッド・デッキ(SWD)の普及にも取り組んでいます。「地域を持続するためには地元企業が主体となり、環境保全の理念で地元企業が業種・業態の垣根を超えて連携すること、そしてそこから生まれる仕事を通じて地域の将来を担う人を育て続けることこそが、地域と地元企業が共に発展し続ける道につながる」と石井氏は力強く話しました。

経営理念

 「日々革新」
  東海ECは社会・会社・社員の三つの幸せを願い、限りなく前進、限りなく挑戦する。

  我々は自然の理(ことわり)を信じ、
  社会との調和を常に計り
  健全で魅力ある企業をめざす。

  限りなき前進・限りなき挑戦こそ、
  東海ECのエネルギーを
  パワーにするものだ!

会社概要

資本金:1億円
事業内容:電設工事業(自動制御装置、コンピュータソフト・ハード、電気設備工事)
従業員数:99名
所在地:愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂通5-26
TEL:052-841-8111
URL:東海EC(株) http://www.tokaiec.co.jp/
    (一社)アースパートナー協議会 http://www.47epc.com/